この内容でこのお値段はお買い得だなあと思うことがある。居酒屋でしこたま飲み食いして、え、一人3000円でいいの? みたいな時とか、いろいろ余ったので普段はつくらないけど作ってしまった風のお総菜の盛り合わせを、遅い時間のスーパーで見つけた時とか。
きのう国際フォーラムCで観た、ストリートダンスの公演「アスタリスク」は、あまりにお買い得、豪華な体験だった。Jポップを踊る「梅棒」さん目当てだったが、この公演の中心である長谷川達也さんと長谷川さん率いるDAZZLEというダンスユニットがあまりにもかっこよすぎる。ほかにも「ザ・ショータイム、ギャラは観客が決める … 」みたいな番組に出てそうなチームが次から次へと登場し、コラボし、一つのストーリーをつくっていく。これで5500円て、もうしわけないくらいだ。
ポールマッカートニーさんの武道館公演が、一番安い席でも4万円。すでにオペラなみだが、10万円のアリーナ席がとぶように売れてるとスポーツ新聞に書いてある。
いったい誰が買うのか … 、って、想像できるけどね。
やはり自分より上の世代の人たちにとって、ビートルズは絶対であり、神だから、チケットが2万円でも10万円でもかわりないのだろう。むしろ、お布施ははずめばはずむほど、御利益が大きく感じる。
御利益は何か。自分の青春時代を、いやむしろ人生そのものかな、それを肯定してもらえることだ。
いいんじゃないかな、それで。
おれはその宗旨には入りたくない。われわれ世代の中にも、ポールマッカトニーを神とあがめる人はいるし、自分も、中学校時代、赤盤、青盤からはじまって、相当聴いた。中学校時代に最もよく聴いたLPレコードは、「氷の世界」「心が風邪をひいた日」そして「アビーロード」だろう。そこまでではないけど「バンドオンザラン」もけっこう。
だからといって10万円払って観に行きたいかというと、たぶん1万円でもそういう気持ちにはならず、5500円で日本の若いトップダンサーたちが一堂に会するイベントに行ったり、下北沢で3000円のお芝居観たり、入場無料の高校生の定期演奏会に行ったりしていたい。実年齢はあきらかに人生後半に入っていても、自分的には発展途上気分でいられる。
10万円使ったら相当量の「今」を体感できるのに、神のもとにすがって余生を安穏にすごす道を選ぶなんて。
そう思うと、林修先生はえらい。ずいぶん稼いでらっしゃると思うけど、夕食は時間節約のためにC&Cですませ、ごく普通のビジネスホテルにとまり、教え子と情報を共有しようと雑誌「セブンティーン」を繙く。
テレビで紹介されたそんな仕事ぶりをみて、自分もえらそうにならず、無理してでもあちこち出歩き、自分の感受性ぐらい自分で守っていこうと思う。
そう思って、アスタリスクの開演前、有楽町駅のC&Cでカツカレー650円をいただいた。
林先生もGOGOカレーにいけばいいのにと思っていたが、久しぶりのC&Cは予想以上においしかった。