掘り始めて3日目、ふー、やっとこジャガイモ掘り終えたぜ。植えてあったのは、男爵、赤ジャガ、メークイン、キタアカリの4種、それぞれ10メートルほどの畝1列ずつだ。この照り付ける灼熱の中でなけりゃ、軽く半日で終わる仕事。だが、この暑さじゃねぇ、1日2列掘るのが精一杯だ。
なんだって陽が真上に来た頃に作業するんだよ?朝仕事すりゃいいじゃないか。そうだ、まったくその通り、朝の涼しいうちに済ませて、暑さに茹だる昼前後は、家ででれーっとしてりゃいいんだ。だがなぁ、長年の習慣って恐ろしいもんなんだ。どうしても夜更かし朝寝坊の癖が抜けない。菜の花座の稽古が夜ってこともあるしな。
年取りゃ朝早くから目が覚めんだろ、なんてことはぜんぜんない。日差しが天窓からかーっと差し込んで来たって、さっぱり目は開かない。7時過ぎに田んぼの見回り、なんてみっともないんだが、そこは年寄りの開き直り、人は人だ、で疚しさのかけらもない。ということで、この炎暑の季節でも、農作業は照り付けるギラギラ太陽の下。汗、ダラダラ流しながら、田の除草やジャガイモ掘りに奮戦している。
いやぁ、なんじゃこりゃ!小せぇなぁ。まともな規格内品は数えるほどだ。とたんに、作業のスピードが落ちる。熱さが一気に体を襲う。やる気が失せる。でも、掘らないわけにゃいかない。せっかくのジャガイモだもの。なんだって、こんな未熟ものばっかになっちまったんだろう?考えられる理由は一つ、密植!買った種イモが多すぎてね、捨てりゃいいのに、ほら、もったいない精神で、合間を詰めてみんな植えつけてしまったんだ。しかも、芽出しが成功して、種イモ1個当たりの芽の数がやたら多かった。お陰で、茎や葉は大いに茂って、見事なジャガイモ畑、大いに喜んでいたんだ。天敵のニジュウヤホシテントウムシも少なかったし。
せめて、出た芽を適度に間引きすりゃよかったんだ。そうすりゃこんなピンポン玉以下のものがぞろぞろ!なんて悲惨な事態は避けられたんだ。もう、まったく、4割近くが小粒ジャガ、カレーだってシチューだって、丸ごと煮るしかないぜ。コロッケとかサラダ。どうすんのよ?
まっ、それもこれも身から出た錆、手前の落ち度は手前で始末するしかない。この冬は、こいつら小粒ちゃんとお付き合いしていくしかないだろう。まずは、セイダノタマワラシか。皮を剝かずそのまま油で揚げて醤油や味噌で味付けする。うん、美味い!これは確かに美味い、育ててるもんじゃなければ味わえぬ美味だ。せいぜい、この調理法で、処理していくしかないだろう。それとも、なんか別に上手い方法はあるか?苦境はアイディアの宝庫、よしっ、ここは一つ、小粒ジャガイモの斬新料理の発掘といこう。なんたって、折角、収穫できたわけだからな、もったいない!もったいない!