Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

桜田門外ノ変

2010-10-17 | 映画(さ行)

■「桜田門外ノ変」(2010年・日本)

監督=佐藤純彌
主演=大沢たかお 長谷川京子 柄本明 北大路欣也 伊武雅刀

 かつて五社英雄監督の「226」が公開された時、国の行く末を憂う青年のエネルギーは今どこへいったのか・・・みたいな話や評があったのを覚えている。この「桜田門外ノ変」も実は同じ発想やスタンスで撮った映画だ。外国と日本との関係は圧力に屈してばかりではないか、強いリーダーがいない日本の政治はこれでいいのか。国民不在で首相が決まるような状況も徳川家の血筋を重んずる世継ぎと変わらないのではないか・・・とでも言わんばかり。映画の最後、朝廷が江戸城入りする場面で西郷隆盛が桜田門を見て「ここからすべてが始まった。」と言う。そして現在の国会議事堂のアップで映画は幕を閉じるのだ。「新幹線大爆破」や「敦煌」を撮って僕らを感動させてきた佐藤純彌監督は、きっと今の日本を憂う気持ちがあるに違いない。

 正直言うと僕は映画冒頭から「え・・・」と拍子抜けしてしまったのだ。だって、あまりにも”説明”が多い映画だったから。いきなり歴史教科書でよく見るアヘン戦争の絵が大画面に映し出されて、「清国の次に列強が狙ったのは日本なのであった・・・」とナレーションが入る。教育映画?。黒船来航の場面も人々の会話に違和感を感じる。「でっけぇな」「鉄でできてるんだぜ」いや、わかるけどその会話はありきたり。感じたことのない脅威があったはずだろうに・・・。さらに観ている間中むずむずしていたのが、時代劇なのに台詞がどことなく現代ぽいところ。北大路欣也の台詞までもがなーんか軽い。逃亡する水戸浪士の一人である大沢たかおを捕らえるために、武士が「捜索に協力しろ」って言うかなぁ?あの歴史ある東映が撮っているのに時代劇らしい”重み”がどこか感じられないのだ。伊武雅刀だけがちょっとオーバーな演技で井伊直弼を演じきっていて素敵だった。

 井伊直弼暗殺は映画の始めに登場する。歴史的なクーデターを成し遂げるものの、非業の死を遂げる者、ひたすら逃げ続けて果てる者、正しい行為だったのか苦悶する者、そうしたその後の苦難を描くのがテーマなのだ。全体的に派手さはない。僕がもう一歩満足できなかったのはあくの強いチャンバラ時代劇「十三人の刺客」なんぞを先に観てしまったせいかもしれない・・・うん、きっとそうだろう。

 面白いのは、この映画は茨城県の地域振興と郷土愛醸成を目指して企業や団体が出資している映画でもあることだ。ここは重要。映画会社や企業だけが出資して撮った映画ではないので、ロケ地の選定にも茨城県側の意向が反映されることになる。これは新しい地方PRの手法だな、と関心した。主人公が匿われる長者屋敷も捕らえられる温泉宿も、とても素敵な風景だった。行ってみたい!と思ったもの。ところが映画上重要なシーンは、おそらくほとんどがセット撮影。桜田門という場所が場所だけにロケという訳にはいかにだろうけど、暗殺シーンは舞台劇の雰囲気だった。白い雪に飛ぶ血しぶき。襲撃シーンの迫力は特筆すべきみどころ。



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ロシュフォールの恋人たち

2010-10-16 | 映画(ら行)

■「ロシュフォールの恋人たち/Les Demoiselles De Rochefort」(1966年・フランス=アメリカ)

