赤いトンボの中にこげ茶っぽい体色のトンボがいる。師走ともなれば「初見」とか「初記録」なんて事態はまずないので「マユタテアカネのメスだろう?」と確認のために1枚撮影した。そもそもマユタテアカネの赤い体色は一別するまでも無くトンボ池のお地蔵様で居さえすれば吸い寄せられるように止まってくれるのだが、それが「いつもいつも通る夜汽車云々」と歌い出したくなるほどいつもいつもオスなのであった。ともかくメスが単独で飛翔する姿はほぼ見ていない。写真の翅端を見ると斑があるし既に色あせているけれどマユタテアカネではメスに現れる翅端斑だ。オスには現れないのに理由はあるのだろうが知る由もない。
さて、体色が地味で目立たない事も関係すると思うけれど感覚的には圧倒的にオスが多い世界に見えて来る。人為的にそんな社会にしてしまったお国柄もあると聞くが、ことトンボの世界では男女均等より圧倒的にオスが多い方が生存戦略としては正しいのだろう。撮影した画像をPCで拡大したら確かに眉状斑がある。マユタテアカネに間違いないのだがこの個体を源氏物語や枕草子の世界の登場人物に当てはめてみようと思ったものの名前が一人も出てこない。小生、雅な世界に生まれついているのに知己の名前が浮かばないとは世も末である。いいえ余も末であるか・・・。師走のマユタテアカネやオオアオイトトンボに等しい。