墜落・転落(その1)
そそっかしさでは人後に落ちない「どじ」な私は、何回か墜落で痛い目に遭った。
と、随分前の事だから白状する。
雪国には流雪溝と呼ぶ、雪を流すための水路があり夏は作業のためエキスパンドの蓋をかけている事が多い。
その場所は、手間を省くため蓋が一枚飛ばしにしてあった。
秋になり枯草が覆いかぶさり、うっかりすると蓋が続いているように見える。
撤去した徐行信号機と言う看板のようなものを急いで別の場所に設置するため、
重いその徐行予告信号機を担いだ私は、蓋のかかっていない枯草の上に、
思いきり足を踏みこんでしまったのだ。一瞬景色が傾いた。したたかに胸をうってしまった。
「どうした」と聞く声に返事もできない。何せ一瞬息が止まり吐くも吸うもなにも、
全く呼吸もできない痛みなのだ。
(続く)