監督=ジャック・ドゥミ
主演=フランソワーズ・ドルレアック カトリーヌ・ドヌーヴ ジーン・ケリー ジョージ・チャキリス

 社会人になってすぐくらいだったか、「シェルブールの雨傘」を初めて観たとき何故か好きになれなかった。全編台詞が歌だということがピンとこなかったのか、当時はカトリーヌ・ドヌーブが苦手だったのか、お話が暗いと感じたのかよく覚えていないけど。でも心に強く強く残ったのはミシェル・ルグランの音楽。ジャック・ドゥミ監督作のリバイバル、映画友達の強いお薦めもあり「ロシュフォールの恋人たち」を鑑賞。もう映画の冒頭から夢中になってしまった・・・な、なんて幸せな気持ちにしてくれる映画なんだろう。今まで観ていなかったことや劇場で観られなかったことを悔やむよりも、この映画に出会えたことが嬉しい。素直にそう思える映画だ。

 映画のオープニングはジョージ・チャキリスらイベント屋たちの群舞。ロシュフォールのお祭り会場となる広場へとダンスは移り、繰り広げられる恋物語の舞台に小さな街は変わっていく。ここまでのオープニングですっかり引き込まれてしまうのだ。説明はいらない、台詞すらいらない。そしてカトリーヌ・ドヌーブと実姉フランソワーズ・ドルレアックが登場する場面の”双子の歌”。彼女たちのキャラクターと映画の明るい雰囲気を象徴する見事な場面だ。
Les Demoiselles de Rochefort

みふぁそらー、みれ、れみふぁそっそっそっれどぉー♪
何度でも観たくなる。そう思わせるのは色彩の魅力も。姉妹のドレスの黄色とピンク、街並みの美しさ。観ていることが幸福。

 ジャック・ペランが理想の女性を思い続ける除隊間近の水兵を演じている。僕ら世代には「ニューシネマパラダイダイス」のイメージがあるもので、若い頃かっこよかったんだなぁと再認識。母親役に往年のスタア、ダニエル・ダリュー。なんとも若々しい母親役で、過ぎし日の恋を語る場面は印象的だ。

 恋愛映画にとしても、いくつもの恋の形をみせてくれるのが嬉しい。出会いから突然燃え上がる恋。若き日の胸に秘めた恋。理想を追い求める恋・・・すれ違いを繰り返すことで僕ら観客はハラハラしっぱなし。ドヌーブとジャック・ペランはいつ巡り会うのか?とハラハラしていて、最後のカフェでもすれ違い・・・でも出会いを暗示するラストシーンが幸福な余韻を僕らにもたらしてくれる。映画には夢がある。人を幸せにしてくれる。音楽と映像の華麗な融合。そんな幸せな2時間を過ごせる映画。この映画の感動は言葉で表現するのが難しい。いや言葉はいらないのかもしれない。
 


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10月15日(金)のつぶやき

2010-10-16 | Weblog
00:16 from web
昨日は職場の人権研修。人権啓発アニメを鑑賞したのだが、不覚にも何度も泣きそうになった。最近涙腺が弱くなったのかもしれない。でもこういうことで感動できる自分がまだまだイケてると思ったりもする。それにしてもよくできた啓発映画だった。素晴らしい。
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10月13日(水)のつぶやき

2010-10-14 | Weblog
18:01 from Twitter for iPhone
ホームにて。天井からクモが垂れ下がっていた。そこへクールな印象のお姉さんが通りかかった。あ…と思ったらクモはいなくなっていた。あのお姉さん、今頃慌ててるだろな。
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10月12日(火)のつぶやき

2010-10-13 | Weblog
18:24 from Twitter for iPhone
今から「桜田門外ノ変」試写会に行って来まぁす。ロケ地として誘致するだけでなく、口を出せるように地方が出資もしたご当地映画でもあるとか。茨城県の希望がどれくらい反映されてるのかわからないけど、一つのイメージアップ&活性化策だね。伊武雅刀の井伊直弼がちょっと楽しみ。では行って来ます。
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グラン・トリノ

2010-10-12 | 映画(か行)

■「グラン・トリノ/Gran Torino」(2008年・アメリカ)

