岩魚
もうかれこれ四十年近くも前の事となった。
その頃仕事上担当していた、県境近くの上越線が横断している、
小さな川に、岩魚が住むと聞き休日に竿を入れてみた。
すると、なんと線路から何メートルも離れていない所で、
始めての経験の岩魚が釣れたのである。
山女を釣り、ビリビリとするような感触は知っていたので、
竿先に感じたノタリノタリとした岩魚の感じは、大きさの割に物足りなかった。
しかし、それから半ば登山のような岩魚釣りが面白くなり、釣れる川を人に聞き、
そして自分で地図から探し出したりし、数多くの川を釣り歩いた。
その頃は、道路と言えば国道さえ未舗装の砂利道が多く、
余程の物好き以外遠くから訪ねて来る釣り人はいなかった。その砂利道を、
背中に釣り竿を佐々木小次郎の物干し竿のように背負い、オートバイで釣り場を訪ねた。
服装は、洒落たウエッダーなど持っている筈も無く、ジーパンに古ジャンパー、
足元はキャラバンシューズと言ういでたち。その姿で何キロも歩き、
時には雪解け水の川さえ渡渉するものだから、一時期膝を痛めてしまい悩んだ事さえあった。
又、朝まだ薄暗いうちに、流れに足をとられ、川の中で転倒などすると悲劇である。
暖かい陽が射すまで、寒さに震えていなければならないのである。
渓流釣りブームと言われる時代の、少し前の事であり魚影の濃い川が時々見つかった。
川によって、微妙に形と色とが違う岩魚の生態にも興味をそそられた。
珪砂のために白い砂の川には白い岩魚が住み、茶色の砂岩の川に住む岩魚は赤褐色をしていた。
魚沼と言う狭い地域にも実に多彩な川が存在していたのだ。
(続く)
釣って食料にしていました 海が近かったので
タコ釣りやナマコなどを獲るのが楽しみでした
スベルベさんの文章力にはいつも感心して
読ませて頂いていますよ
言えの近くでは熊取のおっちゃんさんのところと同じでフナ、鯉、ナマズなどが釣れましたよ。
文章は書くことは好きですが、小学生の作文並みだと思っています。
新聞への連載はまだまだ続けられそうです。