『ゴモラ』
数年前からごみの回収が滞り深刻な社会問題と化しているナポリ。この問題には当地の地下組織カモラも関与しているといわれている。
映画はカモラとその周辺を取材したジャーナリスト、ロベルト・サヴィアーノによるドキュメンタリー小説が原作。原作者も参加して小説から5つのエピソードをピックアップし脚色した。サヴィアーノは2006年にこの本を発表して以来カモラから脅迫されているため警察の保護下で生活しており、最近もイタリア国外に逃亡する計画であることを発言している。
今年のカンヌ国際映画祭でパルムドールに次ぐグランプリを受賞して話題となった作品。
あーーーーーーーーーーーすごかった。
すごいです。濃ゆい。濃過ぎる。こんな濃ゆい映画観たことないー。疲れた。
古今東西マフィアを題材にした映画はいっぱいあるし、マフィア映画は映画の一ジャンルとして人気の高い題材でもあると思うのですが。ぐりも嫌いじゃないです。とくに好きでもないけど。
しかしこの映画を観てしまうと、映画はやっぱ映画、フィクションなんだなあという、ものすごい当り前なことについ自嘲してしまう。ホントに当り前なんだけどね。でもマフィアとかヤクザのイメージってやっぱし映画が基本じゃないですか。映画のイメージからマフィアやヤクザや、そういうアウトローに一種の美学を見い出す人って少なくないよね。たぶん。
けどこの映画には美学もへッタクレもクソもない。いかなる形の感傷も正義もヒーローも美女も登場しない。出てくるのは暴力に支配された社会の恐怖と、彼らがうみだす荒廃だけである。どのシーンもどのエピソードも、徹頭徹尾それ一色である。
これは疲れます。この映画だって劇映画だからフィクション=つくりもの、偽物のハズなんだけど。
ナマナマしさでいえばこれ以上ナマナマしいマフィア映画はかつて存在しなかったんでは?とゆーくらいのナマナマしさではある。つーてもぐりはマフィア映画そんなに観てませんけども(何を隠そう『ゴッド・ファーザー』シリーズも観たことない)。ドキュメンタリータッチといえば聞こえはいいけど、ドキュメンタリーで撮れないから再現ドラマにしたんかい、ってくらいリアルです。コワ過ぎる。
観てていちばん疲れるのは、登場人物に誰ひとり感情移入できそうなキャラクターがいないこと。数だけはものすごくたくさんの人が出てくるけど、全員が見事に極悪人かバカかうすのろばっかりなんである。どいつもこいつもカネのことしか考えてない。でなければ何も考えていない。そんなん共感しようがないよ。
けどこの映画でいいたいこと、伝えたいことは痛いほどよくわかる。原作者がいいたかったこと、監督が表現したかった気持ちのあまりの切実さに、思わず涙があふれそうになる。それこそが映画にとっていちばん大切なことだ。見たくれがどうとか芸術性がどうとかいう問題ではない。
つくり手にとって、この映画に描かれた世界はフィクションでもなんでもないのだろう。ましてスクリーンの向こうの他人事として片づけられるものでもない。
イタリア社会の腐敗には年季が入っている。マフィアはこれがイタリアの歴史、文化、国民性だというかもしれない。だがイタリアという国を蝕んでいるのは何も地下組織だけではない。グローバリズムの現代、イタリア社会にもその波は押し寄せてきている。薬物取引を牛耳っているのはコロンビア人ブローカー、ブランド服の縫製工場を経営しているのは中国系移民である。映画では、彼らに利益を与え、マーケットを売り渡しているのは他ならぬイタリア人自身であることがしっかりと描かれている。これまでの長い歴史をかけて先達が築き上げてきたイタリアという豊かに美しかった国を、イタリア人が自らの手で破壊し、空洞化させている。それもこれも目先のカネのためだけに、イタリア人が自分の意志で選びとった結果である。誰も強制なんかしていない。
たぶん似たような現象は世界中どこの国でも大なり小なり起きているのだろう。もちろん、日本でも。
複数のエピソードが同時進行で構成が複雑だったのもあって、部分的に理解が追いつかないところもあったので、これから原作を読みたいと思います。
中国人といえば、彼らの家のシーンでテレサ・テンの曲がかかってて一瞬ドキッとしました。あれ曲名なんだっけな?映画でよくかかってる曲なんだけど。
あと、舞台がナポリとゆーことで台詞が皆さんすんごい訛ってて、かなりの部分でまったく何をいってるのか聞き取れないところが多かったです。ナポリ、行ったことないのよねー。ってか字幕読めばいいんだけど。イタリア版でも部分的に字幕がついてたらしーですけどね。イタリア人にも聞き取れない訛りってどんなんだ。
