局の道楽日記

食道楽、着道楽、読書道楽  etc
生活色々を楽しんで暮らしている日々の記録です

エリザベートはよかった

2008-11-14 22:31:23 | 見る(映画 劇場 美術館など)
ちょいと実家に帰り両親と一泊紅葉狩りに行ってきたのだが、忘れないうちに エリザベートの感想を書いてみたいと思う。

  
今回は前から6列目ほぼ中央というオペラグラスいらずの良い席であった。舞台友Nのコネのおかげである。
彼女はウィーンの舞台 宝塚 東宝と何回見たかわからないというエリザベートマニアだが 一路さんがエリザ役をおりてからの東宝は初めてだという。
私は DVDなどで予習はしていたが生はこれが初めて。

Wキャストだが 私の見た回は エリザが浅海さん、 トート 山口さん、フランツ・ヨーゼフ石川さん、 ルドルフ 湧井さん、 ゾフィー 初風さんというラインアップだった。

一言で表せば ホント見応え、聞きごたえのある舞台だった。
もともと ストーリーも曲も構成も素晴らしい作品なんだけど、それを日本人が演じてこんなに完成度が高いものにしているんだってことに ミュージカルにそんなに詳しくない私としても素直に感動しましたです。

細かいこといえばきりがないが、少女の頃のエリザベートを演じる朝海さん 声の出方がいまいち苦しそうだった。 「私だけに」を歌った最後の 私に~ の最後のキーの高さには無理があるかなとは思ったが中盤から声ものびのび。中年以降のエリザベートの気品も感じられた。

あとなんといっても 山口祐一郎さんのトート ささやく声はエロチック、朗々と歌い上げる部分の迫力。黄泉の帝王がなんともはまっていた。
私が幕間で 「山口さん素敵だった~」 と ハート目で語っていたら Nが
「うん うまいよね~ だけどあの衣装とあの動きだと ジャイアントロボを思い出すんだよね」と余分な事を吹き込むので 後半山口トートの出番の度に脳裏に ジャイアントロボの映像が散らついて邪魔されてしまったではないか(苦笑)
そう言えばマグマ大使にも似ていた。(若い方はご存じないでしょうが・・・)

     

いえ なんだかんだ言ってもあの声に惚れてしまった 


「闇が広がる」のナンバーでルドルフとの掛け合いでも素晴らしかったが 湧井さんのルドルフも負けてなかった。「ルドルフ やるじゃん」とNにささやいたら また 「うん でもダンスが仮面ライダーなんだよね」とまた余分な事を言うのでまた笑わされそうになってしまったが・・・

その他 高島さんのルキーニの狂言回しぶりも達者にはまっていた。この方は声がいいのね~ そう言えばお父様の高島忠雄さんも深い素敵な声だし、お母様からのDNAも受け継いでいるだろうし。

フランツ・ヨーゼフの石川さんの歌も素晴らしく ゾフィーの初風さんの気品と貫録 マックスの村井さんもはまり役。
こんな風に10年ほどかけてみんなが作り上げて完成度の高い舞台に 主役としてポーンと放り込まれるってものすごく度胸のいることではないだろうか?
でも最後のカーテンコールの朝海さんは主役オーラで輝いていた。やっぱり宝塚のトップだったっていう実績ってのは半端じゃないんだな~ と 妙に納得してしまった。
いずれにせよ この舞台は機会があったら違うキャストでもう一度見たいものである。 おすすめです。



また 話は舞台からそれるが 歴史上のエリザベートって人も実に興味ある人物なのね。絶世の美女でハプスブルグ家の皇后という華やかな横顔の反面、厳しい姑とマザコンの夫に失望し、最初の子供に先立たれ、跡取りの息子は父親に逆らったあげくに自殺され、あげくの果てにアナーキストに殺されるという悲惨な最期。
ヨーロッパ王朝の血族結婚の結果の濃い血の影響からかいささかエキセントリックな同族の中で自分の中に流れるある種の狂気を常に感じていたような気がする。
去年ノイスバンシュタイン城で彼女の従兄弟のルードヴィヒの生涯に思いを馳せたが、彼が珍しく気を許したというエリザベートの美貌と激しさというヨーロッパ王族の共通項を感じてしまった。

生と死 愛と失望 凡庸に平坦に生きるのと激しくアップダウンの多い人生を送るのと いろんな生き方の人がいるもんだけど それは自分が呼び込むというより 定められたものなんじゃないかなあ などと思ってしまった。
人って神が演出するミュージカルの出演者なんじゃないのだろうか などとも。
 






コメント (2)
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