Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

ターザン

2013-04-05 | 映画(た行)

■「ターザン/Tarzan」(1999年・アメリカ)

●2000年アカデミー賞 主題歌賞
●2000年ゴールデングローブ賞 主題歌賞
●2000年グラミー賞 最優秀サウンドトラック

監督=クリス・バック&ケヴィン・リマ
声の出演=トニー・ゴールドウィン ミニー・ドライヴァー グレン・クローズ

 何度も映画化されたエドガー・ライス・バロウズの原作がディズニーアニメに!。正直言って、その選択に公開当時はええっ?と思った。屈強なお兄さんが主人公のディズニーアニメって、やはりイメージ違うと思うのだ。お姫様も魔法使いも出てこないお話だし。それにディズニーアニメのお約束であるミュージカルシーンは、「ターザン」の物語にしっくりいくのだろうか?という心配もあった。

 実際に観て驚いたのは、あの物語が短時間の中でしっかり凝縮されて描かれていること。ただ残念なのは、ターザンが実際に人間の文明に触れることなく島へ残る道を選択することや、最後にジェーンが島に残る決断をすることも愛情だけで片づけていることかな。人間文明への皮肉、警鐘という部分はすっかりそぎ落とされている。また、「他のゴリラと僕は違う」と言う子供の頃のターザンに、母ゴリラが「目も手も同じ2つだし、心臓の音だって聞こえるでしょう?」と言う場面が印象的だが、これはアメリカでの人種問題が背景にあっての描写なのであろう。それから、今までのディズニーアニメと決定的に違って、登場するキャラクターがよく死ぬ。死体も出てくるし、ハンターのクレイトンが死ぬ場面なんて本当にハラハラさせられる。ではあるがそこはディズニーらしく、動物たちのキャラクターを上手に使ってファミリームービーとしての形を整えている。

 従来のディズニーアニメで主人公の気持ちの代弁として歌われてきたミュージカルシーンを、ナレーションに使うという手法が実にうまい。特に冒頭、ターザンがいかにしてゴリラの母親に育てられるに至ったかを、台詞なしに映像と音楽だけでアッと言う間に納得させてしまう。今までだったら、落ち着いたナレーションが「むかし、むかし・・・」とやっていたところだ。これは音楽を担当したフィル・コリンズとマーク・マンシーナの功績がやはり大であろう。マンシーナは「コン・エアー」などの映画音楽も知られているが、そもそもはLAのセッション・キーボーディスト。イエスの「結晶」、ELPの「ブラック・ムーン」の仕事もよく知られているロック寄りの人材。元ジェネシスのフィルまで含めるとプログレ系の人脈ってことになるのかな。オスカーを受賞したフィルの主題歌 ♪You'll Be In My Heart も美しい。

(2003年筆)

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