『ハピネス』
肝硬変になったヨンス(ファン・ジョンミン)は田舎のグループホームで肺が40%しかないというウニ(イム・スジョン)と出会い、恋に堕ちる。深く愛しあうようになったふたりはホームを出て農家暮しを始め、摂生の甲斐あってヨンスは回復するのだが、健康になった彼には穏やかな田舎暮しが淋しくなり始める。
最初予告編観て「これはさすがにムリだろー」と思いパスするつもりだった作品。
なにこれ。全然違うやんけ。この映画のどこをどーやったらあんなコテコテな予告編になるんやろー?むしろ感心。
すごいよかったです。ハイ。おもしろかった。イヤおもしろいよーな話ではないんですが。
邦画でも韓国映画でもしょっちゅう映画の題材になる難病モノ。ホ・ジノも『八月のクリスマス』で余命わずかな写真屋の恋を描いて大ヒットさせたけど、この映画では『八クリ』では描かれなかった病人の恋の苦しみをかなり丁寧に表現している。
ぐりも『八クリ』は大好きで映画館で2度も観たくらいだけど、この映画には主人公(ハン・ソッキュ)の病名は具体的には登場せず、闘病生活らしき描写もあまりない。主人公は交通警官の若い女性(シム・ウナ)と出会って淡い恋心を抱くが、彼女には自分の病気を告げず、互いの心に深く立ち入ることもせず、黙って静かに去っていく。
これはこれで映画として非常にロマンチックだが、リアリティという意味ではちょっと不満は残る。『ハピネス』はこうした状況での恋のリアリティに思いきり突っ込んだ物語になっている。生々しい。
そもそも恋愛はそれそのものが一種の病気である。人は恋によって希望を見いだし命の活力を得ることもあるが、逆にひどく傷つけられたり絶望させられたり苦しめられたりもする。美しいだけが愛じゃない。愛のほんとうの姿は醜く重く窮屈でもある。
ヨンスは出会ってすぐにウニに惹かれるが、この時点ではふたりとも病人である。病人同士であることがふたりを結びつけ、立場を対等にしていたのだが、ヨンスが病人でなくなってしまうとこの関係のバランスは崩れる。ヨンスにとって愛という病が重荷になってくるのは、病人同士で保たれていたふたりの依存関係が壊れてしまったからである。健康のためにふたりで田舎暮しをしているのに、求めていた健康が愛を変えてしまうのがいかにも映画らしい皮肉となっている。
物語そのものはホ・ジノらしいメロドラマだけど、とにかくディテールと心理描写が丁寧で、やっぱり伊達に若き巨匠と称されるだけのことはあるなと改めて思う。ヨンスの優柔不断なダメっぷり、ウニのひた向きで可憐な薄幸ぶりにはフィクションとは思えないくらいの説得力がある。
ただちょっと気になったのは、映画に出てくるソウルが夜の街という一面だけに限定されていて、逆に田舎の農村はただただ平和で自然が美しいだけの場所として描かれており、人間関係にもほとんど葛藤らしきものが登場せず、主人公ふたり以外の要素にあまりリアルな立体感がなかったところ。まあこれも映画だからしょうがないといえばしょうがないし、不満というほどのことはないんですけどね。
ファン・ジョンミンはモロ好みだしイム・スジョンは美人ではないけどめちゃめちゃ可愛いし、キャスティングも役にぴったりだったんではないかと思います。
良い映画なのにこんな特集上映だけの公開なんてもったいない。なんでもっとちゃんと公開せんのやろー?確かに客は全然入ってなかったけどね。ぐり入れて5人しかおらんかったよ。悲し過ぎるしここの映画館いっつもこんなんで大丈夫なん?
肝硬変になったヨンス(ファン・ジョンミン)は田舎のグループホームで肺が40%しかないというウニ(イム・スジョン)と出会い、恋に堕ちる。深く愛しあうようになったふたりはホームを出て農家暮しを始め、摂生の甲斐あってヨンスは回復するのだが、健康になった彼には穏やかな田舎暮しが淋しくなり始める。
最初予告編観て「これはさすがにムリだろー」と思いパスするつもりだった作品。
なにこれ。全然違うやんけ。この映画のどこをどーやったらあんなコテコテな予告編になるんやろー?むしろ感心。
すごいよかったです。ハイ。おもしろかった。イヤおもしろいよーな話ではないんですが。
邦画でも韓国映画でもしょっちゅう映画の題材になる難病モノ。ホ・ジノも『八月のクリスマス』で余命わずかな写真屋の恋を描いて大ヒットさせたけど、この映画では『八クリ』では描かれなかった病人の恋の苦しみをかなり丁寧に表現している。
ぐりも『八クリ』は大好きで映画館で2度も観たくらいだけど、この映画には主人公(ハン・ソッキュ)の病名は具体的には登場せず、闘病生活らしき描写もあまりない。主人公は交通警官の若い女性(シム・ウナ)と出会って淡い恋心を抱くが、彼女には自分の病気を告げず、互いの心に深く立ち入ることもせず、黙って静かに去っていく。
これはこれで映画として非常にロマンチックだが、リアリティという意味ではちょっと不満は残る。『ハピネス』はこうした状況での恋のリアリティに思いきり突っ込んだ物語になっている。生々しい。
そもそも恋愛はそれそのものが一種の病気である。人は恋によって希望を見いだし命の活力を得ることもあるが、逆にひどく傷つけられたり絶望させられたり苦しめられたりもする。美しいだけが愛じゃない。愛のほんとうの姿は醜く重く窮屈でもある。
ヨンスは出会ってすぐにウニに惹かれるが、この時点ではふたりとも病人である。病人同士であることがふたりを結びつけ、立場を対等にしていたのだが、ヨンスが病人でなくなってしまうとこの関係のバランスは崩れる。ヨンスにとって愛という病が重荷になってくるのは、病人同士で保たれていたふたりの依存関係が壊れてしまったからである。健康のためにふたりで田舎暮しをしているのに、求めていた健康が愛を変えてしまうのがいかにも映画らしい皮肉となっている。
物語そのものはホ・ジノらしいメロドラマだけど、とにかくディテールと心理描写が丁寧で、やっぱり伊達に若き巨匠と称されるだけのことはあるなと改めて思う。ヨンスの優柔不断なダメっぷり、ウニのひた向きで可憐な薄幸ぶりにはフィクションとは思えないくらいの説得力がある。
ただちょっと気になったのは、映画に出てくるソウルが夜の街という一面だけに限定されていて、逆に田舎の農村はただただ平和で自然が美しいだけの場所として描かれており、人間関係にもほとんど葛藤らしきものが登場せず、主人公ふたり以外の要素にあまりリアルな立体感がなかったところ。まあこれも映画だからしょうがないといえばしょうがないし、不満というほどのことはないんですけどね。
ファン・ジョンミンはモロ好みだしイム・スジョンは美人ではないけどめちゃめちゃ可愛いし、キャスティングも役にぴったりだったんではないかと思います。
良い映画なのにこんな特集上映だけの公開なんてもったいない。なんでもっとちゃんと公開せんのやろー?確かに客は全然入ってなかったけどね。ぐり入れて5人しかおらんかったよ。悲し過ぎるしここの映画館いっつもこんなんで大丈夫なん?