Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

シークレット・スーパースター

2020-09-06 | 映画(さ行)






◾️「シークレット・スーパースター/Secret Superstar」(2017年・インド)

監督=アドヴェイト・チャンダン
主演=ザイラー・ワシーム メヘル・ヴィジュ アーミル・カーン

オリジナル曲をギター弾きながら歌っていた少女インシア。プロ歌手になることを夢見ていたが、厳格な父親に逆らうことができない。母親がノートパソコンを買い与えてくれたので、父親にバレないように顔を隠して自作曲を歌い、動画投稿サイトにアップ。これがたちまち評判となり、覆面歌手の正体は?次の作品はいつ?と大きな話題となる。そして落ち目の音楽プロデューサー、シャクティ・クマールからもラブコールが。一方、家庭では父親の母に対する暴言暴力はエスカレート。インシアは、音楽への熱い気持ちも折れてしまうが、母を守るために両親を離婚させる作戦を思いつく。

映画前半は、インシアが音楽で認められていく様子がテンポよく語られて楽しいが、一方で観ていて辛いところもある。父親の妻を見下す言動やインシアを罵る様子には怒りを覚える。アーミル・カーンの前作「ダンガル きっと、つよくなる」でも語られたインドでの女性の社会的地位の問題。なんて根深い。そんな重い空気は、シャクティに招かれてムンバイでレコーディングをするあたりから急変。再び歌声が響き渡る場面の感動、その一方でインシアにはもはや音楽に関われなくなる事態が持ちあがる。このままで終わるはずがない…と信じて画面を見つめる僕らに、驚きの展開が待っている。単なる少女のサクセスストーリーだと思っていたら、最後の最後にその先入観は打ち砕かれる。そうか、題名であるシークレット・スーパースターの本当の意味は…!ほんっとにアーミル・カーン関連作はハズレがない。

この映画をベタだと評する人は多かろう。何が悪い。それだけ観る側のハートに迫ってるってことでしょ?でもこれは単なるベタな映画じゃない。社会への力強いメッセージと愛がひとひねり加わっているから、そこらの安っぽいベタな映画とは違うのだ。ベタな感動に全力で突き進むパワーと工夫がここにはある。

感動の涙がにじむ中、エンドクレジットでアーミル・カーンが思いっきりバカをやってくれる。もう、ほんとにいい人なんだから。Wikiによると、主役のザイラー・ワシームは宗教的事情から女優をやめるとか。スクリーンの外側も難しい世の中である。



映画『シークレット・スーパースター』予告編


コメント
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