■「獲物の分け前/La Curee」(1966年・フランス)
監督=ロジェ・ヴァディム
主演=ジェーン・フォンダ ミシェル・ピコリ ピーター・マッケナリー ティナ・マルカン
ジェーン・フォンダがロジェ・バディム監督のカノジョだった頃の主演作。この時代はヨーロッパで活躍しており、あのエロティックSFの金字塔「バーバレラ」などに出演している頃だ。これはエミール・ゾラ原作「はらわた」の映画化。20歳年の離れた実業家の夫(ミシェル・ピコリ)と結婚した資産家の娘ルネ(ジェーン・フォンダ)は、豪勢な暮らしを満喫していた。先妻と夫との息子マクシム(ピーター・マッケナリー)が同居している。最初は悪ふざけのつもりだったのが、次第に年齢の近い二人は互いに深い関係に・・・。
前半の二人の秘めた逢い引き場面は、バレやしないかとハラハラするし、ジェーン・フォンダの色っぽさにドキドキするし、ゆらめく水面を撮るキャメラが美しい。バディム監督が「オレのカノジョはいい女だろ!」と徹底的に見せつける。ここ繰り返し観たいなっ・・・というのが正直な感想(こら)。
二人で旅行した先の宿で
「ベッドを買い取りましょう。二人で過ごした記念だもの。」
と笑顔で言うルネ。夫が戻るかもしれないのに、マクシムのベッドに入って帰ろうとしない場面では
「自分の寝室に戻れよ。」
「一人で寝られないクセをつけたのは誰?」
そんな会話にもドキドキ。夢中になっていく様子が伝わってくる。ルネは夫と離婚してマクシムと一緒になりたいと望むようになる。ところが、最初「父を裏切ってやる」と強気だったマクシムは、意外にも父の提案を受け入れて資産家の娘であるガールフレンドとの婚約を選ぶ。婚約パーティを目にしたルネが呆然と屋敷を歩き、真っ白な壁の自分の部屋に座り込むラストシーン・・・。ルネは豪勢な監獄に囚われたようなもの。何とも言えない余韻。
父も息子もリッチな家の娘を妻にして、我が家の安泰を築こうとする。二人の男にとって、ルネもガールフレンドは狩猟犬がくわえてくる獲物のようなもの。邦題の「獲物の分け前」とは当をえた見事な表現だ。この映画の最大の魅力はジェーン・フォンダの美しさだが、ロジェ・バディム監督の撮り方・見せ方の巧さがあってのものとも思う。温室の中の水辺で過ごす裸の二人は本当に絵になる場面だし、ロングショットでふざけ合う二人をカメラが追ったかと思えば、表情に迫るアップ。僕ら世代にとって、リアルタイムのバディム作品というと、フィリピーヌ・ルロワ・ボーリューがかわいかった「さよなら夏のリセ」(1983)。青春映画なのに何故脇に名優ぞろい?と不思議に思ったけど、それはバディム監督のキャリアがあるからなのだ。バルドー主演作など60年代の作品をもっと観たいな。
監督=ロジェ・ヴァディム
主演=ジェーン・フォンダ ミシェル・ピコリ ピーター・マッケナリー ティナ・マルカン
ジェーン・フォンダがロジェ・バディム監督のカノジョだった頃の主演作。この時代はヨーロッパで活躍しており、あのエロティックSFの金字塔「バーバレラ」などに出演している頃だ。これはエミール・ゾラ原作「はらわた」の映画化。20歳年の離れた実業家の夫(ミシェル・ピコリ)と結婚した資産家の娘ルネ(ジェーン・フォンダ)は、豪勢な暮らしを満喫していた。先妻と夫との息子マクシム(ピーター・マッケナリー)が同居している。最初は悪ふざけのつもりだったのが、次第に年齢の近い二人は互いに深い関係に・・・。
前半の二人の秘めた逢い引き場面は、バレやしないかとハラハラするし、ジェーン・フォンダの色っぽさにドキドキするし、ゆらめく水面を撮るキャメラが美しい。バディム監督が「オレのカノジョはいい女だろ!」と徹底的に見せつける。ここ繰り返し観たいなっ・・・というのが正直な感想(こら)。
二人で旅行した先の宿で
「ベッドを買い取りましょう。二人で過ごした記念だもの。」
と笑顔で言うルネ。夫が戻るかもしれないのに、マクシムのベッドに入って帰ろうとしない場面では
「自分の寝室に戻れよ。」
「一人で寝られないクセをつけたのは誰?」
そんな会話にもドキドキ。夢中になっていく様子が伝わってくる。ルネは夫と離婚してマクシムと一緒になりたいと望むようになる。ところが、最初「父を裏切ってやる」と強気だったマクシムは、意外にも父の提案を受け入れて資産家の娘であるガールフレンドとの婚約を選ぶ。婚約パーティを目にしたルネが呆然と屋敷を歩き、真っ白な壁の自分の部屋に座り込むラストシーン・・・。ルネは豪勢な監獄に囚われたようなもの。何とも言えない余韻。
父も息子もリッチな家の娘を妻にして、我が家の安泰を築こうとする。二人の男にとって、ルネもガールフレンドは狩猟犬がくわえてくる獲物のようなもの。邦題の「獲物の分け前」とは当をえた見事な表現だ。この映画の最大の魅力はジェーン・フォンダの美しさだが、ロジェ・バディム監督の撮り方・見せ方の巧さがあってのものとも思う。温室の中の水辺で過ごす裸の二人は本当に絵になる場面だし、ロングショットでふざけ合う二人をカメラが追ったかと思えば、表情に迫るアップ。僕ら世代にとって、リアルタイムのバディム作品というと、フィリピーヌ・ルロワ・ボーリューがかわいかった「さよなら夏のリセ」(1983)。青春映画なのに何故脇に名優ぞろい?と不思議に思ったけど、それはバディム監督のキャリアがあるからなのだ。バルドー主演作など60年代の作品をもっと観たいな。
![]() | 獲物の分け前 HDニューマスター版 [DVD] エスピーオー 2010-03-03 売り上げランキング : 49965 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
