気が乗らんよなぁ。予定は昨日開始だったけど、雨で一日延びた。今朝方まで降ってたので、イネも濡れてる。田面はどうだろ?ぬかるみゃしないか。それ以上に怖気ついてんのは、イモチの広がり具合だ。5割か?もっとやられてるか?実が入ってもいないイネを刈るなんてなぁ、うんざりだぜ。
できれば、このまま無視して済ませたい!ってそうはいかんさ。ぼろぼろでもガサガサでも、枯れてようが、萎れてようが、刈るしかない。いやいや、そこまで悲壮に思い悩むこたぁない。けっこう取れるかもしれん、ってないよなぁ。
ともかく、1反3畝のヒトメボレ、今日中に刈って杭にかけにゃならん。明日はまずまずの予報だが、腹つもりとしちゃ、堰の流れの4枚を刈るつもりだ。明日にやり残しは絶対避けたい。そんじゃ早くからかかればいい、ってそれができんわけよ。イネ濡れてるから。ぎりぎりのせめぎ合いの末、10時前に稲刈り開始だ。
角刈りを済ませて、いざ稲刈り機始動!あれっ?あれれっ?かからない。何度かスターターのロープを引くもウンとも言わず。あぁあ、初っ端から、プラグを濡らしちまったぜ。先端部にガソリンがかぶると火花が飛ばず、ガソリンに点火しないんだ。空気取り入れ口のフィルター外して、息を吹き入れてみたりしたが、びしょ濡れのようだぜ、何回もロープ引いたからなぁ。溜まったガソリンが乾いて蒸発するまで待つしかいない。
手刈りしたイネを丸って時間をつぶす。さっ、どうだ、今度は?よっしゃ、かかった!刈り取り開始。
と、しばらく順調!と、思えば結束紐が絡まりストップ。もう、昨日点検したっていうのに!頑固なぐるぐる巻きを焦るな!苛立つな!と自分を宥めつつ1本1本引き抜いてようやく雁字搦めが解けた。しばし快調に刈り取り進むも、今度は株元の雑草がイネ送り部に詰まってまたもや停止!もう。イネの生育が良くなかった部分にはコナギがびっしり覆い尽くしているんだ。こいつらを一緒に刈るとたちまち詰まる。ただし、手立てがないわけじゃない。イネ束が吐き出されると同時に引っ張りぬいてやればいいんだ。わかっちゃいるんだが、ついつい行けるべ!ゴウゴウ!って楽観に走って失敗する。これをなんと4回も繰り返した。これじゃ捗るわけないよな。
昼飯時も頑張り通して、1時半、どうにかすべて刈り終えた。やれやれ。
が、ここからがまた大変なんだ。田んぼ前面に、水揚げされたマグロよろしく横たわるイネ束を杭の傍に集め、一杭48本掛けねばならない。この集積作業が、きつい!辛い!腰を屈めて8束の山を作り、えいやっと担ぎ上げて足元の悪い田の中を運ぶ。何度も何度も往復して、こりゃもう筋トレ通り越して拷問だぜ。めげるな!怠けるな!やっとすべての束を杭の元に寄せ終わって時刻は4時を回った。ヤバい!秋の夕日はつるべ落とし!残された時間は1時間半か?刈ってる時には、あっちゃぁ!イモチばかりだぜってがっくり来たんだが、実際にイネを間近に見てみると、それほど悲観したもんでもなさそう。少しほっとした、その慰めを頼りに我慢、我慢!
助っ人のIさんも帰って、神さんと二人、ただひたすら、黙々と杭掛け作業を進める。
いつも感じることだが、こういう地道な仕事はマラソンに通じる。1歩、1歩、1キロ、1キロが、この場合、1束1束、杭の1本1歩に通じる。辛さに投げ出せば、ゴールはできないってことも同じだ。なんてことを考えながら腰を屈めちゃ束を取り上げ、杭に掛ける。あと10本!残り6本!ゴールっ!終了!夕日が沈む寸前、どうにか日のあるうちに作業を終えることができた。
もうダメ!片付けもしたくない!刈り残しの稲穂やそこらに散らばる落穂も無視!機械と道具だけを動かして家に戻った。疲れた体にビールが美味い!って行きたかったが、疲労も極度に達したようで、シャワーを浴びた後、寒気が収まらない。一仕事なし終えた満足感とは縁遠く、お義理でビールを呷って、稲刈り初日。前途多難だぜぇぇぇ!