今朝の新聞記事より。
映画字幕翻訳家の太田直子さんの記事です。
『日本語読解力の低下が進めば外国映画の翻訳は吹き替えばかりとなって字幕は絶滅してすまうかもしれない、というようなことを拙書でぼやいたら、読者から「私は絶対に字幕派!ぼやいてないでしっかりせんか」という声をたくさんいただいた。
―中略―
字幕翻訳の特殊性を言うとき必ず出てくるのが「字数制限」だ。その目安は
「1秒=4文字」。
字幕は、俳優がせりふを喋っている間しか画面に出せない。それはほんとうにわずかな時間だ。1秒とか2秒、長くても5秒。ちょっと目をそらせば消えうせる。
―中略―
「せりふ1秒につき字幕4文字」というのが目安だ。ふつうに翻訳したのでは長すぎて読めないので、字幕テクを駆使して短く要約する。
―中略―
もちろん、ことは字数だけの問題ではない。字幕はすんなりと頭に入る文章でなくてはならない。「はて、これはどういう意味だろう」と観客が一瞬でもつまずけば、直後の字幕3つくらいは読み損ねる。字数内に収めておけばOKというものでもないのだ。
―中略―
要は、大多数の観客が悩まずに映画を楽しむにはどうしたらいいか、ということなのだが、そこに字幕屋は悩む。観客それぞれの知性や教養、作品の予備知識にもよる。最近、恐ろしい話を小耳に挟んで戦慄した。
「ゆとり教育を受けた子たちが字幕で映画を見る年齢になったので、もっと字数を減らしてください。難しい漢字や語句もだめです」と言われることがあるらしい。吹き替え版があるにもかかわらず、だ。
これ以上どう字数を減らせというのか。そのうち目安は「1秒=1文字」になるかもしれない。そうなったら近年流行の省略技巧でしのぐしかない。「あけおめ(あけましておめでとう)」「じまよろ(字幕をよろしく)」
ああ、日本語が崩れていく。』
韓国ドラマや映画を観る様になってから、それ以前に洋画を観ていた時以上に吹き替えと字幕との受け取り方や印象の差を感じている今日この頃。
だから、この記事に目がとまったというわけです。
それにしても、字数制限があるらしいと言う事は聞いていましたが、1秒=4文字とは
そこまで厳密なものだったのですね。
まぁ、その程度が読んで理解できる範囲という事なんですね、今のところ。
道理で、俳優さん達が話している台詞どおりには字幕が出てないはずです。意味を変えないで、判りやすく要約すると言う事は難しいですよね。
以前から私の中でもやもやしていた、字幕の量とその要約度合いという問題に、今日、決着がつきました
翻訳家の方達、ご苦労様です。
人知れない、そんなご苦労があったとは・・・知らなかったのは、私だけ
もう、字幕に対して文句は言いません
そして、これ以上字数制限が強化されない事を祈るばかりです。