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キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

殺人鬼に罠をかけろ

2024-08-06 | 映画(さ行)


◼️「殺人鬼に罠をかけろ/Maigret Tend Un Piege」(1958年・フランス)

監督=ジャン・ドラノワ
主演=ジャン・ギャバン アニー・ジラルド ジャン・ドザイー

パリ五輪のせいなのか、今年はついついフランス映画に手が伸びる。「メグレと若い女の死」を観て、興味をもったジャン・ギャバンのメグレ警視映画をセレクト。

「殺人鬼に罠をかけろ」はジャン・ギャバンがメグレ警視を演じた第1作。タイトルにメグレの名前が出てこないのは、「現金(げんなま)に手を出すな」を筆頭に50年代ギャバン主演作がちょっとワイルドな文句を選んでいたからなんだろか。ちょっとネタバレ感もありますが。セーヌ川沿いパリ市街の地図に、メグレ警視のトレードマークであるパイプの影が重なるタイトルバック。

女性が被害者となる連続殺人事件が起こる。パリ4区警察署は地元で解決しようと考えていたが、第一報の通報はメグレ警視を名指した犯人によるものだった。犯人を付け上がらせるものか。メグレは「容疑者逮捕。異常者の犯行」との記事を報道をするようにしむけた。すると警視庁に「異常者ではないぞ」と犯人からのメッセージが。手柄をあげたいばかりの4区警察署の初老刑事は、現場検証を見ていた群衆から不審な女性を尾行する。彼女と事件の関わりは?メグレと犯人との駆け引きの行方は?

予想以上に面白い。ジェラール・ドパルデューのメグレは終始演技は抑えめで、(言い方が悪いが)"枯れた"男の魅力。本作のギャバンは、ギャング映画をビシバシ撮ってた頃だけに、そのイメージと変わらない凄みと貫禄がある。ドパルデューの静なイメージとは違って、声を荒げて容疑者と向き合う場面は、引き込まれる迫力がある。その一方で、バカンスに行けなくなったと嘆く妻や、取調べで出会う人々とのやり取りでは、人間味を感じる。

フーダニット重視の犯人探しミステリーとは違って、犯行の裏側にある"女性不信"感情のルーツにまで触れるストーリーは、原作の良さもあるのだろうが、引き込まれる。基本は人情刑事ものなんだな。

アニー・ジラルドは、それなりの年齢になってからのアラン・ドロン共演作しか観たことがなかった。本作の若き彼女は、揺れる心情がありながらも、愛に裏付けられた芯のある強さ。今年の助演賞候補かな。こういう人間模様の面白さは、やっぱりフランス映画の魅力。




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