●2009年キネマ旬報ベストテン 外国映画ベストワン第1位・外国映画監督賞
●2009年セザール賞 外国映画賞

監督=クリント・イーストウッド
主演=クリント・イーストウッド ビー・ヴァン アーニー・ハー クリストファー・カリー

※注・多少結末に触れています

 ここ数年、クリント・イーストウッド監督の仕事ぶりには圧倒される。次々と新作を製作し、どの作品も完成度の高い映画ばかり。しかもその映画たちは、派手な打ち上げ花火のような映画ばかりが目立つ現代ハリウッドにおいて、どれもきちんと人間を見つめた秀作。この世に語るべき物語がある限り映画を撮り続ける・・・そんな強い意気込みがどの映画からも感じられ、繰り返し観なくても強い印象を僕らに残してくれる。この「グラン・トリノ」は俳優として最後の出演作となった作品。この映画で感じるのは、イーストウッドが現代アメリカ合衆国を憂えているということだろう。

 イーストウッドが演ずるのは、白人至上主義で差別的発言を繰り返し、その頑固さ故に息子夫婦とも疎遠になっている孤独な老人。かつては朝鮮戦争に従軍して勲章をもらったが、戦争という殺人の記憶は今も彼を苦しませている。この主人公は古きアメリカ合衆国なのだ。時代が変わって国内に住む人々が大きく変わったり、世界の状況に変化があっても、昔ながらの価値観と考えに縛られて頑なな態度をとる国。米食いジャップの作った車を嫌う、若い神父の言葉には耳も貸さない、自分の愛する国産車を宝とし、黄色人種を毛嫌いする。どこの国からもその地位を揺るがされることのなかった強きアメリカ。

 しかし隣人となったアジア系のモン族一家との交流から、次第に彼の心は和らいでいく。息子たちは一人暮らしの父親のためだと施設への入居を勧めて、ますます溝を深めてしまう。主人公の長年の頑固さがもたらした溝は埋まることはなく、珍しく自分から息子に電話をかけてもそっけなくされてしまうのだった。一方でストリートギャングたちとトラブルに陥ったモン族一家を救い、内気な息子タオにいろいろと指南することになる。異なる民族とお互いを認め合うこと。それは主人公にとって大きな変化だ。しかし、それはこれまでアメリカ合衆国ができなかったこと。文化の違い、宗教の違い、価値観の違いを認めず、紛争解決に自らの正義を振りかざし、決して異民族に寛容になれない。それはテロ事件や数々の国際戦争を生んできた。イーストウッドは、銀幕の内側からアメリカ合衆国に”チャンジ”を促しているのだ。

 単純にストーリーを追えば、この映画は頑固じじいが自分なりの決着をつけたお話だ。タオの家に銃弾が撃ち込まれ、姉スーがレイプされ、怯える一家を救うために、彼がとった行動。復讐のために銃をとって乗り込もうとするタオを引き留めた場面に込められたのは、復讐は復讐を生むだけだという”負の連鎖”にイーストウッドは”NO”を突きつけているのだ。同時多発テロ後のアメリカに対するイーストウッド翁なの静かなる説教がこの映画なんだと思う。衝撃のラストシーンはここでは克明に書かない。その行動が正しいと感じるかどうかは、観る側それぞれの考えがあるだろう。ラストに込められたイーストウッドの思い。映画が終わってじっくり考えてみて欲しい。

 オープニングから数分間で、主人公の人柄と置かれた状況、人間関係をわずかな台詞だけで理解させてしまう見事な演出。説明くさい部分はまったくない。これこそが映画の語法だ。これまでの主演作で数々のヒーローを演じたイーストウッド。この最後の主演作で、イーストウッドはかつてのヒーロー像をちょっとだけおちょくってみせる。「夕陽のガンマン」のラストシーンで自分のヒゲをそらせる時、喉をかっ切らないように銃を突きつける。でも「グラン・トリノ」の年老いた彼は「釣りはいらない」と20ドル手渡す。またストリートギャングたちに向かっていくとき口にする「Go Ahead !」はまさに「ダーティハリー」。でもマグナムをぶっ放すことはなく、指を鉄砲にみたててバーンと言うだけ。同時多発テロ後、もうアメリカにヒーローはいない。厳しい現実があるだけだ。この映画の主人公は人生の最期に行動を変えた。でもグラン・トリノに注いだ愛情は貫き、そのスピリットはタオに引き継がれる。後になってじーんとくる結末。悪に向かって銃を突きつけてきた男は行動を変えたけど、愛するものへのこだわりは遺された。そこを貫くのが男の美学。やっぱりイーストウッド映画は素晴らしい。

