Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

王の男

2007-03-14 | 映画(あ行)

■「王の男/The King And The Crown」(2006年・韓国)

監督=イ・ジュンイク
主演=カム・ウソン イ・ジュンギ チョン・ジニョン カン・ソンヨン

 韓国ドラマ「チャングムの誓い」の最初の数話で、朝鮮王朝のクーデターが描かれる。この時失脚するのが、16世紀の朝鮮王朝でも暴君として知られる燕山君(ヨンサングン)。そして物語のキーパーソンである中宗へと王位は引き継がれるのだ。映画「王の男」はこの燕山君の時代が舞台。国一番の芸人になろうと旅をする主人公チャンセンと女形コンギル。二人は時の王燕山君を皮肉る劇を路上で披露して人々を笑わせていた。王を侮辱したとして捕まった彼らは、宮廷に連れてこられ刑罰を受ける。だが、母親の死後心を閉ざした王を笑わせることができたら許す、と言われる。そこから彼らは宮廷を舞台にした波乱に巻き込まれることになる・・・。

 この映画は韓国では大ヒットを記録したそうだ。これまで韓国で記録樹立!とか報じられる映画って民族の南北分裂を扱ったものが多かったのだが「王の男」は歴史劇で、しかも3人の男の愛憎劇。それだけ男達の織りなす人間ドラマが観る者を捉えて離さない。コンギルを演じたイ・ジュンギの端正な顔立ちと、カム・ウソンの荒々しさが対照的だ。二人の熱演も見事だが、僕はどんどん狂気に墜ちていく燕山君から目が離せなかった。その様子はこれ以上ないくらいに痛々しい。自らの矢で殺した家臣が死の直前に言った言葉を繰り返しながら遊び興じ、下品な芸に笑い転げる。そして自分の母親の死の真相を知り、王はそれに関わった者を次々と処刑する。これが「甲子士禍」と呼ばれる大弾圧だ。映画では王に仕える重臣の一人が、主人公二人に大臣や王家の様子を演じさせることで燕山君に気付かせる(「チャングム」では違うお話だったよね)。王は激怒し、自分の祖母まで殺害。

 芸人一座が演ずる度に誰かが死に、破滅へ一歩一歩進む。そして映画は、クーデターが勃発して群衆が宮廷になだれこむ場面で幕を降ろす。破滅へ向かう逆らえない運命に翻弄される男たち。観ていて苦しい話ではあるが、我々はその美しい映像に美学さえ感じながらその末路を見届けようとする。まるでビスコンティの映画を観ているみたいに。ラストの余韻も心に残る映画だ。

王の男 スタンダード・エディション王の男 スタンダード・エディション
イ・ジュンギ イ・ジュンイク カム・ウソン

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コメント (2)
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