ステージおきたま

無農薬百姓33年
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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

出穂!喜びと多少の悔いと

2015-08-06 08:58:58 | 農業

 出穂、”しゅっすい”と読む。イネの穂が出ること。”でほ”と呼んでる人もいるけど、普通、”しゅっすい”だ。固い言葉だなぁ。農業用語はどうもこんなかちんこちんの漢語が多い。苗を育てるのは育苗(いくびょう)だし、肥料をやるのが施肥(せひ)、種まきは播種(はしゅ)、水やりはなんと潅水(かんすい)だ。思うに、明治以降、官制の農業指導機関が誕生する中で、なんとか伝来の篤農技術への優位性を示したいと、やたら難しい言葉で飾った結果じゃないたろうか。まあ、専門用語と言えばそうなので、農家が使い切れていればそれはそれでいいのだが、なんとなく生命を育む農業という営みには相応しくないなぁとも感じる。

 さて、出穂だ。今年も遅れることもなく早まることもなく、7月末に出始め、一週間経って今や盛りだ。平場の水温の高い地域なら、水口の生育が遅れるなんてこともないが、地下水くみ上げの我が家の田では、水口のイネの生育は遅々として進まない。水温12℃なんて冷水を一晩中浴び続けるのだから当然と言えば当然だ。だから、青々とした水口の手前から穂が出て黄色みを帯びたイネまで、我が家の田んぼはグラデーションが美しい。いや、美しいなんて優雅に構えてはいられないのだ。真夏の暑さで幾分は追いついてくるものの、結局は稲刈りまでその遅れは持ち越すことになる。結果は未熟米の増加。仕方ないなぁ、地下水なんて使ってるわけだから。

 出穂はこれまで4ヶ月間の苦労の報い、ここまでたどり着ければ余程のひとがない限り、収穫は保証されたと言える。晴天続きのお陰で、イモチ病の発生も低く抑えられているし、穂の姿もすっきり順調だ。茎数不足で物足りないと感じていたコシヒカリもすっかり逞しくなって、思いがけず長い穂がついている。まずまず収穫が楽しみな出穂の状況と言える。

 ここまで来て、田の除草にも諦めがついた。ぎりぎり一部穂が出た時期までUホー片手に田に入っていたが、さすがに、全面出穂となるともはや無理だ。田面が雑草に覆われているのは重々承知だ。葉が茂り穂が出たので、見透かすことはできないが、株元では、雑草がはばはばと広がっていることだろう。決してさぼったりはしなかった今年の除草、それでも納得の行く仕上げにはほど遠かった。部分的には草の少ない所も出てきているのだが、どうやったらこんな制圧地帯を広げていくことができるのだろうか。早くも来年へと課題は重い。

コメント
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