大河ドラマ「光る君へ」でも、まひろの従者として出演している矢部太郎氏の著書。
認知症専門医である長谷川嘉哉氏の著書を漫画化したものです。
認知症専門医が診て来たたくさんの認知症患者とその家族の物語を、柔らかなタッチの絵で描いています。
ほんわかして、くすっと笑えてしまうようなエピソードですが、私はあまり笑えませんでした。
笑うには、身につまされるエピソードばかりで。
まだ笑えるほどに過去になっていないようです、私は。
振り返ってみると、私が介護に関わるようになった時は、いきなりMAXのレベルでした。
この漫画のように、少しずつ、少しずつ介護される側も介護する側も慣れて行くならともかく。
いきなりのピークに、介護の何たるかも、認知症の何たるかも知らないまま、学べないまま、ぽんと託されてしまったので。
今なら、あの時よりは少しはお互いが楽に向き合えるかもしれません。
子育てと同じように、大きく言うと人生が人それぞれなように、介護も人それぞれ。
良いとこどりでやっていけたら、それに越したことは無いと思います。
この作品の中で、一つほっとしたのは、先生は介護者の方を向いてくれているということ。
介護者の心身が大事と言う言葉。
私が介護している時は、誰もそんな言葉をかけてくれませんでした。
介護される者第一であるべきだと言うケアマネや親族の主張が唯一無二の正解だと思われていましたから。
介護する者・・・それも一番関わる者は、身を削る思いで当たるのが当然・・・なんてね。
もしかしたら、今でもそうなのかもしれませんが。
物凄く荒んだ気持ちで毎日を暮らしていたのは確かです。
いくら積まれたとしても、あの頃の経験は二度としたくないです。
人間として徳が積まれる・・・なんて言うのは、経験の無い人のその場しのぎのセリフだと私は今でも思っています。
この先どれほどの時間が残されているか分からないけど、あの10数年を、返してほしいと心底思います。
こんな思いをしないために、この漫画が役立つかもしれません。
入門書のようなモノです。
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