星空と映写会と
昔の田舎の大きな娯楽に、小学校の体育館を会場にした映写会が有った。
家庭ではラジオが娯楽の主役だった時代だ。映写会はテレビの普及と共に自然消滅しました。
それまでは映写会の日を大人も子供も指折り数えて待ち望んでいたものだった。
そうだ、何時の頃だったか、村の鎮守様の広場でも、
鎮守様の壁に貼った白布に映し出された映画を見た記憶も残っている。
この話は私が三歳前後の頃の話だと思われる。父は私をおんぶして映画見物に出掛けたそうだ。
意気地の無い私は、映画が始まると怖がって家に帰りたいと懇願したと言う。
そして父が映画を見たいのに我慢して帰りかけると、背中で私が「もう一度映画を見たい」と言うのだった。
そして父は喜んでもう一度会場に入ると、私が怖がり「やっぱり帰る。」と言い出す。
何回か出入りを繰り返した末、とうとう父はあきらめて家に帰ったのだそうだ。
優柔不断の私の性格は何十年たっても変わっていないようで少し反省してしまう。
詳しい話は後から聞いて分ったのだが、何故かその夜の星空と天の川だけははっきりと記憶残っている。
(続く)