Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

エステサロン ビーナス・ビューティ

2013-04-22 | 映画(あ行)

■「エステサロン ビーナス・ビューティ/Venus Beauty」(1999年・フランス)

●2000年セザール賞 作品賞・監督賞・脚本賞・有望若手女優賞
●2000年シアトル国際映画祭 主演女優賞

監督=トニー・マーシャル
主演=ナタリー・バイ ビュル・オジエ サミュエル・ル・ビアン オドレイ・トトゥ

 エステサロンは外見を磨くお店。されど、そんな外見を美しくして幸せになるお客さんたちの陰で、エステティシャンたちには様々な悩みや思いがあるのだ。主人公ナタリー・バイはお店では年長者で、腕も確かなエステティシャンだが独立もせず、若いコたちと同じ立場でいる。彼女は男性不信であるせいか恋にも恵まれないし、かつて自分が顔面に傷を負わせた男友達に悪いとう気持ちから自信も持てないでいる。彼女は自分を「痩せすぎの女」と呼ぶ。そんな彼女にいいよる男性が現れた。しかし・・・とまあそういうお話で、彼女が愛を受け入れるまでを描いた素敵な恋愛映画である。ナタリー・バイが決して若くはない女性の寂しさ、不安を見事に演じている。

 この映画の魅力はそんな主演女優だけではない。フランス映画は人間模様を描くのが昔々からのお家芸。ここにはそれがきちんと息づいている。若手エステティシャンたちや、お店に訪れるお客たち、それぞれが個性的で随所に彼女(彼)らの生き方が見えてくる。そこがこの映画を単なる恋愛映画に止めておかない。自身が女優でもあるトニー・マーシャル監督は、暖かく優しい視線で登場人物たちを見つめる。店の外から長回しのキャメラで登場人物たちを追うところに、そんな印象を受けた。特にほとんど無言のラストシーンは美しい。「アメリ」のオドレイ・トトゥも若手エステティシャンとして登場、セザール賞新人賞を獲得した。彼女に入れ込んでいく初老の男性に、名優ロベール・オッセンという配役が憎いね。

(2003年筆)



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