Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

太陽が知っている

2020-09-25 | 映画(た行)






◾️「太陽が知っている/La Piscine」(1968年・フランス)

監督=ジャック・ドレー
主演=アラン・ドロン ロミー・シュナイダー モーリス・ロネ ジェーン・バーキン

ルカ・グァダニーノ監督によるリメイク「胸騒ぎのシチリア」を観たので、オリジナルに挑もうとTSUTAYAでお取り寄せレンタル。リメイク版でマティアス・スーナールツが演じた役柄がアラン・ドロンで、その恋人がロミー・シュナイダー。スクリーンの外側では、この二人は婚約していた時期がある。破局後、女優業から遠のいていた彼女を、本作の製作にあたりアラン・ドロンが共演者に指名し、ロミー・シュナイダーにとってはカムバック作となった作品。

そういう目で見ると、映画冒頭プールサイドで二人がイチャつく様子がやけに眩しく見える。水着を脱がすアラン・ドロン。ロミー・シュナイダーも遠慮なく彼の海パンを下ろす様子なんて、もはや演技とは思えない。そんな二人のところへ未練タラタラのモーリス・ロネが、娘ジェーン・バーキンを連れてやってくる。物語に不穏な空気が流れ始める。

四人の関係が崩れていく様子は、リメイクの方がそれぞれの男女に何が起こったか明確に描かれている。しかし結末が曖昧な分だけ、オリジナルの方が筋がしっかりした印象を受ける。警察の捜査が入るクライマックスはオリジナルの方が論理的で、リメイクよりも格段に説得力がある。犯罪映画がお得意のジャック・ドレー監督らしい部分かも。男と女が惹かれ合うこと、思いが募ることのどうしようもなさを考えさせられて、映画の余韻に心地よく浸れるのはこっちかな。

それにしても、出演者が揃うだけで説得力がある映画。モーリス・ロネはドロンに殺される役柄というだけでなんとなく納得するし(「太陽がいっぱい」のせいね)、台詞も少ないのにやたら存在感があるジェーン・バーキン。そこに加えて、スクリーンの外側で起きたアラン・ドロンの身辺に起こったスキャンダル、ロミー・シュナイダー復帰劇という現実が、映画を面白くした面もあるかもしれない。いずれにしてもスタアだからこそなんです。





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする