OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

遅かりしロッドのバラード

2017-10-08 19:40:47 | Rock
愛のハーモニー / Rod Stewart (Warner Bros. / ワーナーパイオニア)

殊更洋楽の世界には「チャリティレコード」なるものが少なくありませんが、バート・バカラック&キャロル・ベイヤー・セイガーが1982年に映画「ラブ・イン・ニューヨーク / Night Shift」のサントラ音源として提供した本日のお題「愛のハーモニー / That's What Friends Are For」は、まさに瓢箪から駒!?

それは1985年になって、大女優のエリザベス・テイラー等々が参加していた「米国エイズ研究財団」へのチャリティーソングとなり、ディオンヌ・ワーウィック、スティーヴィー・ワンダー、エルトン・ジョン、グラディス・ナイトという錚々たる顔ぶれが共演レコーディングした同曲が世界的に大ヒットしたのですから、実は前述の映画「ラブ・イン・ニューヨーク / Night Shift」の挿入曲としてオリジナルを歌っていたロッド・スチュアートの気持は如何ばかりか!?

というよりも、これを千載一遇の好機として、そのロッド・スチュアートのオリジナルバージョンをシングルカットして売り出したレコード会社の商魂は、決して揶揄されるべきではないでしょう。

なにしろ問題の映画サントラ盤として1982年に発売されたLP「ナイト・シフト」には、ロッド・スチュアート以外にもアル・ジャロウ、ポインター・シスターズ、ルーファス&チャカ・カーン等々の人気者の歌が詰め込まれていましたし、バート・バカラックも収録中の6曲を手掛けていたという事で、映画本篇よりも、こちらが先行して話題になっていたのが、当時の我が国の洋楽事情だったように記憶しています。

ところが、サイケおやじには、一番のお目当てだったロッド・スチュアートが歌う件のトラックが、なんとなく地味に思えてしまい、せっかく買ったそのサントラアルバムにも、ほとんど針を落としていなかったというバチアタリ……。

ですから、1985年になって流行った前述の4大スタア共演による「愛のハーモニー / That's What Friends Are For」を最初に聴いた時、これって、どっかで聞いたことがあったよなぁ~~?

なぁ~んていうモヤモヤした気持ちにさせられたのも当然が必然であり、すると翌年になって我が国で発売されたのが、掲載のシングル盤だったんですから、一気に疑問も氷解し、あらためてロッド・スチュアートの歌の世界に瞠目されられたわけですが、しかし正直、その時になっても、本家本元であるはずのロッド・スチュアートのバージョンには、イマイチ夢中にさせられるものを感じませんでした。

もちろん、そりゃ~「瞠目」と書いたほどですから、歌の上手さや味わいの深さは流石と思います。

ただし、1982年当時のロッド・スチュアートは、ロックの王道路線と最新流行の例えばテクノ風の音作りに気をまわしたようなサウンド作りをやるという二律背反のレコードを出しつつ、ライブの現場ではハードロックとソウルミュージックの幸せな結婚みたいな強烈なステージを展開していたという、今となってはどっちつかずの全盛期だったもんですから、この「愛のハーモニー / That's What Friends Are For」は如何にも地味なAORにしか思えなかったのがリアルタイムでの真相だったように思います。

実際、その頃にはシングルカットされたという事もありませんでしたねぇ……。

それがチャリティレコードとはいえ、世界的にも大ヒットした事を契機に、あらためてロッド・スチュアートのオリジナルバージョンの存在が再発見(?)されてみれば、わざわざ「愛のハーモニー」という邦題を借りての事もありましょうが、なかなか良く出来たAORの裏傑作という感じで、これなら現在のロッド・スチュアートならば、ジャストミートの持ちネタでありましょう。

それが実際に歌われているかは知る由もありませんが、ちょいとライブステージで演じられる事を想像するだけで、羨ましい気持ちになってしまいます。

ということで、歌手にとっての楽曲との相性は、それが制作された時代との相性が絶対にあるはずで、もしかしたら1980年代初頭に思いっきりAORにアルバムを作っていたら、ロッド・スチュアートに対する評価やファンの感情も現在とは変わっていたはずと妄想するばかり!?

あくまでも独断と偏見ではありますが、1980年代後半からの浮き沈み、そして1993年に出した「アンプラグド」以降は、なんとなく落ち着いた活動に入っている事を鑑みても、過去に吹き込んだ地味な佳曲を再レコーディングしたアルバムを聴いてみたいと願っております。

もちろん、この「愛のハーモニー / That's What Friends Are For」は、お約束ということで♪
コメント (1)
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