OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

凄すぎるハンプトン・ホーズの秘宝

2008-12-17 11:53:15 | Jazz

Bird Song / Hampton Hawes (Contemporay / Fantasy-OJC = CD)

1999年に突如として発売されたハンプトン・ホーズの未発表演奏集ですが、その内容は全盛期だった1956年と1958年のトリオセッションで、しかもオクラ入りしていたのが不思議なほどに素晴らしい出来栄えだったのですから、吃驚仰天でした。

収録の全13曲は有名スタンダードとビバップの聖典曲、さらにハンプトン・ホーズのオリジナルという、全く王道の選曲も嬉しく、トリオのサポートメンバーもポール・チェンバース、スコット・ラファロ、ローレンス・マラブル、フランク・バトラーと役者が揃っています。ただし実際に聴いてみれば、そのメンツにも???という部分があるのは否定出来ず、それゆえにプックレット記載の録音データも怪しいのですが……。

一応、1956年1月18日のセッションがハンプトン・ホーズ(p)、ポール・チェンバース(b)、ローレンス・マラブル(ds) というハードバップトリオ♪ また1958年3月とされるセッションではスコット・ラファロ(b) とフランク・バトラー(ds) がサポートする、なかなか興味深い演奏になっています――

 01 Big Foot (1956年1月18日録音)
 02 Ray's Idea (1956年1月18日録音)
 03 Stella By Starlight (1956年1月18日録音)
 04 Blues For Jacque (1956年1月18日録音)
 05 I Should Care (1956年1月18日録音)
 06 Bird Song (1956年1月18日録音)
 07 Yesterdays (1956年1月18日録音)
 08 What's New (1958年3月録音)
 09 Just One Of Those Things (1956年1月18日録音)
 10 I'll Remember April (1958年3月録音)
 11 Cheryl (1956年1月18日録音)
 12 Blue 'N' Boogie (1958年3月録音)
 13 Blues For Jacque (alternate / 1956年1月18日録音)

――、まずはド頭の「Big Foot」からして、ハンプトン・ホーズが物凄い勢いです! グリグリにスイングしていくハードドライヴィンなピアノは、まさに黒人モダンジャズの真髄といって過言ではないと思います。そのブルース魂とジャズフィーリングの豊かさは、代表作とされる「Hampton Hawes Vol.1 (Contemporay)」に勝るとも劣らないでしょう。これは聴いていただければ、万人が納得されるんじゃないでしょうか。
 そのあたりの絶好調さは、同系演奏の「Blues For Jacque」の2つのテイクやタイトル曲の「Bird Song」でも堪能出来ますし、ハードバップを基本としながらも軽妙なグルーヴが味わい深い「Ray's Idea」や「Cheryl」にも顕著で、いずれもハンプトン・ホーズならではの「節」が出まくった快感が、それこそ存分に楽しめるのです♪
 またスタンダード曲の演奏では、パド・パウエルの歴史的名演に果敢に挑んだ「I Should Care」が潔く、思わせぶりな前半のピアノ独奏からリズム隊を呼び込んだ後半のイマジネーション豊かな展開に好感が持てます。同じような解釈の「Stella By Starligh」や「Yesterdays」も、後半のグイノリがさらに良いですねぇ~♪ ただし「Just One Of Those Things」は、ちょいとそのあたりをやり過ぎた雰囲気が賛否両論かもしれません。
 そして既に述べたように、気になるサポートメンバーについては、例えば「Big Foot」や「Ray's Idea」あたりで登場するベースソロなど、ど~しても私にはポール・チェンバースには聞こえません。バッキングの4ビートウォーキングにしても同様で、もしかしたらジョー・モンドラゴンかレッド・ミッチェルという疑惑も……。どうにかポール・チェンバースっぽいのは「Blues For Jacque」ぐらいだと思います。
 しかし、それはそれとして、とにかくハンプトン・ホーズが絶好調の快演には違いなく、こんな凄い演奏が埋もれていたという事実にはジャズシーンの魔界を感じてしまうほどです。
 さて、続く1958年とされるセッションは、いきなりグイノリという「What's New」の演奏が、これまた賛否両論でしょう。原曲の一般的な解釈のスローな味わいが否定され、グルーヴィにスイングしていくのですから!? もちろんハンプトン・ホース特有の「節」が楽しいほどに出まくっているのですが……。気になるスコット・ラファロの活躍は、後年のビル・エバンス・トリオで印象的だった、あの繊細に震えるようなベースソロの片鱗は感じられますが、意外にもポール・チェンバースっぽいところあるという発展途上です。
 それは些か落ち着きのない「I'll Remember April」やスピード違反気味の「Blue 'N' Boogie」でも同じ雰囲気なんですが、もしかしたら、こっちのセッションがポール・チェンバースの参加なのか!? 特に「I'll Remember April」のアルコ弾きなんか、モロですよっ! う~ん、謎は深まるばかりです。

ということで、その発売経緯も含めて、全くミステリアスなアルバムなんですが、ハンプトン・ホーズに関しては間違いなく「ハンプトン・ホーズだけの世界」です。ドライブ感満点のハードバップグルーヴは、この時期だけのハンプトン・ホーズを聴く喜び♪♪~♪

ジャケットもイケていませんので、あまり話題になったとも思えませんが、聴いて吃驚のアルバムですよっ♪ データ的な謎は誰かが何時か解明してくれるでしょうし、それまでは素直に楽しみませう。

初っ端から「Big Foot」の一発で、KO間違いなしですよっ♪

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