本は、机で読む、寝転んで読む、寝る前に読む、そして臭い所で読む。その臭い所で読んだ。
最初は佐藤優の『国家の罠』のイメージで買ったが、ところがこの本を読めば読むほど、本人の有罪性が高まってくる。何故、弁明の本として出版したのか、その不可解さが最後まで読ませた。
佐藤優の罪は簡単に言えば、鈴木宗男を政治的に抹殺するために、関係者として無理矢理に罰せられた。その理由は立小便が罰せられるに似ていた。普通は犯罪とならないものを殊更に刑法上の犯罪とした。
この本の罪状は、地方自治体の長の公共事業への「天の声」のことだが、このケースは本人の弟が有力後援者とともに本人の知らない所で勝手に「天の声」を発していたという弁明だった。
一種の表見代理の典型例だ。ただ弁明の本なのに、読めば読むほど、その罪を構成させないために実弟との関係が全く切れていることを強調し、自分の関知しない収賄罪だと弁明している。
最初から「天の声」が構成されないように仕組んだ頭脳的な犯罪としか感じられない。それを著者は真顔で弁明しているが、むしろ罪が見えてくるという奇妙な本だった。
結論は、読むに値しない本かもしれない。