Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

昨日・今日・明日

2022-09-10 | 映画(か行)

◼️「昨日・今日・明日/Ieri Oggi Domani」(1963年・イタリア)

監督=ヴィットリオ・デ・シーカ
主演=ソフィア・ローレン マルチェロ・マストロヤンニ ジョヴァンニ・ルドルフィ

父親の机の引き出しから、父が若い頃に観た映画チラシや半券が出てきた(詳しくは「ローマの休日」レビュー参照)。そうした物証(笑)と日頃の言動で、映画スターの好みがなんとなくわかってきた。「ローマの休日」の上映日に赤鉛筆で丸つけて、八千草薫が好きとか言うから、(母と似た)スレンダー好みだとずっと思っていたのだが、どうも父のミューズはソフィア・ローレンなのではないかと疑っている。僕も松本零士の描くスレンダーな女性に惹かれていたくせに、ミューズと公言するのはソフィー・マルソー。男って矛盾を抱える生き物なのだろか💦

ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニ共演のオムニバス艶笑コメディ「昨日・今日・明日」。ずっと気になっていたのだが、今回初めて鑑賞。第1話では、闇タバコを売って失業中の夫と家族を養っているタフな女性を演じている。彼女には不払いの罰金があり、差押えされる前に家財を隠したものだからついに逮捕されることに。イタリアの法律では妊婦と産後6ヶ月の女性は逮捕されない。彼女はこの法律を盾に次々に子供を産み、逮捕を逃れるというお話。夫は毎年増える子供の世話でどんどん疲弊していき、実家の母親に泣きつく。その一方でどんどん美しくなる妻。隣近所の人々とのつながりが観ていて心地よい。とにかく明るく楽しいコメディ。

第2話は社長夫人。ロールスロイスのオープンカーで不倫相手のマストロヤンニとドライブするのだが、その行く先で起こった騒動を描く。貧困家庭の第1話とはガラリと違う毛皮をまとったゴージャスな社長夫人。渋くキメていたつもりのマストロヤンニが、いざトラブルになって役に立たない。それを思いっきり罵る。

甲斐よしひろはかつて「1世紀前のセックスシンボル」という曲で、歌詞のヒロインを
♪ソフィア・ローレン、ラクウェル・ウェルチに負けやしない
♪バストにはエナジー詰まってる
と歌った。なるほど。そこで比較の対象となるソフィア・ローレンの神々しさ。なんかわかってきた気がする。何せ僕ら世代は「ひまわり」の耐える女くらいしか知らないから。

その男目線で感じる"神々しさ"がいかんなく発揮されたのが第3話。ソフィア・ローレンが演ずるのはコールガールのマーラ。隣りに住む老夫婦の元に神学生の孫ウンベルトがやって来た。お年頃の彼は、お色気ムンムン(死語?)な隣のお姉さんに夢中になってしまう。孫に近づくなと怒るおばあちゃん。ウンベルトはいかにもイタリアの伊達男なスーツ姿で背伸びして現れる。しかし神学校に戻るようにマーラに言われて自暴自棄に。われらがマルチェロは、ずーっとおあずけを喰らう馴染みの男性役。マーラに振り回されているのか、勝手に騒いでいるのか、とにかく落ち着きのないダメ男で笑わせてくれる。僕ら世代にとってマルチェロ・マストロヤンニは、子供の頃に男性化粧品VALCANのCMで見てた渋いイメージ(同世代にしかわかんない?w)が強いから、ストッキングを脱ぐマーラを見てキャーキャーはしゃいでるエロ親父ぶりが面白くて仕方ない。

第3話のヒロインは、男性を虜にするのみならず、少年の憧れでもあり、老婦人から最後は人柄で認められる魅力をもつ女性。スタイルや美貌だけじゃないのだ。3話を通じてソフィア・ローレンの魅力満載の映画だ。これは、わが親父殿も含めて特に男性は夢中になるだろうし、女性にとってもこのバイタリティと美しさは憧れてしまうかも。

「河の女」もよかった、と親父殿は具体的にタイトルを挙げる。改めて親父の机から出てきたチラシを見ると、おお、アンソニー・パーキンスとの共演作があるぞ。タイトルは「楡の木陰の欲望」…聞くだけで悶々としてきそうなタイトルw。



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