Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

飛ぶ夢をしばらく見ない

2023-04-03 | 映画(た行)

◼️「飛ぶ夢をしばらく見ない」(1990年・日本)

監督=須川英三
主演=細川俊之 石田えり 加賀まりこ 

若い頃に観たっきりで、今の年齢でまた観たいな…と思ってる映画はいくらでもある。年齢というキーワードから、特にそう思うのは本作「飛ぶ夢をしばらく見ない」。

入院中の主人公修司の部屋に列車事故に遭った女性が運ばれて、一晩だけ相部屋となる。その女性睦子から、衝立越しに交わす言葉だけで愛し合いたいと、驚くような申し出が。イケボの細川俊之の囁く低音。衝立の向こうから女性の息づかいが聞こえる。緊張感のある導入部に引き込まれた。翌朝、衝立が外されるとそこにいたのは白髪の老婆だった。

その後、修司の元に睦子から連絡が入る。会ってみると睦子は魅力的な中年女性。彼女は日に日に若返っているのだと言う。一夜を過ごした二人。そして会うごとに睦子はさらに若くなっていき、修司は離れられなくなっていく。

石田えりファンには、その魅力をフルコースで堪能できる映画だろう。初めて観た時は120%石田えり目当てで観たっけ。でもラブシーン以上に心に残ったのはラストの虚しさだった。それが忘れられない。今観ると、年齢重ねた主人公が女性に夢中になっていく様子に変に共感しちゃうかもしれないな。

これを観た当時、僕は住宅関連のお仕事に関わっていた。建設会社に勤める主人公が住宅展示場に荷物を届けるシーンが強烈に印象に残っている。荷物を受け取った若い社員が、
「ありがとうございますー。あーっ、またアンケート用紙かよぉ。」
こんなん無駄だよ、書いてくれるわけねえじゃん、みたいなことを言うのだけど、その反応がすっごく生々しくて🤣。住宅業界を舞台にした映画ってなかなかないからちょっと面白かったんでした。そして、その展示場に一人残った主人公の前に、10代に若返った睦子が現れる…。ええーっ、そこで抱き合っちゃってぇーっ😳

現在では映像化できないような場面も出てくるだけに、放送媒体でお目にかかることはできないのかなぁ。中古DVDは高値になってるし。うーむ。山田太一の原作に挑んでみようかと。


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第七天国

2023-04-01 | 映画(た行)

◼️「第七天国/The Seventh Heaven」(1927年・アメリカ)

監督=フランク・ボーゼージ
主演=ジャネット・ゲイナー チャールズ・ファレル ベン・バード デヴィッド・バトラー

以前から気になっていた作品。タイトルは、宗教的には天国の階層や天使の住処めいた意味があるそうだけど、これがどうストーリーにからんでくるのか。Perfumeの楽曲にも同じタイトルの名曲があるしw。

パリの下町。姉に虐げられて絶望していた娘ジャニースが、下水掃除人シコと出会う。彼女の窮地を咄嗟の機転で救ったシコは「行くところがなければ俺のところに」とジャニースと暮らし始める。夫婦だと偽ったので警察が確認に来るまで同居という条件だったのが、お互いに離れられなくなる。でもシコは"愛してる"が言えない。それでも一緒にいることが幸福だと言う気持ちを表現する。
「シコ、ジャニース、天国!」
幸福を感じた二人。しかしドイツの侵攻により、シコは戦地に赴くことになる。二人は毎日同じ時間にお互いを思う約束をする。

活弁付きではあるがサイレント映画を観るのは久々なので、120分弱もつかなと思ったが、全くの杞憂。直球ラブストーリーの前半、戦争スペクタクルを含めた後半、感動のラストまで飽きさせない。主役二人に絞ったラブストーリーだと勝手に思っていたが、後半のスケールの大きさと、最前線の塹壕の中での人間模様に、戦争の無意味さと人間ドラマの深みを強く感じる。

「俺は特別な人間なんだ」
「常に上を向いているんだ」
という前向きなシコの考え方。生き方のベクトルがそうした言葉で印象づけられる。さらに地下で働く下水道掃除人から、地上に出て道路清掃人になりたいと願うこと。階段を上った7階にある部屋。そこが自分にとっての天国。それが二人にとっての第七天国になる。

