Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

レジェンド・オブ・フォール

2008-01-23 | 外国映画(や・ら・わ行)
★★★★ 1994年/アメリカ 監督/エドワード・ズウィック

「大自然と人間ドラマの融合って難しい」


ブラピファンとしては、ネイティブアメリカンの生き様に共感するワイルドな姿を楽しめるのはいいけど、実は「南北戦争」なんて言われると、入りこめなかったりするのが正直なところ。私だけかも知れないけど、「南北戦争」ってどうにもこうにもピンと来ない時代背景なのです。池田理代子センセイのおかげでフランス革命やロシア革命は妙に詳しいくせにアメリカ現代史はサッパリ…。

「レジェンド・オブ・フォール」はネイティブアメリカン、「ラストサムライ」は日本人と、異文化の中に身を置くことによって己を取り戻すアメリカ人(白人と言ったほうがいいのかな?)というテーマをエドワード・ズウィックは追求しているように思うが、やっぱり何故異文化に身を置くのか、つまりそれ以前に受けたトラウマなり挫折なりを理解していないと、なかなか物語に入り込めない。そこで、本作は南北戦争ですよ。もちろん概要もわかっているし、作品の中でも語られているけど、やっぱり皮膚感覚で南北戦争がいかなるものかって言うことを理解できてないんですね。

で、やはり尺が長いと感じた。つまり少々かったるい。モンタナの雄大な景色は確かに美しい。だけどもその景色と主人公たちとの葛藤がどうもうまく融合していない。例えば、「ブロークバック・マウンテン」。あれは、「決して叶わぬ男たちの純愛」というテーマに美しい山々や湖の大自然が見事にマッチして、相乗効果を生み出していた。でも、この作品では景色は景色、心模様は心模様って感じでなかなかうまく溶け込んでない。親子の絆、兄弟間の確執、そして1人の男を巡る2人の女と、ドラマ部分が多すぎたのも原因だろう。

で、景色を撮るのはうまいだけのエドワード・ズウィックかと思ったら、今年公開された「ブラッド・ダイヤモンド」がとってもすばらしかった。白人の苦悩と壮大な人間ドラマ、そして舞台であるアフリカの大自然が見事に溶け合ってすばらしい作品になっていた。彼がモチーフにし続けた、異文化で己を取り戻す白人というテーマがようやく実を結んだ傑作。本作は、その出発とも言える作品かも知れない。