Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

2019-09-07 | 映画(わ行)


◼️「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド/Once Upon A Time In Hollywood」(2019年・アメリカ)

監督=クエンティン・タランティーノ
主演=レオナルド・ディカプリオ ブラッド・ピット マーゴット・ロビー カート・ラッセル

うーん…確かに楽しい。タランティーノ映画に挿入されるオマージュ描写や小ネタが大好きな僕にとっては満足度は高い。でも絶賛したいとは思わない。

こんなこと書くと「これを高評価しないなんて、お前の映画愛はその程度なのか?」「ブラピとレオ様の共演に感激しないの?」とか言われそう。僕は"バイオレンス嫌いのタランティーノ好き"という屈折した映画ファンなので(笑)、この映画にも惚れるポイントとそうでないポイントがある。それだけだ。ともかくこの映画をリトマス試験紙のように扱わないで欲しい。手放しで絶賛はしないけど、素敵な映画なんだもの。

タランティーノが1969年を舞台に選んだのは、自分が幼い頃の時代の空気を再現したかったんだろう。みんなが映画館で歓声をあげ、テレビ番組に夢中になれた時代。「デスプルーフ」の前半には70年代テレビドラマの話題が盛り込まれていたが、本作ではもっと前の時代、「FBI」「グリーンホーネット」「バットマン&ロビン」「コンバット」などの名前が登場する。親が見ていた外国ドラマだっよな。当時撮影現場でアクション指導をしていた無名時代のブルース・リーが登場する場面は、この映画でも好きな場面のひとつ。ここでブラピは彼を「カトウ」(「グリーンホーネット」でブルースが演じた役)と呼ぶ。あー、好き好きこういうネタ。マーゴット・ロビー演ずるシャロン・テートが映画館で出演作「サイレンサー/破壊部隊」を観る場面も好き。映画やテレビの身近なエンタメが主人公だけでなく多くの人に愛されていたと感じさせる素敵なシーン。

僕は「キル・ビル」(特にvol.2)や「ジャッキー・ブラウン」のグッとくるラストには、ブルースギターの"泣き"フレーズのように感激してしまう。落ち目スタアを演ずるレオナルド・ディカプリオが悪役で出演する西部劇撮影現場の場面もよかった。
「今までの人生でサイコーの演技だったわ」
って、8歳の子役に言われるのは笑うしかないんだけど、そこに励まされているディカプリオになんか人生を感じるじゃない。そしてスタントマンとして彼を支えるブラピのひと言。
「お前はリック・ダルトン様だ。忘れんな」
短いながらも相手を理屈抜きに認めている台詞。これ実生活で言えたらカッコいいよなー、とつまらないことを考える。そんな二人が映画の最後に交わす言葉。
「オレたちいい友達だろ」「努力してる」
短い会話に二人のビミョーな関係が感じられる。タランティーノ映画の魅力って、脚本だな、台詞なんだな、と改めて感じた。

なかなか人が死なないな…と思ったら最後の最後に大暴走。バイオレンス描写はタランティーノ映画には付き物なのでいいんだけど、「イングロリアス・バスターズ」以来久々にドン引き(汗)

これまでタランティーノは愛する映画たちを演出や台詞の中にうまく引用してオマージュを捧げてきた。でも今回は本編映像をサンプリングしている。権利関係をクリアするのに裏側の苦労もあったのでは…と思う。「サイレンサー/破壊部隊」、シャロン・テートのアクション場面は、この映画で実際に見られるからこそ興味をそそられるし、ブルース・リーがあの時代にいたんだと感慨深くしてくれる。

主人公リック・ダルトンが「大脱走」でスティーブ・マックイーンが演じた役の候補だった、というエピソードが出てくる。今までなら台詞で済ませていたし、それで十分に彼がビッグだったことは伝わるだろう。でも今回は本編映像でレオ様の顔をコラージュして使った。悪いな、タランティーノ。このおふざけはやり過ぎだ。「ローグワン」でピーター・カッシングとあの人を蘇らせた技術が今のハリウッドにはある。あれはストーリー上のつながりの必要からだろうし、効果絶大だった。でも、スティーブ・マックイーンの顔をすげ替えるだと?監督もリスペクトしているはずの「大脱走」をイジるだと?それは愛なのか?僕はこの場面に感じたイライラを結局最後まで引きずった。

結末には唖然…。でも、これは映画という名の御伽草子。
むかーしむかし、ハリウッドで…
で始まる大人の童話なのだ。


コメント
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