相手を見下すような言葉を吐いたり、無神論者だったシコが変わっていく。ジャニースも笑顔を取り戻し、シコの生き方に共感するようになる。主人公二人の成長は、伏目がちだった目線が上がって行くこと。地下から地上、7階の住まいと、上へ上へと向かう舞台装置が相乗効果となっていて、スクリーンのこっち側の感動も盛り上がっていく。巧い。




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007/死ぬのは奴らだ

2023-03-28 | 映画(た行)

◼️「007/死ぬ奴らだ/Live And Let Die」(1973年・イギリス)

監督=ガイ・ハミルトン
主演=ロジャー・ムーア ヤフェット・コットー ジェーン・シーモア

ロジャー・ムーアが演じたボンドは、ショーン・コネリーと違って、キザで、ユーモアがあって、スマートでスタイリッシュ。"ジェームズ・ボンドこそ目指すべき男子"めいた刷り込みをされて育ってしまった僕が、最も多感な時期に新作が公開されて観ているのがロジャー・ムーアなので、これが大人のカッコよさだと学習してしまった。皮肉まじりに粋な受け応えをカッコいいと感じたのは弊害だったかもしれない(汗)。

全7作品のうち、個人的にいちばん好きなのは「死ぬのは奴らだ」である。だっていちいちカッコいいんだもの。例えば、バスルームで毒ヘビが迫ってくる場面。手にしたシェービングフォームのスプレーに葉巻で火をつけて対応し、何もなかったようにそのフォームを使って髭を剃る。これが大人の余裕かぁ、と少年は感激してしまった。うちの親父殿はこのシーンのボンドが着ているのにそっくりなバスローブを買ってきてご満悦だった(変な親子ですみません😅)。

観ていて引き込まれる場面はどんな映画にもあるけれど、「死ぬのは奴らだ」は観客の巻き込み方が巧くて、一緒に盛り上がってしまう場面が多い。ニューオリンズで葬式の列が諜報員を殺害して連れ去る場面、蛇でいけにえを殺害するブゥードゥーの儀式。冒頭でそれを示しておいて、再び劇中で登場するから先の場面で危険が及ぶのがどうなるのかハラハラする。しかもそこには高らかに鳴るトランペットの音色の後で踊り出す葬列や、「アボボボボボーッ」って謎の言葉や高速で十字を切るような動きが、お子ちゃまだった僕と妹たちにはツボで、「死ぬのは奴らだ」を家で観るとついつい一緒に声出して観てしまう(変な兄妹ですみません😅)。

ロジャー・ムーア時代のボンド映画は、時代を反映した作品が多いのも特徴。「死ぬのは奴らだ」が製作された70年代前半は、いわゆるブラックスプロイテーション映画が盛り上がっていた時期でもあり、悪役が初めて黒人となった。ヤフェット・コットーが演じたこの悪役が憎たらしい一方で、占い師に頼る変なこだわりが面白い。名前を名乗るのがジェームズ・ボンドのお約束の見せ場のはずなのに、最後まで言わせずに
(内海賢二の声で)
「名前なんか墓に刻みゃいいんだ」
と言い放つカッコよさ(吹替版育ちですみません😅)。

もちろん、ポール・マッカートニーの主題歌も最高(この曲聴くと「アメリカン・ハッスル」を思い出す人も多いかも)。

そして最後に。1999年まで僕のナンバーワンボンドガールに君臨していたのは、本作のソリティア役ジェーン・シーモア。ボンドガール総選挙めいた企画があると、必ず一票を入れてしまう。大人になって改めて観ると、だんだんオンナの表情に変わっていくのがたまらない♡。





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大怪獣決闘ガメラ対バルゴン

2023-03-24 | 映画(た行)

◼️「大怪獣決闘ガメラ対バルゴン」(1966年・日本)

監督=田中重雄
主演=本郷功次郎 江波杏子 夏木章 藤山浩二

シリーズ第2作たる本作。前作で宇宙に葬ったはずのガメラが再び地球に現れる。後の作品ではガメラは子供の味方で映画の作風もお子ちゃま向きだが、本作ではまだ人類にとって脅威の存在。そこにパプアニューギニアの伝説の怪獣バルゴンが現れる。神戸、大阪、滋賀を舞台にバトルが描かれる。

映画冒頭こそガメラが黒部ダムを襲うのだが、その後は予想外にガメラの出番が少ない。むしろ人間ドラマが重視されていて、欲に目が眩んだ人間の醜さが終盤まで貫かれている大人の映画だ。第3作「ガメラ対ギャオス」と同様に、次々に作戦を決行するのが面白く飽きさせない。バルゴンはダイヤモンドの光に導かれるという村の伝説に従って、苦手な水辺におびき寄せる作戦が失敗。発案した主人公と村の娘を叱責する政治家。こういう場面にも人間の汚さが滲む。

