『ジョゼフとその恋人』 クリストファー・デイヴィス著 福田廣司訳
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先日読んだ『ぼくと彼が幸せだった頃』の著者クリストファー・デイヴィスによる前作。
舞台はおそらく70年代半ば頃のファイヤーアイランド。ファイヤーアイランドとはロングアイランドの南側に位置する東西に細長い島で、シティからフェリーで15〜20分ほどという気軽な距離もあって、毎年ニューヨーカーが避暑にやってくるビーチリゾートとして人気のスポットだそうだ。この島には『ぼくと〜』や『フロント・ランナー』シリーズにも描かれる通り、70年代当時から大勢のゲイが集まるコミュニティもあるらしい。
主人公はタイトルにも名のあるジョーという歴史学の教師と、パートナーのオズワルドという人気小説家。ふたりは大学で師弟として知りあい、ジョーと肉親との関係が壊れて以来10年間にわたって養父・養子として、生涯の伴侶として、穏やかに静かに愛を育んで来た。毎日いっしょに朝のコーヒーを飲んだり、同じ部屋で仕事をしたり、海岸を散歩したり、泳いだり、食事しながら知的な議論を戦わせたり、そんな健康的で平和な生活が淡々と丁寧に綴られる。
ジョーはまだ若く(おそらく20代後半〜30歳くらい)、オズワルドは70歳前後、ふたりの間には40歳もの年齢差があった。つまりそれは、さほど遠くない将来、いやでもふたりが離ればなれになることを意味している。それだからこそ、ふたりはいっしょにいられる時間を大切に大切に慈しんでいたのだ。
しかし終わりは唐突にやってくる。まだ少し先、まだ遺された時間に余裕はあると互いに考えていただろうその矢先に、運命が永久に彼らを引き裂いてしまう。
読んでいて気持ちの良い、よく描けた作品だとは思うけど、『ぼくと〜』を読んだ後では、題材のせいもあっていささかふわふわとセンチメンタルすぎる感じもする。
娯楽小説なんだからそれはそれでいいかもしれないけど、ぐり的にはやっぱな〜ものたりないっ。人間っぽい生々しさがもーちょっと、ほしーなー。
ゲイの小説家がゲイ向けに書いた作品ですから、そーでないヒトが読んでもねー、とかいわれてしまうとミもフタもないけど、個人的にそーゆージャンル分けってあんまし意味ないよーな気もするし。
欲をいえば、もちょっとジョーのキャラクターがリアルに描かれてるとよかったかも。これだとなんかあまりに美しすぎて、現実感なさすぎるんで。
逆に人物描写以外のディテールはものすごくリアルで、たとえばオズワルドをよく知らないはずの若者がいちばん彼の悲嘆を端的に理解していたり、愛する者を失った人間の感情が心の中で変化して形になっていくまでの過程の表現なんかは、読んでて素直にわかるなあという気持ちにはなりましたです。
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先日読んだ『ぼくと彼が幸せだった頃』の著者クリストファー・デイヴィスによる前作。
舞台はおそらく70年代半ば頃のファイヤーアイランド。ファイヤーアイランドとはロングアイランドの南側に位置する東西に細長い島で、シティからフェリーで15〜20分ほどという気軽な距離もあって、毎年ニューヨーカーが避暑にやってくるビーチリゾートとして人気のスポットだそうだ。この島には『ぼくと〜』や『フロント・ランナー』シリーズにも描かれる通り、70年代当時から大勢のゲイが集まるコミュニティもあるらしい。
主人公はタイトルにも名のあるジョーという歴史学の教師と、パートナーのオズワルドという人気小説家。ふたりは大学で師弟として知りあい、ジョーと肉親との関係が壊れて以来10年間にわたって養父・養子として、生涯の伴侶として、穏やかに静かに愛を育んで来た。毎日いっしょに朝のコーヒーを飲んだり、同じ部屋で仕事をしたり、海岸を散歩したり、泳いだり、食事しながら知的な議論を戦わせたり、そんな健康的で平和な生活が淡々と丁寧に綴られる。
ジョーはまだ若く(おそらく20代後半〜30歳くらい)、オズワルドは70歳前後、ふたりの間には40歳もの年齢差があった。つまりそれは、さほど遠くない将来、いやでもふたりが離ればなれになることを意味している。それだからこそ、ふたりはいっしょにいられる時間を大切に大切に慈しんでいたのだ。
しかし終わりは唐突にやってくる。まだ少し先、まだ遺された時間に余裕はあると互いに考えていただろうその矢先に、運命が永久に彼らを引き裂いてしまう。
読んでいて気持ちの良い、よく描けた作品だとは思うけど、『ぼくと〜』を読んだ後では、題材のせいもあっていささかふわふわとセンチメンタルすぎる感じもする。
娯楽小説なんだからそれはそれでいいかもしれないけど、ぐり的にはやっぱな〜ものたりないっ。人間っぽい生々しさがもーちょっと、ほしーなー。
ゲイの小説家がゲイ向けに書いた作品ですから、そーでないヒトが読んでもねー、とかいわれてしまうとミもフタもないけど、個人的にそーゆージャンル分けってあんまし意味ないよーな気もするし。
欲をいえば、もちょっとジョーのキャラクターがリアルに描かれてるとよかったかも。これだとなんかあまりに美しすぎて、現実感なさすぎるんで。
逆に人物描写以外のディテールはものすごくリアルで、たとえばオズワルドをよく知らないはずの若者がいちばん彼の悲嘆を端的に理解していたり、愛する者を失った人間の感情が心の中で変化して形になっていくまでの過程の表現なんかは、読んでて素直にわかるなあという気持ちにはなりましたです。