夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

田中啓文著「怪談・すっぽん駕籠  貧乏神あんど福の神」 (徳間文庫)

2022-08-22 20:49:09 | 本と雑誌

 

 

 

 

「貧乏神あんど福の神」シリーズ第2作

 

駕籠かきの良太と牛次郎は夜 客を運んだ

だが その客の姿は消えて 死体となって見つかった

貧乏絵師の葛幸助は身の潔白を晴らす為にこの謎を解くことに

 

死体となった男は女癖悪くもてあそばれて死んだ娘もいる

良太と牛次郎の偽物駕籠かきも出て 客を脅して金を奪う

暮らす長屋に疫病神がいる葛幸助

ゆえか貧乏とも縁が切れず 厄介事が飛び込んでくる

 

「駕籠屋怪談」

「千羽鶴の謎」

「怖い絵」

 

大坂を舞台にけったいな人々が活躍する物語

 

 


104回の夏 終わる

2022-08-22 20:41:21 | 子供のこと身辺雑記

仙台育英(宮城県)8-1下関国際(山口県)

勝っても涙

負けても涙

 

高校三年間 これで野球から離れる人間もいるだろう

野球する人が目指す一つの大きな目標

甲子園出場

 

けれど甲子園出場がかなわぬ人間の方が多いのだ

 

今後 監督としてコーチとして一生野球に関わっていようとする人

新しい道を見つけ進んでいく人

生きる道はどんどん枝分かれしていくのだろう

 

どうか明るく希望に満ちて生きていけますように


あさのあつこ著「飛雲のごとく」 (文春文庫)

2022-08-22 08:04:28 | 本と雑誌

 

 

 

 

「火群のごとく」に続くシリーズ第二作

本作を経て「舞風のごとく」に続きます

16歳となり元服した新里林弥(にいざと りんや)は烏帽子親の小舞藩(おまいはん)元大目付の小和田正親(おわだ まさちか)から 新里家の当主となった以上は 亡き父 そして殺された兄の名前だった結之丞(ゆいのじょう)の名前を受け継ぎ名乗るように言われるも

ーまだ暫くはその名前を名乗ることができず 林弥のままでいると答える

15歳年上の兄は 林弥が生まれて間もなく死んだ父親代わりであり 剣の師匠でもあった

全てにおいて目標として育った兄の背中

その兄は4年前 林弥が14才の時に背中から襲われ殺された

筒井道場の高弟で市中に名を馳せた兄

 

その暗殺者は兄の妻の七緒の兄だった

その暗殺者を林弥は斬った

人の血肉を斬った感触を林弥の手は覚えている

政争の犠牲者にされた兄

 

そして親友の一人の源吾も死に追い込まれた

別の親友は稀に見る剣の使い手であったのに その腕を負傷

療養の為に祖父の暮らす江戸へ向かった

 

源吾の墓で林弥は いま一人の親友の山坂和次郎(やまさか わじろう)と出会う

和次郎は林弥より一足先に元服し見習いとして普請方勤めをしている

 

源吾・和次郎・林弥は一緒に道場に通った

いまは みんなバラバラだ

和次郎ともかつてのような親しい仲には戻れない

それぞれの立場

 

源吾と馴染みあった遊女のおそでから手紙が来て 出向けば 身請けされたので動きが取れない自分の代わりに源吾の墓に線香を供えてほしいと頼まれる

生前の源吾と約束していたからと

その帰りに林弥は密かに慕う兄嫁の七緒に似た面差しの遊女の梶と出会う

心揺れる林弥

この外出の行き帰りの間 林弥は自分への害意ある視線 剣呑な殺気を感じ取ってもいた

 

一方帰宅した林弥から酒と白粉の匂いを嗅ぎ取った七緒の心もまた揺れていた

清らかな子供のまま居てほしいーそういう思いもあるのだ

 

七緒は姑の都勢が亡くなるまでは傍にいようと決めていた

それから先は・・・夫の結之丞を偲んで生きようと

彼は幸せを与えてくれた人であったから

一度嫁ぎ 子ができにくいゆえに実家にかえされた七緒を妻にと申し出てくれた人

 

出戻りとなった七緒を励まし気遣ってくれた兄嫁の絹江

その絹江は夫を殺され 後継ぎの息子に死なれ 人が変わったようになっていた

兄を殺した相手の手がかりとして 兄の死体があった場所に落ちていた根付は 林弥の友人の樫井透馬 (かしい とうま)のものだった

 

林弥は新里の家に来る途中に通る道だ 何かの折に落としてしまったのでしょうーと誤魔化す

七緒の兄が林弥の兄で七緒の夫の結之丞を殺したこと

林弥が七緒の兄を斬ったいきさつは 七緒に話しても苦しめるだけの藩の醜い理由がある

一方 江戸から連れ戻された透馬は林弥のことを案じていた

どうしても筆頭家老である父から 後継ぎとなるよう言われ

覚悟を決めた透馬は その近習ー家臣として信じられる友の林弥と和次郎を呼ぶことを父に交渉

 

彼らは藩の理不尽なところや悪いところを変えていくべく誓う

「世も政も変わる 変えてみせる 全ての望みが断たれたわけじゃない」

林弥は梶に言う

 

都勢が亡くなったあと 七緒は髪をおろし出家した

林弥の想いは届かなかった

 

少年から青年へ

彼らのたたかい 人生はこれから始まっていくのかもしれない

 

 

解説は書評家の杉江松恋さん