巨大なオパールだと思われていたものがバルゴンの卵だったのだが、この成長の謎を解き明かしたのが、悪役に水虫治療をしていた船医。これを演じているのが藤岡琢也で、ドラマ「渡鬼」と全くイメージが変わらないから驚く😂。気丈な村の娘を演ずるのは江波杏子。

怪獣のバトルにもきちんと攻防があって面白い。ガメラがバルゴンの吐く冷気で凍ってしまう危機を乗り越えて、クライマックスで復活するのに、ええ歳したおいさんも気持ちが盛り上がってしまう。お約束の流血シーンもだくだくと流れる迫力。第2作までがこういうシリアス路線で、3作目で「ガメラは子供の味方」という設定が前面に出たことがよーくわかった。



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大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス

2023-03-22 | 映画(た行)

◼️「大怪獣空中戦ガメラ対ギャオス」(1967年・日本)

監督=湯浅憲明
主演=本郷功次郎 上田吉二郎 笠原玲子 阿部尚之

「大怪獣空中戦」と題された本作でガメラが戦うのは、平成ガメラにも登場する唯一の怪獣ギャオス。今観ると造形も操演もチープに感じるところもあるけれど、光線を吐き身体が光るデザインはストーリーにも大きく絡んでいて効果的だ。

"ガメラ=お子ちゃま向け"という図式にきちんと沿っているものの、「宇宙怪獣バイラス」のようにストーリーも子供向けになっている訳ではない。富士山に向かう火山帯の噴火、高速道路建設をめぐる道路公団の焦り、補償金目当ての工事反対地元民、板挟みになる工事現場の責任者、と大人向けのドラマ部分が実にしっかりしている。しかも人間のエゴや醜さが描かれる脚本。これに現場責任者と村長の娘の色恋沙汰でも加えれば、エンターテイメントとしては完璧w。

ガメラが来て悪い怪獣を退治してくれました…という話ではなくて、人間があの手この手でギャオスを倒そうと懸命になるのもいい。それが少年の発想からアイディアを捻り出しているのが面白い。

加えてガメラとギャオスのバトルも、それぞれの得意を活かした攻防がきちんとある。ギャオスの光線で深傷を負い、例によって青い血を流したガメラだが、クライマックスでは空中戦を展開。さらに海中に引きずり込もうとする場面には、いい歳した大人も見入ってしまう。

幼い頃、「ガメラ対ギャオス」のソノシート(ペラペラのレコード)付き紙芝居の玩具が家にありまして。ストーリーは、子供に伝わる部分だけダイジェストにしたものでした。ギャオスをおびき寄せる液体を入れたプールがグルグル回る場面、ガメラの背中に乗せられた少年が甲羅の尖った部分にしがみつく場面、ギャオスの足に噛みついて海に引きずり込もうとする場面。今回配信で改めて観て、紙芝居の絵柄を思い出した(懐)。





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トリコロール/白の愛

2023-03-04 | 映画(た行)

◼️「トリコロール/白の愛/Trois couleurs: Blanc」(1994年・フランス=ポーランド=スイス)

監督=クシシュトフ・キェシロフスキ
主演=ズビグニェフ・ザマホフスキ ジュリー・デルピー ヤヌシュ・ガヨス

カップルの間でなにかすれ違いが起こると、ついつい頭をよぎってしまうのは、愛し愛されていることのバランス。“あいつ、オレが思ってるほど、オレのこと愛してないんじゃないだろか“、だの“あの人よりも私の方が絶対愛してるのとおもうのよね“。郷ひろみのバラード「僕がどんなに君を好きか、君は知らない」なんか聴いて、その歌詞に黙ってうなづいてしまう世代でなくとも、人生の経験値は日々確実に上がって、男と女について思うことも、次第に変わってくるものだ。

さて本題。フランス国旗の三色、トリコロールの白は“平等“。本作は、夫婦の愛し愛されることをめぐるバランスをテーマに、前作「トリコロール/青の愛」とは全く違うブラックコメディに仕上がっている。しかも前作が女の哀感ならば、本作は男の哀感。おセンチな「青」に気持ちが乗らなかった男性陣は、こちらの方が身につまされてしまうのではなかろうか。