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さくらん

2010-10-10 | 映画(さ行)

■「さくらん」(2007年・日本)

監督=蜷川実花
主演=土屋アンナ 椎名桔平 成宮寛貴 木村佳乃 菅野美穂 安藤政信

 ふと艶やかな女性がみたくなってですねぇー(汗)。アンコール上映している映画館に行ってしまった。庵野モヨコのコミックを写真家蜷川実花が映画化した意欲作。江戸時代の吉原を舞台にした映画・・・となれば男性目線の映画がどうしても多いのだが、この映画はとにかくエネルギッシュな女性が楽しませてくれる。映像美が最大の見どころかな・・という印象。

 吉原の入り口にある門には水槽があり、金魚が泳ぐ。カメラは金魚の背景に風俗街の様子が映し出される。そこは遊女という金魚たちが美しく泳ぎ回る街。主人公が花魁から言われる台詞。
「金魚は川に返したらフナになっちまう。だから綺麗な姿でいられるのは金魚鉢の中だけ。遊女も同じ。」
この世界から出るに出られない遊女の悲しさを、見事に言い切った名台詞。ビビッドな色彩の遊郭、土屋アンナと安藤政信が見上げる月、桜をさかせた吉原の風景、毎場面変わる床の間の装飾・・・その彩りは強烈な印象を僕らに与えてくれる。

 土屋アンナが演ずるチャッキチャキのきよ葉は、やることなすこと見ていて爽快。だが花魁高尾(木村佳乃)や粧ひ(菅野美穂)の先輩格に比べると艶っぽさに欠ける。出番は少ないが、菅野美穂の美しいバックヌードには神々しささえ感じる。女将の夏木マリときよ葉の最初の客となるご隠居の市川左團次が脇役を固めるいい仕事。全編に流れる椎名林檎の音楽は、ちょいとやかましいがそれでも不思議に映像にマッチして好印象だった。

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10月8日(金)のつぶやき

2010-10-09 | Weblog
00:08 from web
やったーっ!。ロト6初めて当選。5等だけど・・・。
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10月7日(木)のつぶやき

2010-10-08 | Weblog
07:39 from Twitter for iPhone
北九州市黒崎は、映画「初恋」のロケ地にもなったところ。この週末に黒崎シネマチャレンジなるイベントが開催されます。中央大劇が期間中復活!「グラントリノ」「おくりびと」の無料上映あり。是非きてくださいね!
http://www.eiganomachi-kitakyushu.com/
22:15 from web
二日間の研修終わったぁー!講義、グループワーク、自己分析、プレゼンと盛りだくさんの内容。スケジュール最後の外部講師による講義は素晴らしく、いっぱい勇気と心の栄養をもらった。明日からも頑張ろう・・・という気持ちにさせてくれた。この講義を聴かせてくれてありがとう!。嬉しいです!。
by t_somelikeithot on Twitter
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10月5日(火)のつぶやき

2010-10-06 | Weblog

22:06 from Twitter for iPhone
うちのルーク・スカイウォーカー(11歳児)。僕の部屋から「エヴァンゲリオン」の録画を持ち出した。「学校で友達の話題になってるから、見てみたい。」と言う。小学生が?ほんとにぃ?お前が思ってるほどカッコいいアニメじゃねえぞ。アスカのクリアファイル使ってる父アナキンtak、説得力なし?
by t_somelikeithot on Twitter
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