弟の新垣連(しんがき れん)と緑矢(みどりや)あきひを見送って 千希良蓮(ちぎら れん)は少し散歩したい気分になった
多分 弟は幸せになれる あきひはいい娘だった
祖母のこと 祖父のこと そして蓮のこと 自分の事は考えず身近な人間のことばかり考えて行動してきた優しい弟が幸せになってくれたらいい・・・
自分の家庭を持ってくれたら
それは蓮にとっても嬉しいことだった
ーそろそろ幸せな人間が出てもいい頃だものー
緑に覆われた奥阿美津の地
絡まる蔓性の雑草に埋もれるように苔むした・・・・・古い墓地の跡を蓮は見つけていた
一際大きな千希良の名が刻まれた墓石も
少し丸みを帯びた楕円形の石
目覚めていられる時 この千希良の墓石の前で蓮は長い時間を過ごす
長い歳月を経た墓石の丸みを愛おしく感じる蓮
いつ崩れ果てるかわからない娘は 生きている時と変わらない姿でいる
いつまでこの世に存在できるかはわからない
たとえ自分を傷つけ殺した相手でも その人間達を殺した自分
鬼になってもおかしくない
心配性の弟の連の前では殊更明るく振る舞うようにしている蓮だけれど
その手を血で染めた人殺し・・・・・
それは消えない
せめてもの罪滅ぼしに雑草に覆われた古い墓地を綺麗にしていく
時間はたっぷりとあるから・・・・・・
ーもしも履歴書を書くことがあるとして 趣味・墓掃除って個性的すぎるかも~~~ー
手を泥だらけにしながら 口許に笑みが浮かぶ
千希良蓮を捜し続けた青年は そんな蓮を見つけたのだった
彼の名は 葉山宏人
蓮との再会が どうしても夢とは思えず諦めきれなかった男
場所は古い墓地
蓮が着ているのは白いワンピース 両手は土で汚れていた
明るい昼間とはいえ 気持ちの良い場面とも思えないのに
蓮と目が合った葉山は嬉しそうに笑った
「君は やはり いたんだ・・・」
むしろ蓮の方がぎょっとした
散々泣いて思い切ったつもりでいた
葉山も忘れるだろうとーそう願っていた
ーなのに 何故 ここに?-
葉山の答えは簡単だった
「君が好きだから」
彼は言う
日を重ねるごとに自分を起こした青年(連)と蓮の面影が重なり 気になって仕方なかったと
そしてある時 自分の店の入る建物の新しい持ち主がその青年だと知った
調べれば その青年・新垣連はちょっとした有名人で・・・・・その父親の出身地が目に付いた
阿美津・・・
蓮の両親の出身地が似た地名だったと 葉山は思い出したのだ
それから もしやと阿美津村だった跡や奥阿美津のあった場所を捜して歩いた 時間の許す限り
「どうして そこまで・・・」
その蓮の言葉にも葉山は同じ答えを返す
「君が好きだから」
「わたし・・・わたしは!」
蓮は泣きだす
ならば言わなくてはいけない
自分の身に起きたこと 自分の罪
自分が何なのか・・・ 化け物なのだと
「ーだから わたしは好きになってもらえる人間 いいえ!モノではありません」
自分の手は血でー人の命で汚れているーと蓮は話す
蓮が男達に何をされたか その身に起きたことも全て話す
「ならばー」と葉山は言う
「ならば君の身に起きたことは この僕のせいだ
勇気が出せず君を送っていこうと言い出せず
君を一人きりで帰した僕の・・・・」
「そんなこと!」
「君が生きていようと死んでいようと 人間だろうと無かろうと! 僕は君が好きだ
君といられるなら 君が何だってかまわない!」
だから探し続けたーと葉山は言う
「何であろうと何になろうと 君は君だ」
いつか君が朽ち果てるまで 傍にいるからー
もし見つけられたら今度こそ離さない 離れないでいる そう心に誓った
誓って捜し続けたのだと
葉山は蓮が根負けするまで ただ頷くまで話し続けー
蓮は やがてよろめくように葉山が広げた腕の中に飛び込んだ
ふわりと しかししっかり入ってきた蓮の身体を 大切そうに葉山はそうっと抱きしめる
