ボーイスカウトのキャンプで今期は数回使用されたタンポポ原っぱもすっかり冬の佇まいになった。刈り払いは控えていたのだがキャンプ時に多少は刈り払われて草藪とまではならなかったものの、引っ付き虫類はすっかり種子を落して固い軸だけが空に向かって残っている、オオバコも巨大な姿でまだ青々としていても霜が降りれば枯れるだろう。オオバコは増えても背丈が大きくなる訳も無く地表を覆ってくれるから歓迎すべき植生であるがさすがに花穂が50cm程度にも伸びているとオオバコと言うよりオバケと言った方が良い。今回、原っぱで目立った植物はタイアザミで、背丈は1m前後でまだ多くが花をつけている。暖かい日にはチョウも飛翔するから蜜源植物として残したい気もあるのだが今回はタンポポ優先で地上部は一掃する。残して置くと植物体の細かい棘がタンポポ目当てに入り込む幼児に差し障る。
大きな写真の中央部に枯れて倒れている植生が見えるがこれはネコジャラシで乾燥地なら直立姿勢で残るけれど粘土質で雨後、水が溜まる様な土壌のここでは株元から倒れ込んでしまう。これが地表部を覆うので刈り刃を斜めに立て横にのけるようにしてばらさないと下のロゼットには迷惑この上も無い。強いていうなればムシロを敷いたようになってしまうのだ。こんな範囲は取り除いた下に芽生えは少ない裸地状態である。
さて今回の刈り払いは在来種のタンポポの生育を助けるための刈り払いなので地際からの坊主刈りは禁物である。心掛ける事は地上の落ち葉に触らない刈り方をしなければならない。既に葉を展開させているタンポポのロゼットを傷つけないためだ。いわゆる「高刈り」の部類だけれど概ね地上から20cm前後の刈り高で作業を行った。荒れた里山の整備に着手する当初なら坊主刈りはありうるけれどある程度整ってきた環境下では刈り高や刈る時期、または選択的刈り払いなどの違いを用いて植生の涵養と誘導を行わねばならないのだが、これが理解できないのが普遍的な現実なのだろう。
植生は雑草扱いで、伸びれば「全草坊主刈り」のサイクルが保全行為と信じて疑わないのがどの団体でも主力では単相林しか育たない保全行為になってしまう。