■My Sharona / The Knack (Capitol / 東芝)
1970年代半ばからの流行のひとつに、所謂「ビートルズの再来」という売り文句があった事は笑い話では無く、実際にそ~やってプロモートされたバンドの中で、一番に力が入れられていたのが本日掲載のシングル盤A面曲「My Sharona」を1979年に大ヒットさせた極みの一発屋たるナックでありました。
なんたって、このデビュー曲「My Sharona」が全米ヒットチャートでは5週連続1位という偉業が我が国に伝えられた時、既に「ビートルズの再来」と決めつけた宣伝が大々的にあって、しかも現実的に「My Sharona」という楽曲を聴く以前にナックと名乗る4人組がヘアスタイルやファッション等々からも、なかなか初期ビートルズっぽいムードを滲ませたビジュアルが先行して報道されていたのですから、それは空騒ぎなのかっ!?
なぁ~んていう猜疑心に苛まれた洋楽ファンが多かったはずと推察するサイケおやじも、そのひとりでありました。
そしていよいよ初めて「My Sharona」を聴けた時には、ほとんどメロディらしきものが感じられない歌でありながら、一番に耳に残るのが前向き(?)にドライヴするベースとギザギサしたリズムギターやドラムスの存在、さらにザ・フー系の吃音シンギング!?
このあたりはサイケおやじが苦手とするパンク~ニューウェイヴの臭いが強いんですが、それでも聴いていられるのは前述したベースラインの気持良さだったように思います。
ちなみにナックはイギリスじゃ~なく、アメリカはロサンゼルスあたりの出身で、メンバーはダグ・ファイガー(vo,g)、バートン・アヴェール(vo,g)、プレスコット・ナイルズ(b)、ブルース・ゲイリー(ds) というのが、このデビュー期の顔ぶれで、それがど~ゆ~経緯からか、この「My Sharona」を含む最初のアルバムのプロデュースをスージー・クアトロ等々のブリティッシュハード&グラムロックで当たりを飛ばしたマイク・チャップマンが担当したというのが、成功に至った大きな要素なのでしょう。
もちろんサイケおやじは、ナックがデビュー以前にどんなスタイルのバンドだったかは知る由もありませんが、それが初期ビートルズの路線に沿ったものだったとしても、「My Sharona」という楽曲はほとんどビートルズっぽくはありませんし、似ているのはバンドのルックスや雰囲気だけですから、「ビートルズ」という偉大なる冠に拘ってナックを聴けば、完全な肩すかしは必至!
そして結果的にナックが究極の一発屋として音楽史に名を刻するのも、そんな虚偽申告(?)が何時しか本物になったという瓢箪から駒なんでしょうかねぇ~~~。
ということで、そんなこんなを書き連ねても、現実世界では例え一発でもでっかいのを放つのは至難!
空振りしての河童の屁ってなもんなら、まあ、なんとかなるんじゃ~ないかと思わせられるのも、こ~ゆ~突発的なヒット曲の役割と思うばかりです。