ジュリー・デルピー演ずる美しい妻から、性的不能を理由に離婚を迫られる主人公のポーランド人男性。愛情を確かめ合うのにセックスを大切に思う妻の気持ちに応えることができない。金も希望もなく、失意のうちに祖国へ帰る。じめじめした話、と思いきや、そこから先は一転してコメディ色が強くなる。祖国でひと山当てた彼は、危険かつ奇妙な行動に出ていく。

クライマックスは、女の愛を確かめるのにそこまでするのか?とも思えるが、その一途さこそが男の性(さが)だし、悲しいところだし可笑しいところ。実は、今の年齢でこれを再度観たいと思っている。初見だった頃とは自分の経験値も上がっているだろうし、かなり違うところに気持ちが反応するんではないかと。いつ観たって映画は映画だけど、観るべき年齢があるし、その年齢で観るべき映画もあるだろう。

透明感のあるジュリー・デルピーの美しさには見惚れてしまう。まさに”白”の配役にふさわしい。



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トリコロール/青の愛

2023-03-02 | 映画(た行)

◼️「トリコロール/青の愛/Trois Couleurs: Bleu」(1993年・フランス=ポーランド=スイス)

監督=クシシュトフ・キェシロフスキ
主演=ジュリエット・ビノシュ ブノワ・レジャン エレーヌ・ヴァンサン フローレンス・ペルネル

音楽と映像が美しく絡み合う映画が大好きだ。「トリコロール/青の愛」はまさにそれ。主人公の脳裏に亡き夫が遺した旋律がよみがえるシーンや、登場人物それぞれの思いを抱きしめてくれるようなラストシーンでの音楽の効果。それぞれの瞬間に酔わされる。

フランス国旗の三色のうち、青は自由の象徴。でもこの映画で表現される青のイメージはとにかく重く、暗い。しかしそんなブルーな心を乗り越えて、彼女自身の自由へと歩み出す姿がじわーっと感動させてくれる。

ジュリエット・ビノシュ、「存在の耐えられない軽さ」を観て以来、昔も今もとても気になる女優さん。






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007/ダイヤモンドは永遠に

2023-02-19 | 映画(た行)


◼️「007/ダイヤモンドは永遠に/Diamonds Are Forever」(1971年・イギリス)

監督=ガイ・ハミルトン
主演=ショーン・コネリー ジル・セント・ジョン チャールズ・グレイ

ショーン・コネリー再登板となったシリーズ第7作。おなじみのガンバレルの後、映画冒頭に執拗に宿敵ブロフェルドを追い回す荒々しい姿が登場する。それまでのスマートなイメージと違うし、ちょっと貫禄ついた感じすらある。

お話としてはスケールも大きいし、市街地のカーチェイスなど見どころもあるのだけれど、個人的にはシリーズ中最も物足りない作品。前作のジョージ・レーゼンビー降板後のせいではないと思うが、脚本やディティールを練り込んでない、どことなく間に合わせた感があるのだ。

危機には陥るがアクションシーンが少ない。ブロフェルドを演じるチャールズ・グレイはすでに「007は二度死ぬ」で出演済み。謎の富豪ホワイト氏を絡ませて話が複雑になったし、何よりもブロフェルドがいるのにスペクターが登場しない違和感。衛星をカセットテープに記録されたプログラムでコントロールするというのに、わざわざ「嫌い」と言う行進曲集のカセットを手元に置く不思議。衣装の費用を削ったかのように露出多めの女優陣。

こちらも再登板となったシャーリー・バッシーが歌う主題歌は、パンチがあって素晴らしい。






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ダークシティ

2023-01-17 | 映画(た行)

◼️「ダークシティ/Dark City」(1998年・アメリカ)

監督=アレックス・プロヤス
主演=ルーファス・シーウェル ジェニファー・コネリー キーファー・サザーランド ウィリアム・ハート

アレックス・プロヤス監督作って、ブランドン・リーが主演した「クロウ」くらいしか観たことがない。後に放ったヒット作からもイメージされるのは凝ったビジュアルを多用したSFファンタジーの作風、しかもかなり暗めの題材だ。

脚本、製作も兼ねた本作。自分がクリエイトした世界観を、タイトルどおりのダークな風景で実写化した作品だ。確かに独創的だし、他の映画ではお目にかかれない光景が続く。建造物がニョキニョキ生えてきて街が形を変えていく特撮は、まだCGも一般的でなかった90年代によく映像化したと思えた。