多分 弟は幸せになれる あきひはいい娘だった
祖母のこと 祖父のこと そして蓮のこと 自分の事は考えず身近な人間のことばかり考えて行動してきた優しい弟が幸せになってくれたらいい・・・
自分の家庭を持ってくれたら
それは蓮にとっても嬉しいことだった
ーそろそろ幸せな人間が出てもいい頃だものー
緑に覆われた奥阿美津の地
絡まる蔓性の雑草に埋もれるように苔むした・・・・・古い墓地の跡を蓮は見つけていた
一際大きな千希良の名が刻まれた墓石も
少し丸みを帯びた楕円形の石
目覚めていられる時 この千希良の墓石の前で蓮は長い時間を過ごす
長い歳月を経た墓石の丸みを愛おしく感じる蓮
いつ崩れ果てるかわからない娘は 生きている時と変わらない姿でいる
いつまでこの世に存在できるかはわからない
たとえ自分を傷つけ殺した相手でも その人間達を殺した自分
鬼になってもおかしくない
心配性の弟の連の前では殊更明るく振る舞うようにしている蓮だけれど
その手を血で染めた人殺し・・・・・
それは消えない
せめてもの罪滅ぼしに雑草に覆われた古い墓地を綺麗にしていく
時間はたっぷりとあるから・・・・・・
ーもしも履歴書を書くことがあるとして 趣味・墓掃除って個性的すぎるかも~~~ー
手を泥だらけにしながら 口許に笑みが浮かぶ
千希良蓮を捜し続けた青年は そんな蓮を見つけたのだった
彼の名は 葉山宏人
蓮との再会が どうしても夢とは思えず諦めきれなかった男
場所は古い墓地
蓮が着ているのは白いワンピース 両手は土で汚れていた
明るい昼間とはいえ 気持ちの良い場面とも思えないのに
蓮と目が合った葉山は嬉しそうに笑った
「君は やはり いたんだ・・・」
むしろ蓮の方がぎょっとした
散々泣いて思い切ったつもりでいた
葉山も忘れるだろうとーそう願っていた
ーなのに 何故 ここに?-
葉山の答えは簡単だった
「君が好きだから」
彼は言う
日を重ねるごとに自分を起こした青年(連)と蓮の面影が重なり 気になって仕方なかったと
そしてある時 自分の店の入る建物の新しい持ち主がその青年だと知った
調べれば その青年・新垣連はちょっとした有名人で・・・・・その父親の出身地が目に付いた
阿美津・・・
蓮の両親の出身地が似た地名だったと 葉山は思い出したのだ
それから もしやと阿美津村だった跡や奥阿美津のあった場所を捜して歩いた 時間の許す限り
「どうして そこまで・・・」
その蓮の言葉にも葉山は同じ答えを返す
「君が好きだから」
「わたし・・・わたしは!」
蓮は泣きだす
ならば言わなくてはいけない
自分の身に起きたこと 自分の罪
自分が何なのか・・・ 化け物なのだと
「ーだから わたしは好きになってもらえる人間 いいえ!モノではありません」
自分の手は血でー人の命で汚れているーと蓮は話す
蓮が男達に何をされたか その身に起きたことも全て話す
「ならばー」と葉山は言う
「ならば君の身に起きたことは この僕のせいだ
勇気が出せず君を送っていこうと言い出せず
君を一人きりで帰した僕の・・・・」
「そんなこと!」
「君が生きていようと死んでいようと 人間だろうと無かろうと! 僕は君が好きだ
君といられるなら 君が何だってかまわない!」
だから探し続けたーと葉山は言う
「何であろうと何になろうと 君は君だ」
いつか君が朽ち果てるまで 傍にいるからー
もし見つけられたら今度こそ離さない 離れないでいる そう心に誓った
誓って捜し続けたのだと
葉山は蓮が根負けするまで ただ頷くまで話し続けー
蓮は やがてよろめくように葉山が広げた腕の中に飛び込んだ
ふわりと しかししっかり入ってきた蓮の身体を 大切そうに葉山はそうっと抱きしめる
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