高濃度汚染水港外へ
2013年10月4日(金)
「全体としては コントロールできているというふうに思っています。」
これは、福島第一原発の汚染水が港湾外の海に流失した問題で、記者の「『状況はコントロールされている。全く問題ない。』という政府の認識は変わらないか?」という質問に、菅官房長官が答えた言葉です。
汚染水の問題に関して、「政府が全面に出る。」とおっしゃったのはこの方ではなかったでしょうか。もし、政府が全面に出ているのであれば、このような伝聞風に「ふう」という無責任とも思える言葉にはならないはずです。「政府が全面に出る」というのは口ばかりで、政府が真剣に取り組んでいない証拠です。
東京電力の広瀬直己社長は、「手が回っていないところがある」などと言っていますが、「手が回っていない」のではなく、「手を回していない」でしょう。その証拠に、新潟県の柏崎刈羽原子力発電所の再稼働は手回し良く、何とか新潟県知事を説得し、原子力規制委員会の審査までこぎつけたではないですか。東電が真摯に汚染水の問題に向き合うなら、この「手が回らない」状況で、再稼働のために東電の人的資源を投入できるはずはありません。ここには、東電の安全は二の次で経営優先の姿勢が見えます。
規制委員会の田中委員長は、汚染水の問題で、東電の関係者を呼びつけて、あれこれと注文を付けたと言われています。規制委員会というのは、東電に注文を付けるだけの役割でしょうか。今こそその全権限・能力を発揮して、汚染水問題に取り組むべき時ではないでしょうか。原発再稼働の審査にそのエネルギーを裂くという暇はないはずです。
そして、我が安部首相ですが、汚染水の問題は勿論のこと原発事故の収束に関して「私が責任を持つ」とおっしゃいましたが、この事態に及んでも平然としているように、私には見えます。「責任を持つ」なら、港湾外に汚染水が漏れたことに対する自己の責任について、国民に説明すべきです。この方には、そのお考えはないようです。
全世界の前で、「汚染水の影響は港湾内の0.3平方㎞の範囲内で完全にブロックされている」と平然とウソをつく人間が、一国の首相(本人は殊勝なつもりかも知れませんが・・。)として納まっているという、私には何とも不条理な世界だと思います。
汚染水問題は、①収拾付かない実態にある、②東電に当事者能力はない、という現状認識に立ち、国が(責任を持つというだけではなく)当事者としてその解決を図るという方法にしないと、今後ますます深刻化すると思います。
久々の小泉元首相の登場です。
8月に「オンカルロ」というフィンランドの施設を見て、原発の安全性を信じたのは「過ち」だったと気付いたということです。
施設を実際に見て、現実を知るというのが大切ですね。
安部氏も、一応現地視察をしましたが、一体何を見たのでしょうか?「完全にブロックされてる」という幻想を見たことは確かですが・・。
注、私は、オンカルロのことについて、「フィンランドの原発ゴミ最終処分場」と題してアップしました。