Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

トータル・フィアーズ

2013-04-15 | 映画(た行)

■「トータル・フィアーズ/The Sum Of All Fears」(2002年・アメリカ)

監督=フィル・アルデン・ロビンソン
主演=ベン・アフレック モーガン・フリーマン ジェームズ・クロムウェル

 一言で言えば、恐ろしい映画だ。世界の平和がいかに微妙なバランスの上に成立しているのか。その恐ろしさが描かれていてゾッとする。政府の中枢に位置する大統領・官僚・軍人が感情に流され始めると、もうどうしようもないのだろうか。「もう2回も攻撃されてるんだぞ!」と叫ぶ政府高官がいたけれど、きっと1年前のアメリカもこうだったのでは。それにしても、かつてキューブリックが”核の恐怖”を皮肉ってから、もう数十年が流れているというのに、ボタンを押せ、やられたのならばやり返せ、と迫る軍人たちの姿は全く変わっていないではないか。それも恐ろしい。実際に起こりうるかもしれない、様々な”恐怖”が描かれる。しかしこの映画で描かれる”核の恐怖”は、”使う恐怖”であって”使った後の恐怖”ではない。ボルチモアでの核爆発後の描写は、あまりにも認識が甘すぎる。我々日本人にはそこはどうしても気になるところだ。

 僕はベン・アフレックがどうも苦手だ。実は「アルマゲドン」も「パールハーバー」も未見。最初にこの映画の話を聞いたときには、頼りなさがイメージとしてあるもので、彼がジャック・ライアン役!と驚いてしまった(原作のシリーズでは大統領になるんだもの)。でもそんな彼が”意外な”(ファンの方々失礼)活躍をするのが面白いところかな。ライアンを敢えてCIAの下っ端に設定を変えたのも、まぁ映画としては成功かも。フィル・アルデン・ロビンソン監督に関しても、代表作といえば「フィールド・オブ・ドリームス」で全く別路線だけにどんな映画になるんだろう?と正直思っていた。あの映画のケビン・コスナーとこの映画のベン・アフレックの共通点は、自分の思いに対するひたむきさかな。

 そんなライアンの活躍で危機は回避され、ホワイトハウスで軍縮へ向けた米ロの合意がなされるラストシーン。それをバックに、次々とこの事件に関わった真の悪人どもが消されていく。ん?、この演出どこかで観たことが・・・・あ!「ゴッドファーザー」だ!。マイケルの子供の洗礼に、裏切り者を抹殺する殺人が重なる名場面。コルレオーネに逆らうと怖い・・・・アメリカに逆らうのもまた怖い、そういう演出なんだろうか?。そう思ったら、この映画の怖さはまた違ったものになるのだけれど。

(2002年筆)




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