◼️「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝
- 永遠と自動手記人形 -」(2019年・日本)
監督=藤田春香
声の出演=石川由依 寿美菜子 悠木碧 子安武人 内山昂輝
テレビアニメ「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」には毎週泣かされた。戦場で"兵器"として殺戮することしか知らなかった少女が、上官となったギルベルトから初めて優しさを知る。彼の最期の命令は「生きろ」、そして少女が聞いたことのない「愛してる」のひと言だった。戦争が終わり、ギルベルトの友人クラウディアが経営する郵便会社で手紙の代書をする仕事に就くことになる。ヴァイオレットが様々な人と接する中で「愛してる」の意味を探す物語。第一次世界大戦後のヨーロッパを思わせる時代と舞台設定は「キャンディキャンディ」世代の僕らにはかなりツボだし、頑なだったヴァイオレットの成長と、手紙に託す人の思い、それを伝える言葉の大切さに毎回感動させられた。
今回「外伝」として製作されたこの作品は、手紙代書屋のヴァイオレットが、寄宿制学校にいる良家の子女イザベルの侍女兼家庭教師として送り込まれるストーリー。テレビシリーズの延長上だが、映画前半の主軸はイザベルの荒んだ心がヴァイオレットによって次第に和らいでいく様子だ。最初から良家に生まれた訳ではないイザベルの生い立ち。ヴァイオレットは自分の過酷な生い立ちを語ることはないが、ちょっとした台詞にずしりと重みがある。テレビシリーズを知らずとも、イザベルと生き別れた妹テイラーを手紙でつなぐヴァイオレットの姿に感動できる。テレビシリーズを知っているとヴァイオレットの言葉の背景が理解できて、さらに感動は深まるだろう。人とつながることを苦手と感じている人、過去に関わった誰かに伝えられなかった気持ちを募っている人。誰もが抱えるそんな気持ちに、この作品はそっと寄り添ってくれる。
それにしても京都アニメーションの仕事の緻密さ。自然、天候、背景、表情、動き、構図。絵の描写の繊細さだけでなく、物言わぬ場面なのに登場人物の気持ちがひしひしと伝わる構成の見事さ。特に「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」は主人公が寡黙なだけに表現の巧さが感じられる。今他のアニメ作品を映画館で観ても、ただの大画面にしか感じないかもしれない。それだけ自分の気持ちが高まっているのだろう。
テレビシリーズで泣かされたクチなのだが、今回は特別。あの事件があっただけに、監督の意向で今回は経験の浅い人も含めてすべてのスタッフの名前がエンドロールに載せられた。下から上へと流れていく名前を見ながら、僕は泣きそうでくちびるの震えが止まらなかった。そのシネコン最大キャパのシアター、誰ひとりエンドロールで席を立つことはなかった。
今回「外伝」として製作されたこの作品は、手紙代書屋のヴァイオレットが、寄宿制学校にいる良家の子女イザベルの侍女兼家庭教師として送り込まれるストーリー。テレビシリーズの延長上だが、映画前半の主軸はイザベルの荒んだ心がヴァイオレットによって次第に和らいでいく様子だ。最初から良家に生まれた訳ではないイザベルの生い立ち。ヴァイオレットは自分の過酷な生い立ちを語ることはないが、ちょっとした台詞にずしりと重みがある。テレビシリーズを知らずとも、イザベルと生き別れた妹テイラーを手紙でつなぐヴァイオレットの姿に感動できる。テレビシリーズを知っているとヴァイオレットの言葉の背景が理解できて、さらに感動は深まるだろう。人とつながることを苦手と感じている人、過去に関わった誰かに伝えられなかった気持ちを募っている人。誰もが抱えるそんな気持ちに、この作品はそっと寄り添ってくれる。
それにしても京都アニメーションの仕事の緻密さ。自然、天候、背景、表情、動き、構図。絵の描写の繊細さだけでなく、物言わぬ場面なのに登場人物の気持ちがひしひしと伝わる構成の見事さ。特に「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」は主人公が寡黙なだけに表現の巧さが感じられる。今他のアニメ作品を映画館で観ても、ただの大画面にしか感じないかもしれない。それだけ自分の気持ちが高まっているのだろう。
テレビシリーズで泣かされたクチなのだが、今回は特別。あの事件があっただけに、監督の意向で今回は経験の浅い人も含めてすべてのスタッフの名前がエンドロールに載せられた。下から上へと流れていく名前を見ながら、僕は泣きそうでくちびるの震えが止まらなかった。そのシネコン最大キャパのシアター、誰ひとりエンドロールで席を立つことはなかった。