OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ジミーとウェスの痛快な対決

2008-12-27 13:28:48 | Jazz

The Dynamic Duo / Jimmy Smith & Wes Montgomery (Verve)

どうも気分が落ち込んでいるので、本日はスカッとした1枚を選んでみました。

それは大物顔合わせが得意技というヴァーヴレーベルの中でも、オルガンとギターの超大物が正面から対決した、このアルバムです。しかもオリバー・ネルソンが指揮・編曲のオーケストラがバックアップしているのですから、見事な緊張と緩和、そして熱気溢れるグルーヴィな演奏は間違い無いところです。

録音は1966年9月、メンバーはジミー・スミス(org)、ウェス・モンゴメリー(g) の二大巨匠をメインに、リチャード・デイビス(b)、グラディ・テイト(ds)、レイ・バレット(pre) が要のリズム隊! そしてアーニー・ロイヤル(tp)、ジョー・ニューマン(tp)、ジミー・クリーヴランド(tb)、フィル・ウッズ(as,cl)、ジェローム・リチャードソン(ts,fl,bs) 等々がメインとなった豪華なブラス&リード陣がオーケストラを編成していますが、あくまでもアドリブパートはジミー&ウェスが主役です。

A-1 Down By The Riverside (1966年9月23日録音)
 まさにアルバムのド頭を飾るに相応しい、猛烈にハードドライヴしまくった熱演トラック! 原曲は黒人ゴスペルとして有名なメロディですから、誰もが一度は聞いたことがあろうかと思います。オリバー・ネルソンのアレンジも小細工よりはストレートなスイング感を大切にしているようですが、カラフルな音の積み重ねは侮れません。
 肝心のジミー&ウェスはアドリブパートに入ると豪快な丁々発止! ジミー・スミスの熱いオルガンのバックで最高の合の手を入れるウェス・モンゴメリーが、実に良いですねぇ~♪♪ しかも、バックのオーケストラが最高のタイミングでリフをぶっつけてきますよっ♪♪ もちろんウェス・モンゴメリーはテキパキとした単音弾きから十八番のオクターブ奏法、そして迫力のコード弾きと出し惜しみしない姿勢が、実にジャズ者を感涙させてくれるでしょう。
 グラディ・テイトのドラミングも迫力がありますし、クライマックスのソロチェンジは何時までも聴いていたいほどです。
 ちなみにこのアルバムのセッション全体に感じることですが、あくまでも個人的な感想として、オーケストラのパートにはダビングと編集が施されているのかもしれません。

A-2 Night Train (1966年9月23日録音)
 ジミー・フォレストのヒット曲にして、今ではR&Bインストの定番となっているはずですから、これまた誰もが、一度は聞いたことのあるメロディでしょうが、それにしてもこのバージョンのアレンジと演奏は痛快です! テーマ部分だけで、心底スカっとしますよっ!
 そしてウェス・モンゴメリーがソウルフルなアドリブを始めれば、その場はもう真っ黒ですし、バックのリズム隊のグルーヴィな雰囲気も聴き易くて熱気が満点♪♪♪ 秘められた都会的なスマートさにも好感が持てます。
 それはジミー・スミスのアドリブパートに入って、ますます煮詰められ、心の奥底から自然体に湧きあがってくるようなブルース衝動には感動させられてしまいますねぇ~♪♪ その猛烈なスイング感には、激しく咆哮しているオーケストラさえ、引っぱられている感じです。

B-1 James And Wes (1966年9月28日録音)
 ジミー・スミスが書いたブルースで、オーケストラが抜け、タイトルどおりにジミー&ウェスがストレートな対決を繰り広げた名演です。ちなみにリズム隊はグラディ・テイトとレイ・バレットだけというのも高得点でしょう。
 そしてメインのアドリブソロはウェス・モンゴメリーの流れるようなフレーズの積み重ねが流石で、あのライブの名盤「Half Note (Verve)」あたりを彷彿させられます。もちろんジミー・スミスとのコンビネーションは鉄壁! ですから、一方の主役であるオルガンの狂熱地獄も、バンドが一丸となった大噴火に収斂していくのでした。

B-2 13 (1966年9月21日録音)
 ゲイリー・マクファーランドが書いた、どうやら映画の劇伴曲らしい心地良いメロディが、オリバー・ネルソンの厚みのあるオーケストラアレンジで楽しめます。もちろんボサロックのビートとソフトロック系の曲展開、そしてジミー&ウェスのアドリブは冴えまくり♪
 と書くと、なんかフワフワした演奏と思われるかもしれませんが、実はとても重厚でハードエッジな雰囲気が捨て難いんですねぇ~♪ 全体としては、後にウェス・モンゴメリーが当たりをとるCTI路線の先駆けというムードですが、ジミー・スミスの空気を読んでいないようなツッコミのオルガンゆえに、一味ちがったハードな仕上がりは最高です。
 そしてウェス・モンゴメリーのアドリブは美メロの出来すぎですよ♪

B-3 Baby It's Cold Outside (1966年9月28日録音)
 確か水着の女王こと、エスター・ウィリアムスのヒット曲だったと思いますが、クリスマスソングとしても有名ですよね。それをグルーヴィに演奏していくジミー&ウェスというだけで、ワクワクさせられ、期待を裏切らない楽しい仕上がりになっています。
 ジミー・スミスの強靭なベースパートのドライヴ感も見事ですが、ウェス・モンゴメリーのアドリブソロが、これまた出来すぎの美メロ大会♪♪~♪ ちなみにこの演奏もオーケストラが抜けたシンプルなスタイルが良い方向に働いた感じで、ジミー・スミスもノビノビと自己主張しながら、全く破綻のない凄い出来栄えになっています。

ということで、一部のスキも感じられないという凄いアルバムです。しかも何度聴いても飽きないんですねぇ~~♪ そして当然ながら名盤認定されている1枚として、ジャズ入門にも最適でしょう。

こういう基本に忠実な作品ほど、実はジャズ喫茶では鳴らない傾向にあるんですが、このアルバムは別格でした。音量が大きいほどに圧倒される強烈なノリは当たり前として、自宅で軽く聴いても熱くさせられる1枚だと思います。

コメント (2)
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