サツマイモと木炭
昭和三十年代の前半から、家庭で使う燃料に石油が使われるようになった。
間もなくプロパンガスに変わり、そしてパイプラインによる天然ガスが主役になった。
我が家から数十キロの範囲に天然ガス田が開発されたのだ。
これらの燃料の出現で、それまでの生活は一変した。
我が家のみならずどこの家でも薪の切り出し、貯蔵が年間の最大の行事、仕事でもあった。
少し私と歳の離れた姉達も、父母の手伝いで貴重な労働力になっていた。
幼い背中で薪を背負ったのだ。
薪は主に風呂や煮炊きの燃料として使われ、どこの家にも囲炉裏があり、
その周りが団欒の場でもあった。
しかし、部屋の暖房器具の主役はコタツ。当然の事ながら炭が必要になる。
少し山に近い里では、自家用に炭を焼きそして余分は出荷していたようだ。
(続く)