無農薬・自然菜園(自然農法・自然農)で、持続できる自給自足Life。~自然な暮らしの豊かさの分かち合い~

信州の大地で自然農と自然農法で育てる自給農園で、日々の営みや生命を通して感じることや想うことを発信するブログ。

自然堆肥について

2014-01-18 01:30:40 | 自然菜園の技術 応用
本日、

Azuminio自給農スクール2014の募集がはじまり、2週間が過ぎた。

今年はすでに、3つのコースがキャンセル待ちになるほどご継続と新規の申し込みが早い。

事務仕事が不得意で、なかなかメールの返信など一人で行っていると遅いうえに、ミスがちょこちょこ発生してご迷惑をおかけしています。
すぐにメールの返信ができず、大変申し訳ございません。

近況ですが、残す自然育苗コース自然菜園基本コース(本科生)もあとわずかで締め切りになってしまうので、急がすわけではございませんがお早めにお申し込みが今年はいいと思います。

ちなみに、本科生などは農園の広さに限界があり、どうしても定員性になってしまうのですが、聴講生は制限がないため、ある程度の人数までまだお受けできます。



今回のブログは、冬なのでちょっと自然菜園を始めるに際して知っておいたほうがよい堆肥に関してご紹介したいと思います。

一般的に、堆肥というと鶏フン堆肥、牛フン堆肥、豚フン堆肥といわれ、市販されていますが、なかなか良質かつ完熟の堆肥が手に入らないのが実情です。

というのは現在、「家排法 家畜排せつ物法」といった法律があり、
むやみに家畜フンなどを野積みしたり、放置を禁止することで、生活環境に対する汚染の防止(地下水の汚染防止、悪臭・害虫の発生防止)を図っているのため、
家畜フンは、堆肥という形で有効活用されるように流通しております。

つまり、家畜フンなどの処分の方法の一つとして、堆肥化され、堆肥として市販されている経緯があります。
そのため、市販の堆肥の多くが、高濃度の家畜フンの割合が多く、副産物が少ない堆肥になっております。

堆肥にはいろいろな作り方がありますが、家畜フンを多く含む堆肥の場合、いろいろと問題が生じ安くなっているのも事実です。

例えば、
1)家畜の多くは、(遺伝子組み換えの作物の可能性が高い)輸入穀物で育っており、そのフンで堆肥が作られている点。
2)現在家畜の飼育にはは、ホルモン剤や抗生物質などが欠かせないため、フンにその残留する可能性がある点。
3)発酵がうまくいっておらず、飼料に含まれる外来の植物種子が死んでおらず、堆肥の使用と共に、外来植物が蔓延してしまう点。
4)家畜フンの割合が多い堆肥で育つ野菜は、保存性が低く、食味が悪くなりやすい傾向がある点。

また、人によって完熟堆肥の定義が異なり、市販されている堆肥が完熟と表記表記されていても、実際に完熟しているかは怪しいという点もあります。
腐敗した堆肥や未熟の堆肥を投入することで、病虫害を招いたり、被害が拡大するケースがあるから注意が必要です。

以前、このブログでも「完熟堆肥の確かめ方」を取り上げたことがありますが、市販の堆肥でこのチェックでOKが出ればいいのですが、実際はあまり良い結果がでないので、

堆肥を使用する前に、必ず橋本式完熟堆肥チェックをすることをお勧めいたします。



自然菜園では、基本的に野菜の生育を助ける意味でも、野菜を育てながら株下に草を刈って敷いた草マルチを重ねながら野菜を育てます。

草マルチのお陰で、野菜の株下に生える草は抑えられ根の乾燥も防げ雨水の跳ね返りによる病気感染も防げます
その上、草マルチの下には、ミミズなどの分解者と呼ばれる土の生き物が集まり草マルチは自然に分解され腐食化し、土は団粒構造が発達していきます。

つまり、草マルチをすることによって、現在育てている野菜が育ちやすくなるばかりか、分解者によって自然に分解され、自然堆肥になり、土を豊かにしてくれています。

草マルチを野菜の株下にすればするほど土がよくなり、野菜も育つ好循環が生まれていきます。

その好循環を生み出すため、自然菜園では、草マルチに導入当初から事欠かないように、通路に緑肥mixとよばれる4種類以上もの緑肥作物のブレンドしたものを播いて育てておき、栽培しながら適期草マルチに有効活用していきます。



ところが、こうした好循環は、ただ野菜の株下に草を敷いて草マルチしていけばいいのかというと、草があまり生えなかったり、野菜そのものが生育が悪かったり、土の生き物少なく、その働きが微弱である場合、好循環が小さくなってしまい、なかなか自然に野菜が育つ好循環が生まれない場合があります。

つまり、草マルチの効果が上がるためには、草が豊富に生えてくることであったり、野菜そのものが生育がよかったり、土の生き物の種類や数が多く、多様性に富んでいればいるほど、好循環が大きくなるのですが、始めたばかりの菜園では好循環が起こりにくい環境の場合も少なくありません。



そこで、登場するのが、完熟自然堆肥です。

完熟自然堆肥の私の定義は、その地域で手に入るなるべく自然で、安全な植物性の材料8割以上、動物性の材料2割以下で、窒素資材:炭素資材の割合ができるだけ2:8で、60~80℃で1カ月以上継続して発酵し、40℃以下になったその後熟成させ、橋本式完熟堆肥チェックに合格した物です。

こうしてチェックして出来た堆肥は、とても良質で土の生き物の働きを良くしてくれたり、野菜の生育を良くしてくれたり、野菜の周囲の草の勢いが強くなったり、好循環を大きくしてくれるので、

今まで菜園でなかった場所(庭など)や、農薬・化学肥料で栽培されてきた場所や、病虫害が多く発生した場所草が生えてこない場所野菜の生育が好ましくなかった場所などで自然菜園をはじめるのであれば、適量完熟自然堆肥を投入して、まずは野菜も草も、生き物も住みやすくなるようにしたいものです。

自然菜園は不耕起(自然耕)のため、最初の畝立てにこのように、完熟自然堆肥など大テコ入れをしておけば、翌年からは堆肥は極力使用しなくても、草マルチと米ぬかなどの補いだけで十分野菜が育ち、好循環が生まれていきます。

この大テコ入れが、未熟たい肥や腐敗堆肥、安全とはいえないものなどの投入で行われると、かえって野菜が育ちにくくなるから、投入する量と質はとても大切になってきます。


そのため、自然菜園を始める1年前に、完熟自然堆肥を造っておくのが理想ですが、
もし市販のもので行おうとすれば、完熟チェックをクリアーした家畜フンの多い堆肥に対して、同量程度の腐葉土や米ぬかなどを足して、少しでも良質で植物性が主体になるようにブレンドした物をご利用することをお奨めいたします。

「土は一日にしてならず、野菜と共に育てるもの」だと思います。

土を育てるためには、必要であれば最初に良質の完熟堆肥を適量用い、その後野菜を育てながら株下に草マルチを重ねていくと、年々野菜が自然に育つ場が生まれ、土は育っていきます。

それはまるで、秘伝のつけだれのように、最初は、基本の自然完熟堆肥などを入れた土に、毎年野菜を育てながら株下に草マルチを重ねていき、地域風土に合った秘伝の土を育ててみてください。
コメント (8)
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