玄冬時代

日常の中で思いつくことを気の向くままに書いてみました。

沖縄返還の虚実(前)

2022-05-16 14:11:40 | 政治

沖縄返還50周年だそうだ。それとともに、西山太吉元毎日新聞の記者の話が一部のジャーナリズムの中で取り上げられる。当時の事を少し覚えている。艶聞ばかりが先行し、沖縄返還がめでたいから、たかが3億円ばかりの超過負担でも良いじゃないか、そんな世評だったような気がする。

西山記者と交際していた外務省女性職員の写真が雑誌で掲載されていたことがあった。女性の顔は写っていなかったが、服装や雰囲気、当時でも40前後の男女の関係ならば、其々家庭があろうか無かろうか、其々の裁量の裡での大人の関係だろうが、妙に女性に温かいマスコミの報道ぶりだった。今思えば政府がマスコミを誘導したのかも知れない。

その女性がその後どういう人生を歩んだか知らないが、西山氏は90歳にして矍鑠としている

西山氏が件の女性から入手した極秘文書は、当時の社会党の横路孝弘議員が国会質疑の中で、佐藤首相と福田大臣に極秘文書の写しを手渡してしまった。その文書番号から情報源をたどられて西山氏が逮捕されてしまったのである。

横路議員の粗忽さ愚かさは万死に値する。横路氏はその失態が恥ずかしくなったのか、その後北海道知事に転身し、ほとぼりが冷めた頃にまた国会に戻ってきて民主党の重鎮となった。

しかし、西山記者は国家公務員法違反(そそのかし)の罪で起訴されて、記者人生を終わらせることになった

余談だが、手段選ばない特ダネを世間やマスコミは批判し、不買運動が起きて、毎日新聞の経営も危なくなったそうだ。

ふと、今の時代に置き換えると、先日の森友事件の籠池夫妻が第二審で補助金詐欺の罪で実刑を課された。結果として、森友学園に小学校開設の許可を与えた大阪府、実際に8億円値引きして売った財務省、此の双方が何の御咎めも受けていない。随分とおかしなこの国の司法だ。西山記者の公務員唆しの罪と通底するモノがある。権力者に徹底して弱い検察だ。

この本で、澤地久枝は当事件の女性に対し「努力して這い上がった」という自らとの共通項を感じながらも「哀れな被害者という意識に埋没する」ことを許さない誇りを持って欲しかった、と綴っていた。

少し前のことだが、自民党べったりの黒川検事長の定年延長に対して『#検察庁法改正案に抗議します』のツィッターデモが起きて成功したと巷間言われている。

実際は、アベの云う日銀のように「検察庁は政府の単なる下部機関です」と言われるのが嫌で、検察内部がデモを利用して人事の独立性を辛くも守っただけで終わり、何らアベの逮捕とか、先の見通しがあっての事でないような気がしている。

 

コメント
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