先日来、入江隆則『敗者の戦後』中公叢書と対話している。
昨晩は、入江は良い事を言ってくれた。「戦争は複数の国家の利害の衝突によって起る。…ナポレオンまでの18世紀の戦争は利害の衝突を認識し、それを儀式化した点で文明的だった。…20世紀になると戦場は一大屠場の趣を呈し、“正義”というカモフラ-ジュを施し、第二次大戦はナチズム、共産主義、自由主義、八紘一宇などの世界観を持ち出して、正義化した」と。
朝起きて、ふと思いついた。彼は19世紀に触れていない。ナポレオン戦争は「国民国家」の戦争であった。彼は、近代の国民国家論を尺度にしていないようだ。
国民国家ができたから、総動員体制による、戦争の果てしない惨禍が生まれたことを触れていない。この事をどう評価しているか、又議論をせねばなるまい。
読むかどうかはわからないが、又買ってしまった。終活しなければならないと云いながらも。