ニンジンも大根も、いつまで経っても大きくうおうえ。暑いしなぁ、水不足だしなぁ、土力も不足だしなぁ。もう、こんなもんで伸びどまり、おっさん期に入ったってことだ。あとはひねてくるだけ、潤いなくなって筋張ってきて、えぐみ出て、人間と同じさ。
ニンジンは小さいけど、天ぷらに使ったり、サラダに加えたりもできる。余れば、ジュースにして、健康サポート、夏ばて対策、OKだ。問題は大根だぜ。
煮物で食ってみる。筋っぽい、あのほっこりと心休まる香りがない。それに、この暑さで煮物なんて、もう、1回でお断りだ。仕方ねぇなぁ、お隣の山羊さんにやるか。20本ばかり、全部引っこ抜ていて、思いついた。
切干大根どうだ?切干大根と油揚げの煮物!冬場にゃあればいいよなぁってお惣菜だ。少し多めに炊いて、常備菜にも重宝だ。この冬なんて、あんまり懐かしくって、切干大根買って来っか、って誘惑に負けそうになったくらいだ。
ほれ、連日のカンカン照りだろ。雨なんて素振りさえない。この暑さと日差しなら、カビたり腐ったりハエの襲撃にあったりしないんじゃないか。せっかく作った大根だ。ここは一つ、切干大根でお役を果たしてもらおうじゃないか。
たしか、大根やニンジンを千切りにする調理器具、あったよなぁ?神さんが探し出してくれたのは、野菜スライサーに取り付ける三角刃だった。鋸刃の小型版っていったところだ。これをスライス刃のすぐ手前に取り付けて、あとは、キュウリスライスの要領、一枚一枚削っていけばよい。薄切りと同時に縦にも切れ目が入って、大根の千切りの出来上がりだ。
千切り大根は、干し物ネットに入れて広げ、
いざ、直射日光に晒す。この日差しなら、あっという間に水分飛んで、かびる間もないだろう。少なくともここ数日は晴天、高温の予報、切干大根作りには最適の天候だな。
照り付ける日射に純白の肌を晒している大根たち、美しい。輝く太陽も、自然の恵み、と愛おしく感じられるから不思議だ。これで、うんざりだった暑さも、ちょっと凌ぎやすくなった、かな?