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数年前からごみの回収が滞り深刻な社会問題と化しているナポリ。この問題には当地の地下組織カモラも関与しているといわれている。
映画はカモラとその周辺を取材したジャーナリスト、ロベルト・サヴィアーノによるドキュメンタリー小説が原作。原作者も参加して小説から5つのエピソードをピックアップし脚色した。サヴィアーノは2006年にこの本を発表して以来カモラから脅迫されているため警察の保護下で生活しており、最近もイタリア国外に逃亡する計画であることを発言している。
今年のカンヌ国際映画祭でパルムドールに次ぐグランプリを受賞して話題となった作品。
あーーーーーーーーーーーすごかった。
すごいです。濃ゆい。濃過ぎる。こんな濃ゆい映画観たことないー。疲れた。
古今東西マフィアを題材にした映画はいっぱいあるし、マフィア映画は映画の一ジャンルとして人気の高い題材でもあると思うのですが。ぐりも嫌いじゃないです。とくに好きでもないけど。
しかしこの映画を観てしまうと、映画はやっぱ映画、フィクションなんだなあという、ものすごい当り前なことについ自嘲してしまう。ホントに当り前なんだけどね。でもマフィアとかヤクザのイメージってやっぱし映画が基本じゃないですか。映画のイメージからマフィアやヤクザや、そういうアウトローに一種の美学を見い出す人って少なくないよね。たぶん。
けどこの映画には美学もへッタクレもクソもない。いかなる形の感傷も正義もヒーローも美女も登場しない。出てくるのは暴力に支配された社会の恐怖と、彼らがうみだす荒廃だけである。どのシーンもどのエピソードも、徹頭徹尾それ一色である。
これは疲れます。この映画だって劇映画だからフィクション=つくりもの、偽物のハズなんだけど。
ナマナマしさでいえばこれ以上ナマナマしいマフィア映画はかつて存在しなかったんでは?とゆーくらいのナマナマしさではある。つーてもぐりはマフィア映画そんなに観てませんけども(何を隠そう『ゴッド・ファーザー』シリーズも観たことない)。ドキュメンタリータッチといえば聞こえはいいけど、ドキュメンタリーで撮れないから再現ドラマにしたんかい、ってくらいリアルです。コワ過ぎる。
観てていちばん疲れるのは、登場人物に誰ひとり感情移入できそうなキャラクターがいないこと。数だけはものすごくたくさんの人が出てくるけど、全員が見事に極悪人かバカかうすのろばっかりなんである。どいつもこいつもカネのことしか考えてない。でなければ何も考えていない。そんなん共感しようがないよ。
けどこの映画でいいたいこと、伝えたいことは痛いほどよくわかる。原作者がいいたかったこと、監督が表現したかった気持ちのあまりの切実さに、思わず涙があふれそうになる。それこそが映画にとっていちばん大切なことだ。見たくれがどうとか芸術性がどうとかいう問題ではない。
つくり手にとって、この映画に描かれた世界はフィクションでもなんでもないのだろう。ましてスクリーンの向こうの他人事として片づけられるものでもない。
イタリア社会の腐敗には年季が入っている。マフィアはこれがイタリアの歴史、文化、国民性だというかもしれない。だがイタリアという国を蝕んでいるのは何も地下組織だけではない。グローバリズムの現代、イタリア社会にもその波は押し寄せてきている。薬物取引を牛耳っているのはコロンビア人ブローカー、ブランド服の縫製工場を経営しているのは中国系移民である。映画では、彼らに利益を与え、マーケットを売り渡しているのは他ならぬイタリア人自身であることがしっかりと描かれている。これまでの長い歴史をかけて先達が築き上げてきたイタリアという豊かに美しかった国を、イタリア人が自らの手で破壊し、空洞化させている。それもこれも目先のカネのためだけに、イタリア人が自分の意志で選びとった結果である。誰も強制なんかしていない。
たぶん似たような現象は世界中どこの国でも大なり小なり起きているのだろう。もちろん、日本でも。
複数のエピソードが同時進行で構成が複雑だったのもあって、部分的に理解が追いつかないところもあったので、これから原作を読みたいと思います。
中国人といえば、彼らの家のシーンでテレサ・テンの曲がかかってて一瞬ドキッとしました。あれ曲名なんだっけな?映画でよくかかってる曲なんだけど。
あと、舞台がナポリとゆーことで台詞が皆さんすんごい訛ってて、かなりの部分でまったく何をいってるのか聞き取れないところが多かったです。ナポリ、行ったことないのよねー。ってか字幕読めばいいんだけど。イタリア版でも部分的に字幕がついてたらしーですけどね。イタリア人にも聞き取れない訛りってどんなんだ。
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