心を捨てた異邦人(ストレンジャー)が、心を取り戻そうと人類を実験材料にするお話。記憶が精神の安定につながるという設定は、ちょっと「ブレードランナー」を思わせる。物語のクライマックスでは、記憶をコントロールされた主人公がシェル・ビーチという思い出の場所に辿り着けないというエピソード。奇しくも同じ年に製作された「トゥルーマン・ショー」が重なって見える。

オールド」のお父ちゃんルーファス・シーウェルって、この頃はこんな主役やってたのか。知らなかった。事件を追いながら世界の違和感に気づき始める刑事にウィリアム・ハート。表情を変えないクールさがこの役に似合ってる。すべての謎を知る博士はキーファー・サザーランド。

そしてわれらがジェニファー・コネリーは、主人公の妻(とされる女性)を演ずる。ダークシティの歌姫役で、ステージ場面でのドレス姿が美しい。90年代になって色っぽさに磨きがかかったジェニファーはそっち系需要の役がある一方で、80年代のイメージから続く冒険物語のお姫様的役柄も目立つ。本作や「ロケッティア」はまさにお姫様の方。ラストシーンの横顔がいいね。







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007は二度死ぬ

2023-01-05 | 映画(た行)

◼️「007は二度死ぬ/You Only Live Twice」(1967年・イギリス)

監督=ルイス・ギルバート
主演=ショーン・コネリー 丹波哲郎 浜美枝 ドナルド・プリーゼンス

初めての007映画はテレビで観た「サンダーボール作戦」。2番目に観たのが幸か不幸か(笑)「007は二度死ぬ」だった。

誤った日本観によるとんでもハップンな描写の連続、前作でスケールでかくなったと思ったら、今度は事件が宇宙で起きてしまう大スケール。しかし幸か不幸か、地上波の放送ではツッコミどころの大半はカットされていた。日本に上陸して相撲観戦、日本では女性は男性に仕えるものとする問題描写の数々。タイガー田中(丹波哲郎)と女性数名をはべらせて入浴するシーンなんて、ハーレムかよ。

地上波放送で観た僕はこれらのシーンを知らず、後半登場する無理やりな場面だけに違和感を感じながらも、"ちょっと不思議なシリアス路線"の映画だと思っていた。それだけに後にレンタルビデオがこの世に出現してフルサイズを初めて観た時に衝撃を受けるのだった。そして「クレヨンしんちゃん」劇場版で、丹波哲郎演ずる温泉の神様が「俺はジェームズ・ボンドと風呂に入ったんだ」と語る場面に大爆笑することになるww。

ナンシー・シナトラの大好きな主題歌聴きながらある事に気づいた。
ん?「脚本 ロアルド・ダール」だと?
児童文学「チョコレート工場の秘密」(映画「チャーリーとチョコレート工場」の原作ね)を書いたあのロアルド・ダールだ。おお!そうか!「007は二度死ぬ」はアダルト向けファンタジー映画なのだ。

そう思ったら、なんかいろんなことが許せる気持ちになってきた。潜水艦の中にわざわざオフィスを作って出向いてくるMも、日本女性は欧米人の胸毛に憧れるという発言も、刺客の忍者も、日本人になりすましたと思えないボンドも、クライマックスのロケット基地であんだけ銃弾が飛び交っているのにボンドだけが余裕綽々で歩き回っていることも。小型ヘリコプターのリトルネリーなんて、「チャリチョコ」の透明エレベーターみたいなのものなんだ。空飛ぶ自動車「チキチキバンバン」の脚本も手がけたロアルド・ダールだもの。宇宙船を飲み込む宇宙船が出てきても不思議じゃないよ。

とか言いながらも、トヨタ2000GTや日本人ボンドガールも楽しい。当時小学生の僕が観るボンド映画には、実はちょうどよかったのかもしれない。ルイス・ギルバート監督はシリーズ中3作品を手がけるが、どれも大仕掛けな娯楽作。向いてるんでしょうね。

スペクターの首領ブロフェルドがついに姿を現すのも見どころ。ドナルド・プリーゼンスが演じたことで、僕と妹の中で"スキンヘッドの人=ブロフェルド"という図式が出来上がる。スキンヘッドの伯父がやって来る日に、「今日はブロフェルドがうちに来る!」とはしゃいでいた失礼な子供でございました😓

さて。「笑点」の前座布団配り、松崎真さんが出てくる場面はどこでしょうw





  

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