■「デス・プルーフinグラインドハウス/Death Ploof」(2007年・アメリカ)
監督=クエンティン・タランティーノ
主演=カート・ラッセル ロザリオ・ドーソン ローズ・マッゴーワン ゾーイ・ベル
グラインドハウスとは、アメリカの田舎にあったB級映画しかかからない映画館のこと。アクションやホラー、お色気を売り物にした勢いばかりのB級映画が、マカロニウエスタンや怪獣映画、カンフー映画と2本立てで上映されていた。タランティーノ兄貴とロバート・ロドリゲスが、かつて楽しんだそうした映画の楽しさを再現しようと、2本立てを企画したのだった。
センセーショナルな要素を売り物にするB級映画テイストとはいえ、前半はこれと言って事件も起こらないのでお話としてはあまり盛り上がらない。まっそれでも、シドニー・ターミア・ポワチエ(シドニー・ポワチエの娘!)のセクシーなお姿や、ジュークボックスの前でヴァネッサ・ベルリトが腰を振って踊る場面以外は、えんえんと続くおしゃべり・・・(まぁこれもタランティーノ映画の名物ではある)。そしてカート・ラッセル演じるスタントマンマイクが彼女らを襲う陰惨な場面。ひぃーっ、やりすぎだろう・・・。この辺りで僕のテンションは下降線へ。
ところがキャストが変わる後半からが映画の力が爆発する。彼女たちはみんな映画関係のお仕事をしている設定だ。キャストは「ダイハード4.0」でマクレーン刑事の娘を演じたメアリー・エリザベス・ウィンステッド(チアリーダー姿がきゃわいい!)に、ロザリオ・ドーソンとトレイシー・トムズの「RENT」コンビ。そして、この映画の真の主役ゾーイ・ベルが登場。彼女は「キル・ビル」でユマ・サーマンのスタントを担当していた女性。彼女が「バニシングポイント」に出てきた憧れの車のボンネットに乗りたい!と言いだす。路上を見つめるカメラが実に絵になって、「バニシングポイント」への偏愛がひしひしと伝わってくる。そしてCG全盛の現在ではみられなかった怒濤のカーアクションが!。そう。この映画は、映画の現場を支えるスタントマンたちへのタランティーノの感謝と愛情の結晶なのだ。いつしかアツくなってる自分がそこに。
70年代のカーアクション映画を多少でもかじっていると、この「デス・プルーフ」はディティールを楽しめることだろう。劇中、カーアクション映画のタイトルが次々と登場する。例えば最近リメイク(「60セカンズ」)もされた「バニシングIN60」。「アンジーのやつじゃなくって」って台詞に映画館の暗闇でにやっとしてしまう。マイケル・スパークが「キル・ビル」に続いて保安官役で登場するし、親子の保安官なんてまるで「トランザム7000」じゃない!。そして登場する車好きの彼女たちがやたらアツく語る「バニシング・ポイント」。むかーしテレビの洋画劇場か何かで観た記憶がある。
他にもニヤリとさせる小ネタは随所に出てくる。
●「「ベガス」のロバート・ユーリックのスタントはオレがやったんだぜ」というカート・ラッセルの言葉に、70年代末期の海外ドラマが脳裏によみがえる。そういうカート・ラッセルは店の男性客に「「トラック野郎BJ」に似ている。」とか言われるし。これも「ベガス」と同時期のテレビドラマ。
●コンビニのレジのカウンターにタランティーノも参加したテレビドラマ「科学捜査班CSI」の雑誌が置いてある。
●シドニー・ターミア・ポワチエ扮するセクシーなジャングル・ジュリアが、私のあの看板が見えないの?とカート・ラッセルに嫌味を言う台詞。「あそこにも(看板が)あるわよ、ザトウイチ(座頭市)。」
●・・・
これ以上続けるとまた「~のルーツを探せ」をやっちゃいそうなので、この辺りで。
でも何よりも嬉しかったのは、エンドクレジットで流れた曲Chick Habit。これは僕も大好きなフランス・ギャルのカヴァー曲。邦題は「娘たちにかまわないで」!女の子を狙うサイコ野郎を描いたこの映画のラストにこそふさわしいシャレが利いた選曲ではないかっ!。
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北九州では同じシネコンで「エヴァ」初日。そっちは朝8時から始まってました。北九州では「エヴァ」はそのシネコンのみで上映なんでアニヲタさん的人物ロビーにうようよ・・・。いえいえ、人のことは言えません。「Zガンダム」のときは自分も列に並んでたんだもの(恥)。