うざね博士のブログ

緑の仕事を営むかたわら、赤裸々、かつ言いたい放題のうざね博士の日記。ユニークなH・Pも開設。

祝婚歌--吉野弘の詩

2009年01月11日 07時53分50秒 | 俳句・短歌、またはエッセイ

祝婚歌

二人が睦まじくいるためには
愚かでいるほうがいい
立派すぎないほうがいい
立派すぎることは
長持ちしないことだと気付いているほうがいい
完璧をめざさないほうがいい
完璧なんて不自然なことだと
うそぶいているほうがいい
二人のうちどちらかが
ふざけているほうがいい
ずっこけているほうがいい
互いに非難することがあっても
非難できる資格が自分にあったかどうか
あとで
疑わしくなるほうがいい
正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと
気付いているほうがいい
立派でありたいとか
正しくありたいとかいう
無理な緊張には
色目を使わず
ゆったり ゆたかに
光を浴びているほうがいい
健康で 風に吹かれながら
生きていることのなつかしさに
ふと 胸が熱くなる
そんな日があってもいい
そして
なぜ胸が熱くなるのか
黙っていても
二人にはわかるのであってほしい
 [吉野弘全詩集- 青土社] [吉野弘詩集- ハルキ文庫 角川春樹事務所]

 先日ある本を読んでいたら、政治評論家であるその著者にしては意外なことに吉野弘という詩人が紹介されていた。わたしは、戦後の詩人では山本太郎、吉本隆明が好きであったが、あらためてここに掲載する。よく若いカップルの結婚式などに、長渕剛の‘乾杯’の歌のように、詩の朗読などでこの詩が式場で披露されるらしい。
 もちろん、ここには、わたしの結婚生活30余年の感慨もはいっている。
   
コメント
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