■「トップガン/Topgun」(1986年・アメリカ)
監督=トニー・スコット
主演=トム・クルーズ ケリー・マクギリス バル・キルマー アンソニー・エドワーズ
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80年代定番サントラとして忘れてはいけないのは、やはり「トップガン」。F-14トムキャット戦闘機のエリートパイロットを養成所を舞台にしたアクション映画であり青春映画。映画は大ヒットを記録した。日本では86年12月にお正月映画として封切られるのだが、同時にトム・クルーズがポール・ニューマンと共演した「ハスラー2」もこの月に封切。トム・クルーズ人気は一気に高まることとなる。「トップガン」の大ヒットはファッションにも影響を与え、町にはフライトジャケットMA-1を着た若者がうようよいた。2005年にはデジタルリマスター版がリバイバル公開された。
ファンには申し訳ないが、「トップガン」は悪く言えばF-14戦闘機を見せつけるために製作されたような映画。海軍士官学校を舞台にした82年の「愛と青春の旅立ち」では国防省の撮影許可が下りず、戦闘機が飛ぶ場面を撮影することができなかった。しかし「愛と~」の大ヒットで国防省が態度を一変。全面協力の下、「トップガン」は製作されたという経緯がある。故にアメリカ軍のPR映画、悪く言えばプロパガンダ映画、F-14のPV、米国人国威高揚映画といった呼び名がどうしてもこの映画にはつきまとう。人間ドラマ部分はさておき、飛行シーンは確かにド迫力。これは最大の見どころだ。
サントラを担当したのはハロルド・フォルターマイヤー。彼はジョルジオ・モロダーのブレインの一人で、キーボード奏者。彼が手掛けた「ビバリーヒルズ・コップ」の主題曲はインストロメンタルながらもチャート上位を駆けめぐった。歌ものは、ベルリンの歌った愛のテーマ Take My Breath Away が全米第1位を記録、さらにアカデミー賞も受賞した。そして”映画主題歌男”ケニー・ロギンスの Danger Zone (こちらは全米第2位)。ちなみに主題歌は多くのアーティストにオファーされ、キーが高いとか様々な理由で断られ、ケニー・ロギンスに落ち着いたと伝えられる。オファーされた一人であるブライアン・アダムスは、「戦争を賛美する映画じゃ歌わねぇ!」と断ったというエピソードも残されている。また、製作者側はブルース・スプリングスティーンの Born In The USA を使用したかったという話も。初期の予告編には、カーズのアルバム「Heratbeat City」に収められたStranger Eyesが使われていた。
トム・クルーズの代表作となっている本作だが、製作者たちが主演に起用したかったのはマシュー・モディーンだった。モディーンはこのオファーを断り、スタンリー・キューブリック監督作「フルメタル・ジャケット」に出演する。そしてトム・クルーズに出演依頼が来ることになるのだった。脇役でメグ・ライアンやティム・ロビンスも出演。
■Top Gun Anthem (トップガン 賛美の世界) / Harold Faltermeyer & Steve Stevens
from「トップガン/Topgun」(1986年・米)
タイトルバックに流れるのは、ハロルド・フォルターマイヤー作のインストロメンタル曲。サントラにはスティーブ・スティーブンスのギターがフィーチャーされているが、映画の冒頭に流れるのはストリングス系シンセで奏でられた淡々としたアレンジ。テイクオフを控えた戦闘機の様子を追う映像に、キャスト・スタッフの名が並ぶ。そして、テイクオフと共にBGMはケニー・ロギンスの Danger Zone へ。
この Top Gun Anthem は、86年のグラミー賞で最優秀ポップ・インストゥルメンタル・パフォーマンスを受賞している。映画冒頭のミグと遭遇する空中シーンでもこのメロディーが流れるし、訓練で見事に成果をあげた後「管制塔に挨拶するんだ。」とスレスレに飛行する場面にもこの曲が流れる。
スティーブ・スティーブンスは、ビリー・アイドルとのコンビで注目されたスゴ腕ギタリスト。日本では、氷室京介とのコラボレーションで話題を呼んだ。またトニー・レヴィン、テリー・ポジオと組んだユニット、ボジオ・レヴィン・スティーヴンスでは、ロックでもプログレでもなんでもこなす音楽的な幅の広さを見せつけてくれる。ソロアルバムではフラメンコの作品も発表しているとか。2006年にはフジテレビのサッカー番組のテーマ曲を書き下ろし。依頼した番組スタッフの頭には、この Top Gun Anthem があったのは間違いないだろう。
※Steve Stevens 関連の曲が流れる主な映画
1986年・「トップガン」 = Top Gun Anthem
1988年・「ビッグ」 = Rebel Yell (Billy Idol)
1988年・「D.O.A.」= Rebel Yell (Billy Idol)
1990年・「リトル★ダイナマイツ/ベイビー・トークTOO」 = Rebel Yell (Billy Idol)
1994年・「エース・ベンチュラ」 = Power Of Suggestion
1994年・「スピード」 = Speed (Billy Idol)
Harold Faltermeyer - Top Gun Anthem (Official Audio)
■Danger Zone / Kenny Loggins
from「トップガン/Topgun」(1986年・米)
発進準備をする戦闘機を見つめるタイトルバックから、テイクオフとともに流れるのは、”80年代のサントラ男”ケニー・ロギンスの Danger Zone だ。シングルカットされたこの曲は全米2位を記録する大ヒットとなった。エリート戦闘機乗りを養成する基地へ行くことになった主人公トム・クルーズ。カワサキのオートバイをかっ飛ばして滑走路に併走する道路を走る場面 や、後半正念場となった訓練場面などでも繰り返し流れる。この曲の疾走感は、戦闘機でもオートバイでも似合ってしまうから不思議。
作曲とプロデュースは、もちろん80年代洋楽好きが崇める御大ジョルジオ・モロダー。この曲は、当初REOスピードワゴン又はTOTOに歌わせたいという意向だったという。ちなみにこのサントラの多くの曲で作詞を担当した人物、トム・ホイットロックは、モロダーのスポーツカーのメカニックだったとか。縁は異なもの味なもの。
※Kenny Loggins 関連の曲が流れる主な映画 → 「フットルース」 参照
Kenny Loggins - Danger Zone (Official Video)
冒頭の離陸シーンからいきなり気分アガりますよね。