◼️「白蛇抄」(1983年・日本)
監督=伊藤俊也
主演=小柳ルミ子 杉本哲太 仙道敦子
公開当時、「小柳ルミ子が!?」がと世間が騒いでいたのをなんとなく覚えている。初めて観たのは公開翌年くらいの地上波での放送だった。今思うとよくもまあこんなドロドロした男と女の話を、お茶の間に流したよなあ、と思う。んで、どんな話だったっけ…と思い、大人になって再鑑賞。
他にも女性はいるでしょ?と言いたくなるくらいに、みんなルミ子に言い寄ってくる。山で襲われそうになったのを杉本哲太が助けたら、その哲太に山小屋で押し倒されてしまう。その後哲太と寺でイチャイチャしてるところを和尚に見られてしまうのだが、和尚が怒ってそのまま成仏。世界史でアナーニ事件を習った時に「憤死」(怒って死んでしまうこと)という言葉が出てくるけど、今思うとこの場面はまさに「憤死」だ。大人になるといろんなことが見えてくる好例(どこがだ)。
どうしようもなくなった気持ちを持て余す演技が、みんな凄すぎる。恋しい相手と話している受話器を足の間に挟み込むルミ子にしても、幼さの残る仙道敦子が振り向いて欲しい一心でレオタード姿で迫る場面にしても、そこまでしなくてもと思うのだけれど、夢中になると人の行動って抑えられなくなる。大人になるといろんなことが見えてくる。
そして何よりももう一度見たかったのは、杉本哲太が×××で障子を次々と破る名場面!枠に当たったらどうすんだ!痛いだろっ!気持ちを持て余した先の激しい行動に、初めて観た時はこの場面が衝撃だった。世間は常套句として女優さんに「体当たり演技」という言葉を使うけれど、この映画の哲太こそ「体当たり」です。