ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

台本書きはパズル解き!

2015-08-28 09:01:01 | シニア演劇

 フレンドリープラザシニア演劇学校4期生の公演台本『シェアハウス ブルース』が書けた。最初のお約束から1週間待ってもらったが、なんとか公演の3ヶ月前までに手渡すことができた。

 正直、かなり面白い!かなり上手く書けた!

 まっ、いつだって表向きは自信満々、はったり過剰な僕だから、作品どうだろう?とかもう一息!なんて言うことは皆無だが、今回は掛け値無し、かなりの出来だと思っている。当初は、設定の荒唐無稽さについて行けず、堂々巡りの繰り返しだったが、後半一気にアイディア奔出、洒落たコミカルミステリーに仕上がった。

 前回の菜の花座公演はめちゃくちゃ重く暗い作品だったから、その反動ってことかな、今回楽しく愉快な作品を書こうと思った。台本書きの精神衛生のためってことか。辛いテーマも大切だけど、軽く楽しめる作品も重要なんだ。5人の4期生がいずれも重厚とは縁遠い人柄だったことも大きい。もちろん、彼らの願いもコメディだった。

 さて、どんな喜劇を書くか?笑えて時にほろりとくるものって要望をもらっていたし、殺し屋をやりたい、なんて無謀な希望も出ていた。それとメンバーの一人がサックスにかなり自信があるってこともわかっていた。ということで、題材は殺し屋、芝居の中でサックスを吹くシーンを折り込む、これが今回の台本書きパズルのルールだった。

 こういう基本ルール、ベースのアイテムを決めて、そこからワンピース、ワンピースはめ込んで行って全体像を仕上げて行く、こんな方法はよく使う。出演者のキャラクターから役所を決めて、それを配置しながら書いていくと、より役者たちの持ち味が発揮できるからだ。今回はサックスが吹ける殺し屋、がパズルのメインキーになった。

 殺し屋、うーん、書いたことないしなぁ!マジな犯罪もの書いたって、テレビや映画や小説にはかなわないし、シニア演劇学校の演劇初体験者には素足で酸素ボンベなしでエベレストに登らせるようなものだ。とてもとても、麓にだってたどり着けないだろう。ここはやっぱり、ずっこけミステリーでなくちゃならい。そうそう、笑いも取らなくちゃいけないわけだし。

 で、思いついたのが、仕事にあぶれた食い詰め者の殺し屋オタクが、やけっぱちで殺し屋の看板掲げてしまうって設定だ。裏サイトに書き込んだ、殺し引き受けます!のコメント、ここに思いがけない依頼が入る、これが発端。かなりのずっこけぶりが予想できるよね。さらに面白くするために、ターゲットはヤクザ!とは言っても、現役をはるか昔に退いた各種犯罪の過去名人たちのうちの一人にした。暗殺の芝居てのは難しい。なにがって、普通、殺し屋と標的とは接することはなく、お互い言葉を交じわすことなんてない。てことは会話が成立しない!これじゃ芝居は無理。映画とかなら、孤独な暗殺者を追いながら、狙われるターゲットも描いていくわけだけど、演劇はねえ、お話ししてなんぼのもんだから、対話が成立しないことにゃどうもならんのさ。

 で、この解決策は、ターゲットの指定がまだ来ず、とりあえず、ヤクザOBたちの中に入り込むという設定を考えた。無理はあるんだが、そこはお芝居のお約束ってことでお目こぼしいただくことにしよう。かつての古強者どもは、シェアハウスを造ってともに老後を過ごしている。これもかなり突き抜けてるだろ。ここまで行けば笑いの種はそこら中に転がっているってもんだ。ヘルパーとして住み込んだ殺し屋が、殺しの指示を待つうちに正体がばれ、シェアハウスの住人たちは戦々恐々、殺されるのは誰か?依頼したのは誰か?疑心暗鬼にかられる。ここうなるとかなりミステリアスなシーンが予想できるだろ。さあ、果たして、殺し屋は標的をとらえることができるのか?サックスはどんな風に使われるのか?

 たかだか二つのキーワードからここまで世界を組み立てられた。かなり納得、おおいに満足!わかるだろう。しかも、大筋が上手く構成できただけじゃない。骨組みの合間を埋める幾つものエピソードも、思いかげず良い物を捕まえることができた。どんなもの?それはまたいつか書こう。

 さっ、後は、この名作?をどこまで初心者シニアたちが演じきれるかどうかだね。

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする