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朝鮮王朝第17代孝宗の時代に、ある文書が司憲府で見つかりました。
先代の世子ソヒョン世子の死後に既に見つかっていたもののようです。
史書の草稿だと思われました。
先代の世子を貶める内容となっているようで、厳密に言うと、闇に葬るべき文書でした。
しかし、この草稿に何度も登場する一人の人物の行いが気になると上司は言いました。
その人物について調べ、草稿の真偽を密かに確かめよと、上司に命じられたシン持平。
イ・ジャンヒョンと言うその人物について調べ始めました。
行き当たったのが、一人の老女。
牢に入れられているのですが、高貴な人が手厚く世話するよう頼んでいるんだとか。
“時が来れば、あの方が私を迎えに来る”と何度も何度も繰り返して呟いているようです。
シン持平は、洞窟の奥の牢にいる老女を訪ねました。
そして聞きました、迎えに来ると言うのは、イ・ジャンヒョンか?・・・と。
正気を失っているように見えた老女ですが、イ・ジャンヒョンの名を聞くと、動揺を見せました。
「イ・ジャンヒョンの話を聞かせてくれぬか?」
時は、20年ほど遡ります。第16代仁祖の治政です。
ギルチェ=アン・ウンジンさんは、マイペースで我儘で自分の美貌に自信を持ちまくりの両班のお嬢さま。
花嫁修業をする毎日ですが、何せ歯に衣着せぬ物言いですので、友達からは敬遠されたりしています。
が、本人は至って平気。
ギルチェが気になるのは、成均館の儒生ヨンジュンのこと。
彼女の初恋の相手のようです。
ところが、ヨンジュンは、ギルチェの友達ウネと恋仲なんです。
ギルチェは最近同じような夢を見続けています。
刺繍をしていると、赤い糸巻が転がってしまい、それをどこまでも自分が追いかける夢です。
野を超え、山を越え、川を渡り、雪山を走るギルチェ。
すっかり服もぼろぼろになり、顔だって汚れてしまいます。
やっと糸巻が浜辺で止まりました。
一人の男性の足元に糸巻はありました。
男性が糸巻を拾い上げ、ギルチェに言いました。
「私はここで長きにわたってそなたを待っていた。」
顔は夕焼けで見えません。
当時、朝鮮は明と後金と言う外敵に悩まされていました。
明と後金の争いはもう長く続いていて、親明政策をとる仁祖は日増しに勢力を強める後金にどう対処すべきか、頭を痛めていました。
ある日、ギルチェは友達と花摘みの祭りに出かけました。
男性も多く参加しているのを見て、これ見よがしに美貌と愛嬌を振りまき、男性陣を惑わせようとしました。
が、ヨンジュンは振り向きません。
女性陣の反感を買っただけで終わりそうです。
そんな時、ヨンジュンが声高に政治について主張しました。
「後金は朝鮮の事を貶めたと言うのに、朝廷は後金を宥めようと使臣を使わそうとしている。師の許可を得たので、皆で王様に対して上疏しようではないか。」
そーだ、そーだと皆で気勢を上げたのですが、その高揚気分に水を差した者が。
イ・ジャンヒョン=ナムグン・ミンssiです。
「明が後金に勝てると?後金が明に勝つとは少しも考えないのですか?」
よってたかってイ・ジャンヒョンの主張を否定しようとする書生たちでしたが、弁舌はイ・ジャンヒョンの方が数段上。
イ・ジャンヒョンは、ここで勇ましく戦うと叫ぶ書生たちが、どれほど戦いの役に立つかは疑問だと言いたかったようです。正確な情勢判断も出来ていないのにと。
イ・ジャンヒョンは変わり者だと噂されていました。
少し前にこの村にクジャムという従者と共にやってきて、書院に入りたいと突然申し出たそうで。
そして試験に受かったら・・・と言われると、子供たちに交じって受験しました。
ところがどういうわけか、一文字も書かず、不合格に。
しかし、イ・ジャンヒョンは村の長老たちに物凄く人気になっちゃって、彼らの口添えで書院に入る事が出来たのです。
また、どうやって儲けたのかは分かりませんが、お金持ちだとも言われています。
おまけに、女たらしだとも。女たらしと言われる理由は、女性と交際しても、結婚する意志を持っていないからでした。
ギルチェは、そんな非婚を信条としているイ・ジャンヒョンなんぞ、完全に対象外。
なんとしても、ヨンジュンを虜にしたいと考えまして。
ブランコに乗る事を思いつきました。
ブランコに揺られながら、ちらちらと足首を見せるのが良いかもなんてね
「春香伝」のパクリです。チョ・スンウさんファンなら、皆さんご存じのあの話です。
ギルチェがブランコをしているのを見かけたイ・ジャンヒョンがクジャムにあれは誰だと聞きました。
「尻尾が99本の狐です。」
と、クジャム。
イ・ジャンヒョンは興味が湧きました。
これまで美声の女人、心優しい女人などなど、多くの女性に出会って来ました。しかし、皆見た目は華やかだけど、中身は空っぽだと思いました。
だから、その狐はどれほどの女性なのか、見て見たくなったのです。
期待はしていませんでした。自分は目が高いと思っていましたから。
でも、イ・ジャンヒョンはギルチェが高く高くブランコをこぐ姿に目が釘付けになってしまったのです。
後に、ギルチェがこの時の事を尋ねたら、
「とても不思議な音を聞いた。花の音だ。」
と、イ・ジャンヒョンは答えたようです。
ギルチェもまた、ブランコを漕ぎながら、夢のあの人に会えるかもしれないと感じていました。
突然ブランコの綱が切れました。
乗っていたギルチェが放り出されました。
受け止めたのは、イ・ジャンヒョンでした。
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