Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

さよなら、さよならハリウッド

2008-01-15 | 外国映画(さ行)
★★★☆ 2002年/アメリカ 監督/ウディ・アレン

「元祖ダメ男、ウディの面目躍如」



アカデミー賞受賞監督のヴァルは、今ではすっかり落ちぶれてしまい神経症まで患っている。ところが、元妻のコネでハリウッド大作のオファーが彼の元にやってくる。意気揚々と撮影に臨もうとするが当日、なんとストレスから目が見えなくなってしまう…。

最近、「ダメ男」の作品ばっかりレビュー書いてるような気がするんですが、よく考えてみればこの人こそ、元祖「ダメ男」でした。昔の女のことを、いつまでもうじうじと引きずっていて、どうしようもありません。そこが、カワイイと思えるのか!?これまた、思えるんですねえ、悲しいことに(笑)。

元カノとこれから作る映画について話をしているのに、なぜか途中で昔の浮気話に話が転換していく機関銃トークが、おかしくておかしくて。で、なぜか突然目が見えなくなって、映画を撮るなんて、もうハチャメチャもいいところです。コミュニケーションの断絶とか、そんな高尚なことを言いたいわけじゃない。ただもう、「ダメ男」がますます「ダメ男」になるのを、笑って楽しむ映画なのですよ。

ある意味、自分を中心に世界は回ってる映画なので、ウディのそのやり方がお気に召さない方が受け付けられないのは当然だと思います。だって、結局元カノだって、自分の所に戻ってくるわけですから、実に都合のいい展開。それでも、彼の破綻しまくりの機関銃トークは、ここまで来ると名人芸。やはり誰に真似できるわけでもありません。つまり「いつものあれ」を楽しむための映画。落語を聞きに寄席にいくような感覚に近いのかも。

それにしてもこの映画、目が見えない状況で撮影した映画がハリウッドでは酷評されるのだけど、フランスでは大受けというオチ。これって、どうなんでしょ。ハリウッドよりフランスの方が俺の味方だってことなのかしら。見ようによってはフランス人を馬鹿にしているとも言えませんか。試写室でヴァルが、こんな映画最低だってセリフがあるのに。よくわかんない映画をありがたがるフランス人って皮肉ってるのかしら。この結末だと、ハリウッドもフランスも敵に回しちゃうと思うんだけどなあ。