近藤医師と五木氏の対談 2014・4・23
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以前 ヴログで近藤誠医学博士の”がんとは闘うな”
という姿勢についてご紹介させていただいた。
さかのぼること、9年前、文藝春秋 2005年2月号に
すでに近藤医師は自論を発表して 作家五木寛氏と
対談している。
その対談内容は示唆に富んでいて興味深い。
五木氏は 治療について
”火事になってから、消火器を買いに走るようなもの”と
喩えている。
五木氏の喩えの意味とおり、
治療する前に、養生して、病気にならないよう心掛ける
ことが大切なことは言うまでもない。
そもそも、病院での治療というのは症状を抑えることに
主眼をおいている。
五木氏は 自身の著書、”養生の実技” という本の中で、
”病院は病気の巣である。 できるだけ近づかない方が良い”
と書いているそうだが、この言葉に同意して近藤医師も
”私も 痛くも苦しくもないときは病院に来ない方が良いと・・・”
と応えている。
当時、すでに近藤医師は ”患者よ、がんと闘うな”とタイトルを
つけた著書を出版して、健康に関する常識に疑問を提示している。
たとえば、
”一般の人は定期健診を受けるのが健康のためになる
と思っているでしょう。
でも、定期健診が健康に有効だとするデータ的根拠は
まったくありません。 それどころか、反対の調査結果が出ている。”
と 自説を裏付ける具体的例を数字をもって、
五木氏に説明している。
さらに近藤医師は
”病気があっても気づかないまま終わることは少なくない
のだから、病を暴き出さない方がいい。
ところが医療関係者たちはそれでは商売あがったりです。
だから健康診断だ、人間ドッグだ、といって、早期発見を
奨励する。
検査して異常を見つけたらそれに病名をつけ、治療する
というシステムが創りあげられてしまった。”
とも述べている。
検査して異常を見つけたらそれに病名をつけ、
治療するというシステム・・・・?
五木氏は言う。
”どこか、不具合を残し、改善された感を与えている限り
患者は完治するまで通うことになる。
そうでなければ、彼らの商売は上がったりとなるだろう”
確かに、良心的な医師なら薬が必要な時以外は不必要と
言ってくれるだろうし、必要以上の種類も出すことはない。
ましてや、学会に発表する新薬の効能のデータのために、患者に
実験的に投与してみることは良識に反しているといえるかも
しれない。
本物の治療家は どのような治療やセラピーにしても、最終的に
本来その人に備わる治癒力が発揮できるように導く。
最終的には 本人に備わった自然治癒力で 自力で更生
できることがベストであると知っている。
しかし、患者あってのビジネスであれば、皆 健康になったら
商売あがったりということを五木氏は ゴルフのレッスンに喩えて
意見している。
”ゴルフのレッスンプロは球筋を直すのに、根本的な指導は
しないと聞きますね。
少し振りを変えると、’真っ直ぐになった’と
生徒は喜ぶけど、2か月たてば、もとに戻るようになっているという”
と笑う。
二人の話しは”清潔好きな日本人”というテーマに変わる。
驚いたことに 五木氏はシャンプーを春夏秋冬に一度ずつしか
しないらしい。
だから、ご自身の髪の毛はふさふさと豊かなだと分析する。
”路上生活者に禿頭なし”、清潔にしすぎないことが頭髪
にとって、善いことなのだという自論を述べている。
近藤医師はそれに対し
”なるほど。 結局、今の日本人の清潔好きが
さまざまな病気を招いているんですよね。
人間の体の免疫状態は、自然界の汚いもの、寄生虫や
細菌などに触れながら成熟してくのです。
きれいなものばかり囲まれていると、免疫系が成熟
しない。
その結果としてあらわれているのがアトピーなどの
アレルギーではないかといわれている。”
としたうえでシャンプーの話題に戻る。
”人間にとって皮脂は大切です。
犬猫をあまり洗いすぎると皮膚病になるといいます。
体を石鹸で洗う、髪をシャンプーするというのも、
実は体の抵抗力をそぎ落としているのかもしれません”
と述べている。
そういわれると、確かに、筆者の身近にも石鹸をつかなわい
人達は見かけられる。
神気法を生み出し 未だに現役で仕事を続けている、
米寿に近い姑は、入浴時に石鹸は使わない。
筆者の母も 年の割には 皺(しわ)も少なく、肌の艶もよいと
思うが、洗顔石鹸は使わず、焼酎とかんきつ類の
しぼり汁を自己流で混ぜあわせで 化粧水と
洗顔水を兼ねて 何十年も愛用している。
筆者自身は、インドの昔ながらのアユールベーダの
粉末粉で、洗顔している。
洗髪に関しては、成分はよくわからないがちっとも泡立たないが
しかし、洗い心地が実にすっきりしている。
シャンプー時も、 植物の粉末をインド時代使っていた。
健康志向から石鹸に気を付けている人は多い。
先日、シャボン玉石けんの工場が、テレビで紹介された。
工場で職人が、大きな窯(かま)に入れられた、
ドロドロした液体を人差し指ですくって味見していた。
聞くところによると、こうして、石鹸の不具合を
舌で味わいながらチェックしているという。
自然素材石鹸だから 有害性は少なく、舌で判断するのが
一番確実な方法だと、社長が説明を添えていた。
その放映後、とても興味を覚えたので、近所の大手の
ドラッグストアーに足を運んだ。
ところが、予想に反し、数軒回って聞いてみたが、
見つけられなかった。
需要が特定の人達に絞られるためなのか、自然素材で
コストが他商品よりかかるためなのか、まだ
一般受けされているようではなかった。
石鹸やシャンプーは直接体に触れるものだからこそ、
安全で自然の材料に近い素材で作られたものを
選びたいと思っている人はたくさんいるだろうけれど、
購入できる場が限られているのは残念なことだ。
頭皮は顔面皮膚につながっている。
顔面洗顔には多くの人たちが男女問わず、気を遣うのに
頭皮洗顔にはそれほど、頓着がないようなのも
面白いと感じた。
参考] 文藝春秋 2014年1月号臨時増刊号